フランス薬局協会は、新型コロナの流行による長期にわたる中国の工場の閉鎖は、医薬品の製造に必要な原薬の供給を乱すリスクがあると警告した。医薬品の有効成分の60%が中国またはインドで製造されており、リスク回避のためには、製造拠点をヨーロッパまたはフランスに戻そうとする動きが出始めている。
『フランス アンフォ』によれば、医薬品業界では製品の必須成分である有効成分の80%はEU以外で製造されており、そのうち60%は中国とインドが占めているという。
現在中国の工場数は1,000以上、対しフランスの工場は100未満という現状だ。しかし新型コロナウイルスの発生以来、中国から購入していた多くの研究所がフランス国内の医薬品製造工場に助けを求めてきているという。
ただし『フランス アンフォ』は製造の一部を移転することは可能だが、多くの研究所はまだ消極的だという。...
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『フランス アンフォ』によれば、医薬品業界では製品の必須成分である有効成分の80%はEU以外で製造されており、そのうち60%は中国とインドが占めているという。
現在中国の工場数は1,000以上、対しフランスの工場は100未満という現状だ。しかし新型コロナウイルスの発生以来、中国から購入していた多くの研究所がフランス国内の医薬品製造工場に助けを求めてきているという。
ただし『フランス アンフォ』は製造の一部を移転することは可能だが、多くの研究所はまだ消極的だという。国内での製造コストは、薬の販売価格に比べて高すぎることが懸念されているからだ。
それでもフランスの製薬会社サノフィなどは、事業を再編成し、フランス国内にヨーロッパ市場に向けた有効成分の製造に特化した拠点を作りたいと発表した。 医薬品有効成分(API)の分野で世界第2位の規模になるという。
『BFMTV』によると、フランス薬局協会はプレスリリースで「医薬品用途の原材料の製造を制御することは、国内および欧州の戦略的課題になっている」と伝え、 「そのためには、特に抗生物質、抗がん剤などの「必須薬」について、欧州レベルでの独立性を段階的に達成するために、活性物質(または医薬製剤に不可欠な特定の賦形剤)の合成を欧州に移転する条件を作り出すことが必要である。」と説明している。
『フランス ソワール』によると、新型コロナウイルスの影響を受けている主な中国の浙江省、広東省、河南省は、欧米諸国の下請け業者が最も集中している地域であるという。 流行を抑えるために、多くの工場が閉鎖され、世界中の企業のサプライチェーンに混乱を引き起こしている。
フランスでは医薬品会社に限らず多くの企業が、今後数週間で物資が枯渇するのではないかという懸念を表明しており、欧米経済のすべての物流システムが問題視されている。自然災害、武力紛争、さらには伝染病が発生した場合に、一つの国から集中して原材料を購入することはリスクがあることが認識され始めている。
『フランスソワール』は製造をフランス国内又はヨーロッパに戻す利点として、4点挙げている。今回のような危機の際の供給問題に対する予防、輸送および物流面でのコスト削減、今後ヨーロッパがガス排出に対する課税を重くすることを検討している中での炭素の影響の削減、そして国内領土の再産業化と雇用の創出により、長期的にはすべての企業、またフランス社会に有益をもたらすことが期待される。
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