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日本周辺波高し(6月5日)
6月5日、防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射され、日本のEEZ(排他的経済水域)の外側の日本海に落下したと見られると発表した。ミサイルであれば5月25日に発射した3発の弾道ミサイルに続くものとなる。
最近の動きをまとめると6月3日、日米韓3か国の北朝鮮担当高官による協議が行われたことに続き、米韓両軍が原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに行った。この訓練は沖縄の南東の公海上で行われ、米国の原子力空母「ロナルドレーガン」や韓国のイージス駆逐艦なども参加する本格的なものであった。...
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6月5日、防衛省は北朝鮮から弾道ミサイルの可能性のあるものが発射され、日本のEEZ(排他的経済水域)の外側の日本海に落下したと見られると発表した。ミサイルであれば5月25日に発射した3発の弾道ミサイルに続くものとなる。
最近の動きをまとめると6月3日、日米韓3か国の北朝鮮担当高官による協議が行われたことに続き、米韓両軍が原子力空母を投入した共同訓練を4年7か月ぶりに行った。この訓練は沖縄の南東の公海上で行われ、米国の原子力空母「ロナルドレーガン」や韓国のイージス駆逐艦なども参加する本格的なものであった。今回の北朝鮮の飛翔体の発射は連携を強める日本、米国、韓国の3か国への反発を示し、けん制するねらいがあると見られる。北朝鮮は7回目の核実験を行う兆候も見せている。
一方、中国船が沖縄周辺で不審な動きを見せている。4日、外務省は石垣島北およそ73キロメートルのEEZ内で中国の海洋調査船が観測機器のようなものを海中に投入しているところを海上保安庁が確認し、現場で中止を求めたものの、中国船からは応答がなかったという。外務省は事前の同意がなかったとして、中国側に対し即時中止を求めて抗議している。
最近の動きを総括すると5月23日にバイデン大統領が来日し、日米首脳会談、24日にはインドのモディ首相、豪州のアルバニージー首相を呼んでクアッドが行われた。この同じタイミングで中ロの爆撃機が日本海・東シナ海上空を共同飛行し、25日には北朝鮮が3発の弾道ミサイルを発射した。
26日には中国・王毅外相がIPEFやクアッドに対抗するかのように南太平洋島嶼国を歴訪し、26日には国連安保理で中国・ロシアが北朝鮮制裁決議案を拒否するなど中国・ロシア・北朝鮮は完全に連動した動きを見せている。
ロシアも活発な外交を見せており、3日にはアフリカ連合(AU)議長国セネガルのサル大統領がプーチンにアフリカの食料危機を訴えた。8日にはプーチンがトルコ・イスタンブールに赴きエルドアンとの会談を行うという情報もある。
特に警戒すべきは6月12日のロシア建国記念日であり、この日にプーチンが何らかの宣言を行うとも言われている。今、中国・ロシア・北朝鮮の連動した動きに警戒していく必要がありそうである。
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中国・台湾侵攻への複雑なシナリオ(6月4日)
中国は米欧日との経済における依存関係があるため、米欧日から経済制裁を受けた場合の影響はロシアへの経済制裁に比べ格段と大きくなるため、台湾への武力侵攻の可能性はロシアによるウクライナ戦争突入よりは低いといえる。
ただし、プーチン大統領の力が温存されたままウクライナ戦争が停戦を迎えた場合には、中国共産党大会で3期目を確実にしてから2023年~2027年にかけて習近平国家主席は台湾侵攻を行う可能性も出てくる。...
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中国は米欧日との経済における依存関係があるため、米欧日から経済制裁を受けた場合の影響はロシアへの経済制裁に比べ格段と大きくなるため、台湾への武力侵攻の可能性はロシアによるウクライナ戦争突入よりは低いといえる。
ただし、プーチン大統領の力が温存されたままウクライナ戦争が停戦を迎えた場合には、中国共産党大会で3期目を確実にしてから2023年~2027年にかけて習近平国家主席は台湾侵攻を行う可能性も出てくる。
台湾軍は8万から9万人いることを念頭に入れ、攻撃にはその3倍から5倍の兵力が必要となることを考えると、40万人の人民解放軍がいれば台湾上陸は可能となる。ただし、中国人民解放軍の実質的な揚陸能力は4万人ぐらいであり、40万人は難しいと言われている。
ただし、兵力を艦船だけでなく貨物船、カーフェリーなどの民間船、複数の漁船に分散させて輸送してくる可能性も想定される。当然、空からの侵攻も考えられる。輸送の視点から見ると,港湾からの上陸侵略の方が、海浜の上陸より効率が良いとされているが、その両方を使う可能性もある。なかなか上陸はできないが40万人近くの人員を周辺海域に張り付けておくという状況を作り出すかもしれない。ただし、気象条件は変わりやすくその状態を長い時間維持することは難しいとみられている。
有事と平時の境界が低くなっている現在、日本も関与する可能性が出てきている台湾海峡有事のシナリオを陸・海・空・宇宙・サイバーなど、あらゆる分野でシミュレーションしておく必要があることは確かである。
更には、軍事だけではなく、政治、経済、文化など多角的に状況の観測をする必要性が出てきたともいえる。
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極めて重要な「ターニングポイント」を迎えている中国(6月4日)
中国共産党の指導部の人事を決める5年に1度の党大会がこの秋に開催される。中国トップとしては異例である3期目入り決めたい習近平国家主席だが、ここに来て黄色信号が点灯している。
ゼロコロナ政策に習主席が固執した結果、経済が急減速を見せ始めていることや、「共同富裕」を打ち出し、アリババなど中国の民営企業を叩いたことによる影響や、傷口が広がっている恒大集団問題の扱い、ロシア・プーチンのウクライナ侵攻を支持したことなどによるものである。...
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中国共産党の指導部の人事を決める5年に1度の党大会がこの秋に開催される。中国トップとしては異例である3期目入り決めたい習近平国家主席だが、ここに来て黄色信号が点灯している。
ゼロコロナ政策に習主席が固執した結果、経済が急減速を見せ始めていることや、「共同富裕」を打ち出し、アリババなど中国の民営企業を叩いたことによる影響や、傷口が広がっている恒大集団問題の扱い、ロシア・プーチンのウクライナ侵攻を支持したことなどによるものである。その一方、党序列2位で改革派の李克強首相の扱いが中国メディアで格上げされたとの話が流れてきている。
李首相が注目される一つのきっかけが、5月14日の中国共産党の機関紙「人民日報」の記事である。中国の主要公式メディアでは通常、総書記以外の指導者の演説が大きく扱われることは少ない。ところが今回、1面の見出しに続き、第2面を大きく使い、李首相が4月に行った経済政策などについての演説内容が掲載されたのである。習主席が看板政策として掲げているゼロコロナ政策にはほとんど触れられていなかったことも「異変」だとして話題になった。
さらに、この演説の直後、李首相が地方視察に訪れた際、首相だけでなく、周囲の人たちもマスクを着けずに写真に収まっていたことがネット上で拡散され、李首相がゼロコロナ政策を遠回しに批判したのではないかという憶測が広がった。李首相を推す背後には江沢民など中国太子党がいるとも伝えられ、党内の権力闘争の一端が顕在化したのではないかとの見方も出ている。
しかし、習主席の3期目入りの可能性は依然として高い。香港の明報は、建国の父、毛沢東にも使われた「領袖」に習主席が位置づけられる可能性があると伝えている。「領袖」が習主席に使われることになれば、その権威は毛沢東に並ぶものとなる。驚くことに、習主席は毛沢東が終生就いていた「党主席」に就任するとの観測も出ている。
党主席に就任すれば、現在7人で構成されている「最高指導部政治局常務委員会」の合議による最終政策決定権が、習主席1人に集約される。言い換えれば習主席の独裁体制が完成する可能性がある。暴走した場合の歯止めをかける仕組みもなくなる。果たして習主席への権力の集中が一層進むのか、それとも合議制が維持されるのか、中国は今、「ターニングポイント」を迎えている。
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米報告書・新疆ウイグル自治区を収容所のように監視(6月3日)
米国国務省は世界各国の信教の自由に関する年次報告書で「中国の新疆ウイグル自治区では2017年以降イスラム教徒など100万人以上が当局によって特別に作られた収容所などに強制的に入れられたと推計される」という分析を示した。
記者会見したブリンケン国務長官は「中国は大半がイスラム教徒のウイグルの人たちなどにジェノサイドと抑圧を続けている」と述べ「民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加えるジェノサイドが続いている」と指摘した。...
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米国国務省は世界各国の信教の自由に関する年次報告書で「中国の新疆ウイグル自治区では2017年以降イスラム教徒など100万人以上が当局によって特別に作られた収容所などに強制的に入れられたと推計される」という分析を示した。
記者会見したブリンケン国務長官は「中国は大半がイスラム教徒のウイグルの人たちなどにジェノサイドと抑圧を続けている」と述べ「民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加えるジェノサイドが続いている」と指摘した。
報告書を取りまとめた米国国務省高官は「中国はAI(人工知能)や顔認証などの先端技術を利用し新疆ウイグル自治区を収容所のように監視し管理している」と述べた。チベット自治区についても「中国政府が仏教徒に対する弾圧を続けている。チベットの言語や文化を広めるなどした人たちを逮捕し拷問している」と厳しく非難した。
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中国・王毅外相・太平洋島しょ国の外相らと会議(5月31日)
中国の王毅外相は南太平洋のフィジーで太平洋の島しょ国の外相らとの会議に臨み、気候変動や防災などの分野でこの地域への支援を進めていく方針を示した。ただ、中国が安全保障や貿易などの分野で島しょ国との協力を進める新たな構想については引き続き議論が必要だとして合意には至らなかった。
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