仏政府は、脱税者をより正確に特定できるよう、今後3年間、フランスのインターネットユーザーから公開データを試験的に収集する。フェイスブックやインスタグラムなどのソーシャルメディア(SNS)を調べ、申告された収入額とSNSから見られる生活スタイルがかけ離れていないかを確認していくという。
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『Europe 1』は次のように報道している。「フェイスブック、脱税対策の新たなツールになるのだろうか?政府は将来的にはSNS上の写真、ビデオ、掲載広告の情報を収集したいと考えている。 2020年の財政法案に挿入されたこの条項は、現在見落としてしまっている不正な報告を特定できるようにすることを目的としている。」
仏財務省は、フェイスブックなどのSNSサイトや個人間の小売サイトを通して収入を得ている人々の中で税務当局にその分を申告していない人の取り締まりを強化しようと、試験的に実施するという。...
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『Europe 1』は次のように報道している。「フェイスブック、脱税対策の新たなツールになるのだろうか?政府は将来的にはSNS上の写真、ビデオ、掲載広告の情報を収集したいと考えている。 2020年の財政法案に挿入されたこの条項は、現在見落としてしまっている不正な報告を特定できるようにすることを目的としている。」
仏財務省は、フェイスブックなどのSNSサイトや個人間の小売サイトを通して収入を得ている人々の中で税務当局にその分を申告していない人の取り締まりを強化しようと、試験的に実施するという。 収集されたデータは、アルゴリズムによって自動的に「コンピューター」処理をされる。
例えば、自分の高級車と一緒に撮った写真をインスタグラムに投稿しているが、高級車を所有していることを申告していない人。または、再販サイトで驚くべき量の(合法または違法)製品を提供している人。あるいは、税務上の理由でベルギーに住んでいるはずの人がフェイスブック上には頻繁にフランス滞在中の写真を投稿している人、などを特定していく目的だという。
しかし、政府が個人のSNSを監視するということは不安を招くものである。仏のニュース専門放送局『LCI』によると、仏情報処理及び自由に関する国家委員会(CNIL)は、自由を侵害する可能性のある条項だとして厳しく咎めた。
これについてダルマナン公会計相は水曜日『LCI』に対し「フェイスブックなどのサイトで個々人のデータを探すためのものではありません。例えば米国、スペインまたはイギリスに6カ月以上滞在したと説明し、税金を減らそうとフランスの税務署から逃れるために他の国に家を持っていると説明するX氏またはY氏など、少数の人々のことです。」と説明した。
つまり、この措置の主な対象は、税務当局に虚偽の申告を行う可能性のある海外の居住者ということだ。SNSへのアクセスにより、例えば、公開している写真の確認やIPアドレスを確認して投稿元の国を特定し、申告内容の正確さを確認することができるようになるというのだ。
ただし、税務専門の弁護士は『LCI』に対し、この条項は、虚偽の税務申告を行っている海外居住者にとどまらず、税務監査の分野における広く一般的に起こっている申告ミスや申告漏れに対しても、SNS情報収集の対象範囲として含めていると指摘している。 更には、タバコやお酒などの密輸も含まれており税関当局が関心を寄せているという。
新情報通信技術分野を専門とする弁護士は「不正を見つけるために詐欺師を発見しようとする、ことにならないような安全策を検討する必要があります。そうなってしまうと、本来の目的が逆転してしまい、無罪推定の原則と国民の行動の自由を侵害することになる」と『LCI』に語っている。
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