インドネシアで17日に実施された大統領選などの選挙で、同国の選挙管理委員会は23日、開票作業などに従事した全国の選挙職員や警備にあたった警察官など100人超が死亡したことを明らかにした。作業量が膨大となり、大半が過労によるものとみられている。
『スプートニク』『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』や地元メディアなどによれば、17日のインドネシアの選挙は、同国史上初めて、大統領、国会議員、地方議員を同時に選ぶものとなった。同国の人口2億6700万人の内の1億5000万人超が、1万7000の島々に設けられた81万カ所の投票所で投票した。1日で投票を行う選挙としては、世界で最も規模が大きく、複雑な手続を要するものである。
今回の選挙では、600万人の選挙職員が採用され、投票所で働くよう教育・訓練された。飛行機、船、徒歩などで集合した職員らは、投票日の前日までに投票所の準備を整えた後、食事時間とイスラム教の祈りの時間以外、早朝から深夜まで、ほぼ休まずに働き続けた。開票作業は23日現在、なお一部で続いている。
選挙の前後を通じた作業量が膨大となり、100人を超えた死亡者の死因の大半は、過労がたたったと考えられており、病気になった人も500人を超えた。死亡者の多くは40歳以上だったという。
国家警察は少なくとも15人の警察官が死亡したが、事故が原因のケースも多かったとしている。警察官や選挙職員は、投票箱や投票用紙を様々な手段で運ばなければならず、ジャングルや山川などを経て、馬やカヌーなどを用いなければならない場合もあった。
ジョコ・ウィドド大統領は、犠牲者に対し、深い哀悼の意を表明した。政府は保険適用のない死亡や傷病などに対し、見舞金の支払いを決めたとされる。選挙管理委員会は、政府や議会は選挙法を改正し、大統領選と議会選の時期を分離して、将来こうした事態が二度と起こらないようにと警告した。
大統領選は、現職のジョコ大統領の再選が確実視されている。速報では、ジョコ氏の得票率は約56%で、対立候補の元陸軍司令官で最大野党党首のプラボウォ・スビアント氏は約44%と、10ポイント程度の差をつけたとの報道がある。選挙管理委員会が正式な結果を発表するのは、5月22日までとなっている。
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