米中首脳会談・米国・対中関税引き上げ一時見送り発表(12月2日)
米国のホワイトハウスは、アルゼンチン・ブエノスアイレスで米国・トランプ大統領と中国・習近平国家主席による首脳会談の結果、来年1月に中国からの2000億ドルの輸入品の関税を今の10%から25%に引き上げる一段と厳しい制裁措置を一時見送ることを発表。
米中の貿易摩擦が一層激しくなる事態はいったん避けられる見通しになった。
米国軍が航行の自由作戦を実施、中国をけん制か(11月30日)
米国軍の太平洋艦隊はイージス巡洋艦「チャンセラーズビル」が中国が軍事拠点化を進める南シナ海の島々の周辺に艦艇を航行させる「航行の自由」作戦を実施した。30日からアルゼンチンで開幕するG20サミットに合わせて行われる米中首脳会談を前に中国をけん制する狙いがあるとみられる。
今回は中国が実効支配する南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)周辺を航行。
太平洋艦隊は作戦について「海洋権益の過度な主張に対抗し、国際法で定められた航路を守るためのものだ」と述べ、中国の一方的な主権の主張や軍事拠点化を認めない姿勢を改めて強調した。...
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米国軍の太平洋艦隊はイージス巡洋艦「チャンセラーズビル」が中国が軍事拠点化を進める南シナ海の島々の周辺に艦艇を航行させる「航行の自由」作戦を実施した。30日からアルゼンチンで開幕するG20サミットに合わせて行われる米中首脳会談を前に中国をけん制する狙いがあるとみられる。
今回は中国が実効支配する南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)周辺を航行。
太平洋艦隊は作戦について「海洋権益の過度な主張に対抗し、国際法で定められた航路を守るためのものだ」と述べ、中国の一方的な主権の主張や軍事拠点化を認めない姿勢を改めて強調した。
南シナ海では今年9月、米国軍のイージス駆逐艦が「航行の自由」作戦を実施した際、中国軍の駆逐艦が異常接近したが、今回そうした行動はみられなかったという。
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1週間後に迫る米中首脳会談(11月24日)
(1週間後に迫る米中首脳会談)
トランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が1週間後に迫っている。中国側は米中間で波風を立たせないよう配慮し、当初香港への寄港を拒否していた米軍艦の寄港を急きょ認める意向を表明した。その一方で米国サイドはUSTRが20日、「技術移転など中国の不公正な行動は基本的に変化がない」とする報告書を公表し、米政府が日本を含む同盟国に対し、将来安全保障上の脅威になりかねないとして中国・ファーウェイの製品を使わないように求める説得を行うなど、中国に対する強硬姿勢を一段と強めてきている。...
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(1週間後に迫る米中首脳会談)
トランプ大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が1週間後に迫っている。中国側は米中間で波風を立たせないよう配慮し、当初香港への寄港を拒否していた米軍艦の寄港を急きょ認める意向を表明した。その一方で米国サイドはUSTRが20日、「技術移転など中国の不公正な行動は基本的に変化がない」とする報告書を公表し、米政府が日本を含む同盟国に対し、将来安全保障上の脅威になりかねないとして中国・ファーウェイの製品を使わないように求める説得を行うなど、中国に対する強硬姿勢を一段と強めてきている。米中は首脳会談に向けて、水面下で実務レベルの協議を行っており、中国側が142項目に分けた行動計画を示したが、トランプ大統領は「重要な4~5項目が残っており、まだ受け入れられるものではない」として両国のせめぎ合いが続いている。
(米中首脳会談の注目点)
米中首脳会談の焦点は米国の要求に中国がどこまで応じるのかというものだ。まず米中貿易戦争の肝となっている米国の対中貿易赤字解消の要求については、中国がどのように反応するかが鍵となるが、この問題に関して中国は米国からの輸入を拡大することで縮小していきたい考えを示してくるとみられる。さらに中国市場開放の要求に関しては、金融や自動車の外資規制を緩和させていくことで対処していき、なるべく米国の思いに応じていく姿勢を見せるだろう。知財権保護の保護強化については、一定の時間をかけて前向きに取り組んでいく姿勢を見せてくるとみられる。ただし知財権の強制技術移転の話に関してはそうした事実自体を認めないだろう。加えて「中国企業優遇」の見直しについても受け入れは拒絶し、ハイテク産業育成策撤廃についても拒否する姿勢を示すとみられる。中国は基本的に「中国製造2025」の見直しにつながる米側の要求には一切応じない姿勢で会議に臨むとみられる。この他、トランプ大統領が南シナ海での軍事拠点化の中止や台湾への圧力強化に言及する可能性もあるが、中国側は南シナ海の問題に関しては軍事化の事実はないと主張するとみられ、台湾についても「ひとつの中国」を主張し、「圧力を強めていることはない」と主張する可能性が高い。
(2020年に向けてトランプ大統領の中国への締め付けは強まる)
金融市場には貿易戦争の解決が図られるのではないかという楽観的な見通しもあるが、米中首脳会談で何らかの成果が見られた場合でも、それは急場しのぎ的意味合いが強く、根本的な解決には至るものではないだろう。それは米中の覇権争いが背景にあるからで、特に2020年には大統領選挙を控えるトランプ大統領にとって中国叩きは米国民の支持を得やすい強力なカードとなっている。今後ますますトランプ大統領の中国への締め付けは強まるとみられ、それに対し中国がどこまで耐えられるかという構図が続いていく。
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初めて首脳宣言まとまらず・APECで異例の事態(11月19日)
パプアニューギニアで開かれていたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議は、貿易をめぐる米国と中国の意見の対立で、初めて、首脳宣言がまとまらずに閉幕した。
昨日、中国・習近平国家主席は「保護主義、一国主義の古い道は、世界経済の不確定性を増すだけ」と述べ、米国・ペンス副大統領は「中国がやり方を変えるまでは、米国は方針を変えない」と述べた。
今日、安倍首相は「国際的ルールに則り、貿易、投資の自由化と連結性の強化によって繁栄するアジア太平洋地域は、日本が志向する『自由で開かれたインド太平洋』の核」として、自由で公正なルール作りに取り組んでいく考えを強調した。...
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パプアニューギニアで開かれていたAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の首脳会議は、貿易をめぐる米国と中国の意見の対立で、初めて、首脳宣言がまとまらずに閉幕した。
昨日、中国・習近平国家主席は「保護主義、一国主義の古い道は、世界経済の不確定性を増すだけ」と述べ、米国・ペンス副大統領は「中国がやり方を変えるまでは、米国は方針を変えない」と述べた。
今日、安倍首相は「国際的ルールに則り、貿易、投資の自由化と連結性の強化によって繁栄するアジア太平洋地域は、日本が志向する『自由で開かれたインド太平洋』の核」として、自由で公正なルール作りに取り組んでいく考えを強調した。
中国国営・新華社通信によると、習国家主席は「多国間貿易体制を守るため、旗幟を鮮明にして、保護主義に反対しなくてはならない」と述べたという。
会議終了後、カナダ・トルドー首相は「貿易に関する要素で違いが埋まらず、首脳宣言の合意を妨げた」と発表し、首脳宣言の代わりに議長声明が出される見通しだと明らかにした。
パプアニューギニア・オニール首相は、首脳宣言がまとまらなかった理由について、「米国や中国などいくつかの国の間で意見の隔たりがあり、自由貿易のあり方をめぐって、意見の相違が埋まらなかった」と説明した。
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米中、次の対決点(11月17日)
(原発が新たな覇権主義の舞台に登場)
米中貿易戦争を新冷戦と呼ぶ声も一部から出始めている中で原発が新たな覇権主義の舞台となる可能性が出てきた。米国では採算悪化のため、原発の運転停止が相次ぎ、欧州も脱原発が勢いを増しているが、今、世界の原子力市場の中で中国、ロシアが台頭してきている。世界で2000年以降に稼働した原発のうち何と約6割が中国とロシアによるものだ(世界で2000年以降に稼働した原発の製造国・1位:中国33基、2位:ロシア15基、3位:インド11基、4位:韓国9基、5位:フランス6基、6位:日本5基、7位:カナダ3基、8位:米国1基、その他:2基)。...
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(原発が新たな覇権主義の舞台に登場)
米中貿易戦争を新冷戦と呼ぶ声も一部から出始めている中で原発が新たな覇権主義の舞台となる可能性が出てきた。米国では採算悪化のため、原発の運転停止が相次ぎ、欧州も脱原発が勢いを増しているが、今、世界の原子力市場の中で中国、ロシアが台頭してきている。世界で2000年以降に稼働した原発のうち何と約6割が中国とロシアによるものだ(世界で2000年以降に稼働した原発の製造国・1位:中国33基、2位:ロシア15基、3位:インド11基、4位:韓国9基、5位:フランス6基、6位:日本5基、7位:カナダ3基、8位:米国1基、その他:2基)。中国の産業政策「中国製造2025」の中でも原発は重要な技術と位置づけられている。
(中国が対米貿易改善案142項目を米国に提出)
トランプ政権は中国に対して貿易赤字を2年の間に約22兆5000億円削減することや、「中国製造2025」による先端産業育成補助金をやめること、米国並みに関税を引き下げることなど8項目を中国に要求しており、次回の会談の前までに回答を要求していた。その結果、中国は米国に対し142項目の対米貿易改善案を提出してきたという。これについてトランプ大統領は「非常に完成度は高い。取引で合意するかもしれないが、大きな懸念がまだいくつか残っており現時点では受け入れられない。重要な4、5項目が解決されていない」と述べ中国にさらなる譲歩を促していく姿勢だ。
(最大の山場は11月30日の米中首脳会談)
トランプ大統領は中国のサイバー、宇宙、最先端技術、知的財産権侵害でのふるまいが気に入らないとみられる。特に懸念しているのは、軍事技術に転用されかねない商業用の技術の知財権侵害である。さらに国家ぐるみで産業を推進するそのやり方にあるとみられる。これらに手を付けることは「中国製造2025」の抜本的見直しにもつながりかねない。2025年までに世界の製造強国の仲間入りを目指す「中国製造2025」は、中国の長期国家戦略の第1段階に位置付けられる戦略であり、中国側もこの抜本的見直しは簡単には受け入れることはできない。トランプ大統領と習近平国家主席は11月30日から12月1日までアルゼンチンで行われるG20サミットにおいて会談を予定しているが、どう動くのか注目が集まる。
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