CNNからフォックスニュース、ニューヨーク・タイムズまで、米国の主流メディアは、トランプ前大統領がホワイトハウスを去ってから、視聴率の低下や読者数の減少に見舞われている。
仏紙
『クーリエ・アンテルナショナル』や仏誌
『「ル・ヌーベル・オブセルバトゥール」』は、トランプ前大統領が2017年にアメリカの「新聞、テレビ、あらゆるメディアは、私がいないと視聴率が下がってしまう」と発言した内容が、予言のように当たったと伝えている。いくつかの調査によると、アメリカの全国メディアはバイデン大統領就任後、視聴者数と読者数が減少している。これは、常に話題を集めていたトランプ前大統領が去り、後任に「退屈」と見なされることもあるバイデン大統領が就任したことが反映されているという。
この急激な落ち込みを体現しているのがニュースチャンネルのCNNである。ニールセン・メディア・リサーチ社のデータによると、1月から3月の最初の2週間の間にプライムタイム枠(午後8時30分~10時)で45%の視聴者が消えてしまったという。
CNNほどではないが、MSNBCも26%減という顕著な減少が見られた。保守メディアのフォックスニュースも6%減と、健闘しているものの減少した。
新聞業界でも同じ現象が起きている。コムスコア社のデータによると、1月から2月の間に「ニューヨーク・タイムズ」のニュースサイトではアクセス数が約2,000万人、「ワシントン・ポスト」では約3,000万人分減った。
コネチカット州にあるハートフォード大学のコミュニケーション学教授であるアダム・キアラ氏は、「人々を画面の前に引き留めるはずの大災害、すなわちパンデミックがまだ続いている」ことを指摘し、視聴率の低下は、「人々は今日起こっていることよりも、トランプ大統領に関するニュースに興味を持っていた 。」ことを示しているとコメントしている。
ボストン大学で政治コミュニケーションを研究しているトーブ・ベルコビッツ教授にとって、メディアは、論争好きで予測不可能なドナルド・トランプ氏と、コミュニケーションにおいて意図的に前任者と逆の姿勢を見せてきた、時には「退屈な人物」と言われるジョー・バイデン氏のちがいが、メディアの視聴率に影響を与えていると述べている。
このように視聴者数が著しく減少しているが、主要メディアは、2015年にトランプが選挙戦に参戦する前よりもはるかに良好な状態にあるという。CNNは2014年時の視聴者数の2倍以上、MSNBCは3倍以上の視聴者数を獲得している。
ホフストラ大学コミュニケーション学部長マーク・ルカシェヴィッチは、一般チャンネルのニュース番組は視聴者数が数百万人減少しており、「ニュース専門チャンネルは数年前に比べて、アメリカ人のニュース消費で大きな割合を占めるようになっている」と指摘している。
なお、大手新聞社も、この数年間でデジタルへの移行を加速させ、オンライン購読を前提としたメディアに生まれ変わりつつある。ニューヨーク・タイムズは、トランプのホワイトハウス在任期間中の4年間で、購読者数を2.6倍に増やし、多くの紙媒体のメディアが直面している危機を回避している。
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