【Globali】
北朝鮮の食糧危機、この10年で最悪に(2019/05/04)
5月3日、国連は、北朝鮮の食糧事情が10年来の最悪の状態にあると発表した。干害や高い気温、洪水によって食糧生産が減少し、1010万人が厳しい食糧不足の状態に陥っていると明かした。
WFP(国連世界食糧計画)とFAO(国連食糧農業機関)が2018年11月と先月に現地調査して明らかになったもの。2018/19穀物年度には490万㌧しか穀物の収穫がなく、これは2008/09年度以来の低水準にある。天候不順の他に、燃料や肥料、ポンプや農業機械の不足、さらに収穫後の管理状態が悪かったことが状況をさらに悪化させた。このため北朝鮮は136万㌧の穀物を輸入しなければならないだろう、としている。...
全部読む
WFP(国連世界食糧計画)とFAO(国連食糧農業機関)が2018年11月と先月に現地調査して明らかになったもの。2018/19穀物年度には490万㌧しか穀物の収穫がなく、これは2008/09年度以来の低水準にある。天候不順の他に、燃料や肥料、ポンプや農業機械の不足、さらに収穫後の管理状態が悪かったことが状況をさらに悪化させた。このため北朝鮮は136万㌧の穀物を輸入しなければならないだろう、としている。
北朝鮮の人々は配給にたよっているのだが、この配給量が10%カットされており、次の収穫期になるまでの、6-10月にはさらに減少する可能性がある。このため飢餓という危機的状況に陥るおそれすらある。とくに栄養が必要な小さい子供たちや妊娠中の女性たちが深刻な事態に陥っている。
朝鮮半島には「春窮」という言葉がある。収穫した食糧が乏しくなり、次の収穫シーズンまでの春に一番食糧事情が厳しくなることをいう。まさに今北朝鮮は「春窮」に陥っているわけだが、経済制裁によって化学肥料や、農業機械や水をくみ上げるポンプを動かす燃料が入手できないとすれば、たとえ天候に恵まれたとしても、今シーズンの収穫も豊作とはならない可能性が高い。北朝鮮はそれまでの集団農業から少人数による圃田制を導入したことにより、収穫が増えたとしていたが、実態は計画通りにはいかなかったわけである。1010万人といえば人口の4割にあたるが、その人々が飢えに苦しんでいることになる。
閉じる
その他の最新記事