韓国の中央銀行である韓国銀行は20日、北朝鮮の2017年の国内総生産(GDP)は、推計値で対前年比マイナス3.5%であったと発表した。国際社会が同国の核・ミサイル開発計画に対して科した制裁が明らかに影響しており、深刻な飢饉に見舞われた1997年にマイナス6.5%を記録して以来の大幅な減少となった。
北朝鮮のGDPの約3分の1を占める鉱工業生産は、制裁で石油などのエネルギー資源の輸入が制限されて工場生産が打撃を受け、8.5%減少したが、これも1997年以来の大きなマイナスとなった。農業と建設業による生産は、それぞれ1.3%、4.4%減少した。
韓国銀行は、「制裁は2016年より2017年の方が厳しかった。」と指摘し、「石炭、鉄鋼、水産物、繊維製品などの輸出禁止により、対外貿易量が大幅に減少した。...
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北朝鮮のGDPの約3分の1を占める鉱工業生産は、制裁で石油などのエネルギー資源の輸入が制限されて工場生産が打撃を受け、8.5%減少したが、これも1997年以来の大きなマイナスとなった。農業と建設業による生産は、それぞれ1.3%、4.4%減少した。
韓国銀行は、「制裁は2016年より2017年の方が厳しかった。」と指摘し、「石炭、鉄鋼、水産物、繊維製品などの輸出禁止により、対外貿易量が大幅に減少した。正確な数字の把握は困難だが、禁輸により鉱工業生産が壊滅的に減少した。」とコメントしている。
同行が大韓貿易投資振興公社(KOTRA)のデータを引用して伝えたところによると、北朝鮮の輸出は、2017年に37.2%減少して18億ドル(約2,000億円)となり、1998年に38.5%のマイナスを記録して以来の大幅な減少となった。北朝鮮の1人あたりの国民総所得は(GNI)は、146万ウォン(約14万4,000円)で、韓国の約4.4%だった。
北朝鮮の経済成長率は2011年にプラスを記録した後、2014年までは1%程度で推移していた。しかし、その後の国連・安全保障理事会の制裁により、経済は急速に失速する。北朝鮮の石炭を中心とした産業や製造業部門は、安保理が北朝鮮の数年来の核実験などの動きを受けて段階的に制裁を強化する中、大きな打撃を受けた。中国は北朝鮮の最大の貿易相手国だが、2017年後半には同国も制裁を厳格に履行した。
そうした厳しい経済状況により、金正恩朝鮮労働党委員長は、6月にシンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談に先立ち、大陸間弾道弾(ICMB)が完成したと北朝鮮が主張する核開発から、中国を手本とした社会主義的な経済体制の構築へと、政策の重点を移すことを4月に宣言し、各国との対話を目指す方向へと舵を切った。
北朝鮮は経済に関するデータを公表していないため、韓国銀行は、政府や情報機関が経済見通しなどをまとめるために収集した統計数字を用いている。同銀行の調査には、国境付近の水田の収穫高や交通に関する調査、脱北者へのインタビューなども含まれている。
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