昨年、中国の研究者が、遺伝子を改変できるゲノム編集でエイズウイルス(HIV)に対する免疫を持つ双子の女児を誕生させたとして世界を驚かせたが、今週発表された新たな研究によると、このゲノム編集により、双子の記憶力や認知機能などの脳機能も高まった可能性があるとしている。
2月22日付英国
『デイリーメール』は「遺伝子編集された双子の女の子、脳にも影響がある可能性」との見出しで以下のように報道している。
世界から批判された中国での遺伝子編集で、双子の胚には偶発的に脳機能を向上させるような作用があったと、科学者はいう。11月、中国のHe Jiankuiと研究チームが、CRISPRという遺伝子編集を使い、CCR5と呼ばれるHIV感染遺伝子を抑制し、産後の双子ルルとナナの遺伝子を編集した。...
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2月22日付英国
『デイリーメール』は「遺伝子編集された双子の女の子、脳にも影響がある可能性」との見出しで以下のように報道している。
世界から批判された中国での遺伝子編集で、双子の胚には偶発的に脳機能を向上させるような作用があったと、科学者はいう。11月、中国のHe Jiankuiと研究チームが、CRISPRという遺伝子編集を使い、CCR5と呼ばれるHIV感染遺伝子を抑制し、産後の双子ルルとナナの遺伝子を編集した。医師は父親からHIV遺伝から守るために編集を行ったと主張している。
「セル」掲載のUCLAの研究論文では、CCR5遺伝子の抑制は記憶や認知機能に影響するとされ、脳卒中患者のみに限定していながらも、遺伝子編集と関連する影響が大きいと主張。遺伝子編集により、精神機能が向上している可能性を指摘している。何年も前にUCLAのシルバ医師と脳科学チームは認知機能障害の治療法を探り、多くの遺伝子を研究したところCCR5にたどり着き、記憶や学習機能を向上させる可能性に期待が高まったという。
チームはCCR5を研究したところ、この遺伝子が人細胞へのHIVウイルス感染に関するものと同じ遺伝子だと発見し衝撃が走った。既にHIV治療薬は存在した。
マウスのCCR5を変化させると、動物の脳や生化学、細胞間伝達に様々な変化を与えることが分かり、2016年に学会誌に発表、遺伝子操作による脳損傷の回復の可能性に期待することとした。
そこで今週、新たな研究成果を発表、薬により遺伝子が抑制された時にも記憶や認知機能が向上するという。つまりは、CCR5遺伝子を変えると、脳も変わるのだという。マウスと人間には多くの類似点があり、ルルやナナの脳も変わったと考えられるというのだ。
しかし、利点ばかりではなく、危険な点もある。記憶力が高まるというのは良いことばかりでなく、脳は、最も大事な機能の一つ、忘れることに多くのエネルギーを使う。不要な物は、脳内の雑音でしかなく、双子の記憶能力が向上しているなら、 問題を増やすことになりかねないという。
遺伝子編集では、意図せず、間接的に多くの干渉をしている。これらの小さな意図しない変化の数々が、個人に影響してしまう。一度突然変異体が人類に紛れ込むと、取り除くのが非常に困難になる。人類が環境に与えた影響のように、病気治療のための遺伝子編集は大変期待が持てるが、病気治療と新種の創造とは、一線を引き慎重になるできである。
同日付ロシア『スプートニク』は「超人?遺伝子実験の双子の脳機能が向上か」との見出しで以下のように報道している。
新たな研究によると、中国の科学者が行ったHIV抗体をもつ子を作ろうとした遺伝子編集で、学習や記憶を司る機能も高まったのではないかという。「MITテクノロジー・レビュー」掲載の研究では、双子のDNAでCCR5という遺伝子が編集されたことで、より賢くなり、学業での成功にも関係するのではないかとみられている。
CCR5遺伝子は、記憶の抑制、シナプスの結合など、多くの面で人間の生活のに影響を与えており、元々CCR5が欠如した人は、脳卒中後の回復がより速いとの報告もあるという。
人間は或る時、人類の平均IQ上げることができるのだろうか? マウスによる実験では、これが可能だとの推論も出来るという。
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