構造改革では譲歩しない中国(2月16日)
(北京での米中閣僚級協議が終了)
北京で行われていた米中閣僚級協議が終わった。米製品の輸入拡大など対中貿易赤字削減の話では進展がみられたが、強制技術移転や国有企業、補助金の問題では話は平行線となっている。
習近平国家主席はUSTR・ライトハイザー代表やムニューシン財務長官と会い、「食い違いは(中米が)協力することで解決したいが、協力には当然原則がある」と述べ、貿易ではいくらでも譲歩するが体制を変えることにつながりかねない構造改革での譲歩はしないことを示唆してみせた。...
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(北京での米中閣僚級協議が終了)
北京で行われていた米中閣僚級協議が終わった。米製品の輸入拡大など対中貿易赤字削減の話では進展がみられたが、強制技術移転や国有企業、補助金の問題では話は平行線となっている。
習近平国家主席はUSTR・ライトハイザー代表やムニューシン財務長官と会い、「食い違いは(中米が)協力することで解決したいが、協力には当然原則がある」と述べ、貿易ではいくらでも譲歩するが体制を変えることにつながりかねない構造改革での譲歩はしないことを示唆してみせた。
米中は来週にもワシントンで協議を開き、そこでは3月1日の協議期限の延長も話し合われるとみられる。すでに米国ブルームバーグ通信はトランプ大統領が協議期限の60日延長を検討していることを報じている。
トランプ大統領が延長を検討する背景には、壁問題によって米国国内で混乱が続く中で追加関税を行った場合には株価が暴落し、2020年大統領選に向けて黄色信号が点灯してしまいかねないという計算が働いていることは間違いないが、米中協議の底流に構造問題が横たわっている限り、将来的に追加関税の引き上げは避けられない見通しである。
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米中きょうから閣僚級の貿易交渉(2月14日)
米国と中国は、きょうから北京で貿易問題を巡る閣僚級の交渉を始める。米国側からライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官、中国側から劉鶴副首相が出席する予定である。
ムニューシン財務長官は交渉の状況について「今のところ順調」とコメントした。
米国は中国からの輸入品の関税を引き上げる制裁措置を来月1日まで猶予して、知的財産権侵害や米国企業の技術強制的移転の問題などで中身のある対策を取るよう中国に迫っている。...
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米国と中国は、きょうから北京で貿易問題を巡る閣僚級の交渉を始める。米国側からライトハイザー通商代表とムニューシン財務長官、中国側から劉鶴副首相が出席する予定である。
ムニューシン財務長官は交渉の状況について「今のところ順調」とコメントした。
米国は中国からの輸入品の関税を引き上げる制裁措置を来月1日まで猶予して、知的財産権侵害や米国企業の技術強制的移転の問題などで中身のある対策を取るよう中国に迫っている。
中国は法律制定などで問題に対処する姿勢を示しているが、双方の立場にはまだ隔たりがあるとみられる。
トランプ大統領は交渉の進展を見極めた上で習近平国家主席との首脳会談を検討する考えで、閣僚級の交渉で中国側が踏み込んだ対策を示すかが焦点となる。
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3月1日に向けて強硬姿勢強める米国(2月9日)
(迫る交渉期限・トランプ大統領は米中首脳会談を示唆したが)
3月1日を期限とする米中通商協議が迫る中、トランプ大統領は「中国は関税の引き上げを望んでおらずディールをしたがっている」とツィートするなどして周囲の憶測を呼び、一時は米朝、米中首脳会談がベトナムでダブル開催され、何らかの落としどころが示されるのではないかという楽観的なムードすら漂っていた。ところが7日になって、突然トランプ大統領は記者団の前で「習近平国家主席とは3月1日まで会わない」と2月中の米中首脳会談の開催を否定した。...
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(迫る交渉期限・トランプ大統領は米中首脳会談を示唆したが)
3月1日を期限とする米中通商協議が迫る中、トランプ大統領は「中国は関税の引き上げを望んでおらずディールをしたがっている」とツィートするなどして周囲の憶測を呼び、一時は米朝、米中首脳会談がベトナムでダブル開催され、何らかの落としどころが示されるのではないかという楽観的なムードすら漂っていた。ところが7日になって、突然トランプ大統領は記者団の前で「習近平国家主席とは3月1日まで会わない」と2月中の米中首脳会談の開催を否定した。3月1日までに米中が合意しなければ、3月2日から関税が引き上げられることになり、仮に引き上げが行われた場合には株価が急落し、世界経済にも大きな影響が出てくる可能性がある。
(3月1日に向けて強硬姿勢強める米国)
今回、トランプ大統領が敢えて2月中には米中首脳会談を行わないと発言した背景には中国の知財権侵害に対する米議会や産業界の危機感やトランプ大統領取り巻きの対中強硬派の助言があったことがあるものと推測される。少し距離を置いて米中関係を見てみれば米国は中国に対し少しも融和姿勢を見せないどころか、ますます強硬姿勢を強めていることが見て取れる。トランプ大統領の一般教書演説では対中強硬姿勢を鮮明にし、対中強硬派ライトハイザーUSTR代表は最近になって、中国を米国の取り決めに従わせるという意味である「エンフォースメント」という言葉を6回も中国に対して使っている。さらにトランプ政権は世界銀行次期総裁候補者に対中強硬派デビットマルパス氏を推薦した。マルパス氏はこれまで一貫して中国の「一帯一路」を批判してきた人物であり、昨年12月の米議会公聴会で「開発金融を中国の地政学的野心から遠ざけるために同盟国と連携していかなければならない」とまで語っていた人物でもある。このように3月1日の交渉期限に向けて米国は中国に対する強硬姿勢を鮮明にしている中で、トランプ大統領の突然の表明により、米中首脳会談が中止になったことは、この流れに沿ったトランプ政権の軌道修正とも解釈することができる。
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米国大統領・“来月1日の期限まで米中首脳会談なし” (2月8日)
米国のトランプ大統領は、米中の貿易問題の交渉で、期限の来月1日までに中国の習近平国家主席と会談する予定はないと述べた。
双方の隔たりが埋まらない中、首脳会談は時期尚早で今は中国にさらに譲歩を迫ることが必要だと判断したと見られる。
米国は中国の輸入品に対してより高い関税をかける制裁措置の発動を来月1日まで猶予したうえで、中国と貿易問題について交渉を続けていて先週、トランプ大統領は習近平国家主席との首脳会談で合意を目指す考えを示した。...
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米国のトランプ大統領は、米中の貿易問題の交渉で、期限の来月1日までに中国の習近平国家主席と会談する予定はないと述べた。
双方の隔たりが埋まらない中、首脳会談は時期尚早で今は中国にさらに譲歩を迫ることが必要だと判断したと見られる。
米国は中国の輸入品に対してより高い関税をかける制裁措置の発動を来月1日まで猶予したうえで、中国と貿易問題について交渉を続けていて先週、トランプ大統領は習近平国家主席との首脳会談で合意を目指す考えを示した。
ところが、トランプ大統領は7日、記者団から来月1日の期限を前に首脳会談を開くのか問われ、予定はないと述べた。米中の貿易問題は、中国による知的財産権の侵害への対応などで双方の隔たりが埋まっていない。
トランプ大統領の発言はこの状況で首脳会談を行うのは時期尚早で、いまは中国にさらなる譲歩を迫る必要があると判断したものと見られる。
来週、北京では米中の閣僚級の協議が再び行われ、米国は来月1日までの合意を目指してライトハイザー通商代表らが一段と厳しい姿勢で交渉に臨むことが予想される。
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トランプ大統領の胸三寸は・・・(2月2日)
(2月末の米中首脳会談で進展はあるのか)
習近平国家主席がトランプ大統領に「米中両国は決定的に重要な時期を迎えている。互いに歩み寄り協議を加速させたい」との親書を送った。一方のトランプ大統領も3月1日をデッドラインとする米中通商協議でのディールに強い意気込みを見せ、米中で交渉妥結に向けた機運が高まっている。トランプ大統領はロシア疑惑や支持率低下と国内で追い込まれているが、2月末に中国、北朝鮮とダブルで首脳会談を行い、外交で突破口を開けようと目論んでいる。...
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(2月末の米中首脳会談で進展はあるのか)
習近平国家主席がトランプ大統領に「米中両国は決定的に重要な時期を迎えている。互いに歩み寄り協議を加速させたい」との親書を送った。一方のトランプ大統領も3月1日をデッドラインとする米中通商協議でのディールに強い意気込みを見せ、米中で交渉妥結に向けた機運が高まっている。トランプ大統領はロシア疑惑や支持率低下と国内で追い込まれているが、2月末に中国、北朝鮮とダブルで首脳会談を行い、外交で突破口を開けようと目論んでいる。ただ、ワシントンで行われた閣僚級協議を受けて米中それぞれが発表した声明を比べると米中の溝が埋まって来ているとは言い難い。米国側が中国と「米国企業への技術移転の強要」や「知財権の保護強化」「国有企業への補助金」「米企業へのサイバー窃盗」「為替」「非関税障壁」の7項目を話し合ったとしているのに対し、中国側の声明では技術移転や知財権保護強化については「高度に重視し協力を進める」と触れるに留め、「国有企業への補助金」と「米企業へのサイバー窃盗」「為替」については一言も言及はなく米中首脳会談の落としどころがどのようなものになるのかはまったく見えない。
(ファーウェイ問題が米中関係に暗い影)
さらなる不安材料はファーウェイの技術者がTモバイルの技術を盗んでそれに対する報奨金を払ったという具体的な事実を米国が白日の下に晒し、これを中国側に突き付けたことである。米国司法省はファーウェイCFOの身柄引き渡しを求めているが、身柄の引き渡しはもはや時間の問題だとも言われている。米国司法省はファーウェイに対して罰金だけでなく、イランとの取引で得た利益やTモバイルの技術を使ってつくられた製品の販売益すべての差し押さえを求めている。これらの総額がどれくらいの額になるかは明らかになっていない。この問題が悪い方向に転んだ場合は、中国にいる米国人が拘束されたり、それに米国が報復したりするなど話が泥沼化していく可能性もありそうだ。今の米中関係は着地点は見えないというのが現状であり、落とし所がどこかにあって妥協すれば元通りになるという関係ではもはやなくこのような緊張が10年、20年断続的に続いていくのかもしれない。トランプ大統領の胸三寸を知りたいところである。
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