日産自動車のカルロス・ゴーン会長が自らの報酬を過少に申告した疑いがあるとして、19日、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で逮捕された。2011年3月期~15年3月期の各連結会計年度の報酬額計約99億9800万円を、計約49億8700万円と記載した有価証券報告書を提出していたという。
日産を再生させ、仏ルノーや三菱自動車と合わせて世界販売台数を2位に押し上げたカルロス・ゴーンの逮捕は、日本自動車業界を激震させただけでなく、フランスでも各方面に衝撃を与えている。
ゴーン氏は、フランスの自動車会社ルノーの取締役会長兼CEOにして、日産自動車の会長、三菱自動車工業の会長でありながら、ルノー、日産自動車、三菱自動車工業の株式の相互保有を含む戦略的パートナーシップを統括する「ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長兼最高経営責任者(CEO)をも兼務している。...
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日産を再生させ、仏ルノーや三菱自動車と合わせて世界販売台数を2位に押し上げたカルロス・ゴーンの逮捕は、日本自動車業界を激震させただけでなく、フランスでも各方面に衝撃を与えている。
ゴーン氏は、フランスの自動車会社ルノーの取締役会長兼CEOにして、日産自動車の会長、三菱自動車工業の会長でありながら、ルノー、日産自動車、三菱自動車工業の株式の相互保有を含む戦略的パートナーシップを統括する「ルノー・日産・三菱アライアンス」の社長兼最高経営責任者(CEO)をも兼務している。
そのため、フランスメディアは、ルノー・日産・三菱のパートナーシップが、3社を束ねる軸ともなっていたCEOの出発によってもたらされる影響について、懸念の声をあげている。
ブリュッセル滞在中だったフランスのマクロン大統領は「フランス国家はルノーの安定と日産との同盟に非常に注意を払うだろう」述べた。
ル・メール経済・財務大臣も、「最も大きな関心事はルノーと日産とのアライアンスを守ること」だと強調した。フランス管理職総同盟(CFE-CGC)は、ルノー・グループの未来を心配し、会社に "経営陣の崩壊がないことを確実にする"よう求めたという。
また、フランス労働総同盟(CGT)は、「(カルロス・ゴーンは)株主の利益のためにフランスの公的資金を横領した上、法外な報酬を得ているにもかかわらず、まだそれに飽き足らず、税金を減らすために日本の税務署をだましていたのか」と非難した。
ル・メール経済・財務大臣は、ルノー株15%を持つ筆頭株主であるフランス政府の「ルノーとの関係」を指摘し、ルノー社のガバナンスの安定性は「フランスの優先事項」であると強調した。
今後について、日産は2日に開く取締役会でゴーン氏を解任することを予定しており、三菱自動車も19日、ゴーン容疑者の会長と代表取締役の解任を取締役会に提案すると発表している。ルノー側では、取締役会が声明で、「できるだけ早く会議を行う」と発表した。
また、ゴーン氏から「正確な情報を待っている」ところだと述べた。日産の西川社長も「すべての企業が独自の決断を下す」と話している。
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