イタリアは依然、新型コロナウィルス(COVID-19)感染者が世界6位、死者が同3位であるが、抑止効果が徐々にではあるが表れてきていることから、6月3日から都市封鎖を一部解除する。そしてこの程、同国と国境を接する、というより首都ローマ市内にあるバチカン市国(注1後記)が、それに先駆けて6月1日にバチカン美術館(注2後記)を再開すると発表した。ただ、入場者の検温等のチェックは厳格に行われ、ローマ教皇居室への訪問は週末に限定される。
5月23日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニューズ』紙:「バチカン美術館、イタリアの都市封鎖解除より2日早く再開」
バチカン市国国営『バチカン・ニュース』(1983年創刊)によると、バチカン美術館が、COVID-19感染問題で3月1日に閉鎖されて以来、3ヵ月振りとなる6月1日に再開する。
同国では3月6日にCOVID-19感染者が10人発生している(編注;5月24日現在12人、但し死者はゼロ)。...
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5月23日付米
『ニューヨーク・デイリィ・ニューズ』紙:「バチカン美術館、イタリアの都市封鎖解除より2日早く再開」
バチカン市国国営『バチカン・ニュース』(1983年創刊)によると、バチカン美術館が、COVID-19感染問題で3月1日に閉鎖されて以来、3ヵ月振りとなる6月1日に再開する。
同国では3月6日にCOVID-19感染者が10人発生している(編注;5月24日現在12人、但し死者はゼロ)。
同美術館では、7万点以上に及ぶ美術品が収蔵されていて、ほとんどがルネサンス(注3後記)時代の傑作である。
同メディアによると、入場者には検温、マスク着用、ソーシャルディスタンス保持等、厳格な防疫措置が講じられる。
なお、米『カトリック・ニュース・エイジェンシー』(2004年創刊)によると、同美術館では約1,000人が雇用されているが、閉館期間中は必要最小限の30人が詰めていた。
一方、隣接するイタリアでは、ジュゼッペ・コンテ首相が3月9日から全国で都市封鎖措置を講じていたが、6月3日から一部解除を決定している。
これによって、経済活動の再開と、欧州からの旅行者に限って、検疫なしでの入国が認められる。
ただ、米ジョンズ・ホプキンス大学集計データによると、5月23日現在でのイタリアのCOVID-19感染者は22万9,327人の世界6位、また、死者は3万2,725人の世界3位と、依然高い状況にある。
同日付フランス『ユーロニュース』:「イタリアの古代遺跡への訪問客受け入れ再開」
イタリア南部、ナポリ近郊にあるパエストゥム遺跡(注4後記)は、イタリアにおける都市封鎖解除措置に伴い、最初に訪問客を受け入れる世界遺産である。
また、バチカン美術館も同様に6月1日に再開する。但し、事前予約が必要である。
(注1)バチカン市国:1929年に独立国家となった欧州にある国家で、カトリックの総本山。その領域はローマ市内にあり、国土面積は世界最小。
(注2)バチカン美術館:歴代ローマ教皇の収集品を収蔵展示する世界最大級の美術館。1506年に教皇ユリウス2世により創設され、世界で最も大きな美術品コレクションの一つであり、歴代の教皇が蒐集した美術品の膨大なコレクションを展示。ミケランジェロをはじめとする画家たちにより装飾されたシスティーナ礼拝堂と、ラッファエッロを中心とする画家たちにより装飾された教皇の居室が、見学コースに含まれている。
(注3)ルネサンス:「再生」「復活」を意味するフランス語で、古典古代(ギリシア、ローマ)の文化を復興しようとする文化運動。14世紀にイタリアで始まり、やがて西欧各国に広まった。
(注4)パエストゥム遺跡:イタリア南部カンパーニア州にある古代ギリシア、古代ローマ遺跡。1998年には、ユネスコ世界遺産に登録。パエストゥムとはポセイドニアが訛ったもので、ポセイドニアは、海の神ポセイドンの町の意味。紀元前550年頃、ゼウス神の伴侶でオリンピアの女王ヘラのための神殿建築が行なわれたが、このヘラ神殿は古典的周柱式神殿のひとつ。
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