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ポンペオ長官の証言(7月28日)
25日に行われた上院の公聴会で、ポンペオ長官が、北朝鮮が核物質の製造を続けていることを認めたとの報道がなされたが、そのほかにもいくつかの見過ごせない証言があった。
民主党のガードナー議員「CVID(完全で、検証可能な、非可逆的な非核化)について話し合われたのか。話し合われたのなら、なぜ合意書に書かれなかったのか。」
ポンペオ長官「話し合いはなされたが、交渉の過程については明らかにできない。...
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25日に行われた上院の公聴会で、ポンペオ長官が、北朝鮮が核物質の製造を続けていることを認めたとの報道がなされたが、そのほかにもいくつかの見過ごせない証言があった。
民主党のガードナー議員「CVID(完全で、検証可能な、非可逆的な非核化)について話し合われたのか。話し合われたのなら、なぜ合意書に書かれなかったのか。」
ポンペオ長官「話し合いはなされたが、交渉の過程については明らかにできない。CVIDについてのゴールはあるが、いつそのゴールにたどり着くかはいえない。」
ガードナー「『最大限の圧力』はまだかけ続けているのか。中国や韓国が経済制裁を緩和しようとしているのではないか。制裁がなされているかについて検証はされているのか。」
ポンペオ「制裁はかけ続けている。検証も行っているが、どのような規模で行っているかについてはいえない。韓国の支援は例外的なものか、人道的なものに限られている。」
民主党のマーキー議員「トランプ大統領は北朝鮮の核の脅威がなくなったと言っているが、本当にそうなのか、証明できるのか。」
ポンペオ「ミサイル・エンジンの実験場を破壊したことが証明になる。」
マーキー「それが証明になるのか。ポンペオ長官の解釈にすぎないのではないのか。化学兵器や生物兵器については交渉したのか。」
ポンペオ「CBW(化学兵器・生物兵器)については話し合い、北朝鮮は理解したと思う。」
この回答に重ねて、化学兵器や生物兵器を廃棄すると北朝鮮は約束したのか、との問いについて、ポンペオ長官は同じ言葉を繰り返したにすぎず、確約はそれていないと思わざるを得ない。
さらにマーキー議員の「北朝鮮の人権問題について話し合われたのか。」に対しては、今回は議題にのぼらなかったが、2017年1月から話し合いは行われており、現在は中断しているとの回答があった。
このほか共和党議員も濃縮ウランについて問題視しており、それをポンペオ長官は認めざるを得ない状況になっていた。同公聴会では北朝鮮問題の他に、プーチン大統領との会談やNATOの費用分担問題などについての質問がなされた。
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北朝鮮情勢を追う(7月28日)
(米朝関係最新情報)
朝鮮戦争中止から65周年を迎えた27日、北朝鮮は55柱の朝鮮戦争での米兵遺骨を返還し、トランプ大統領は「私との約束を果たしてくれた」と金正恩委員長に感謝の意をツイートした。さらに北朝鮮は非核化の動きもみせている。北朝鮮監視機関38ノースによれば22日、北朝鮮がICBM発射施設を解体しているとみられる動きが衛星画像で確認できたという。しかし、その一方で、25日ポンペオ国務長官は米国議会での公聴会で「北朝鮮は今も核物質の生産を続けている」と述べるなど、北朝鮮の非核化の取り組みについて不満を露にした。...
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(米朝関係最新情報)
朝鮮戦争中止から65周年を迎えた27日、北朝鮮は55柱の朝鮮戦争での米兵遺骨を返還し、トランプ大統領は「私との約束を果たしてくれた」と金正恩委員長に感謝の意をツイートした。さらに北朝鮮は非核化の動きもみせている。北朝鮮監視機関38ノースによれば22日、北朝鮮がICBM発射施設を解体しているとみられる動きが衛星画像で確認できたという。しかし、その一方で、25日ポンペオ国務長官は米国議会での公聴会で「北朝鮮は今も核物質の生産を続けている」と述べるなど、北朝鮮の非核化の取り組みについて不満を露にした。核交渉よりも終戦宣言にこだわる北朝鮮と、非核化を優先したい米国との立場の違いがここにきて表面化してきているようにみえる。両国は融和ムードを壊したくないものの、打ち手は手詰まり状態にあるようだ。
(米国・北朝鮮の今後の動きを予測する)
11月に迫る中間選挙において、米兵の遺族や軍関係者の票を強く意識するトランプ大統領は朝鮮戦争戦死者の遺骨の返還について支持票固めの弾みになるものと考えている。トランプ大統領が、米兵の遺骨返還を中間選挙に向けた成果にしようとしていることを、北朝鮮としては既に織り込み済であり、北朝鮮にとっては遺骨の返還に焦点が当たれば本来の非核化協議から目をそらすことにもなり一石二鳥と言え、現在の米朝交渉は北朝鮮ペースで動いている。米国メディアの情報によれば、米朝遺骨返還交渉が始まった90年以来、米兵の遺骨は629柱が返還されたが、その際に米国側は発掘や輸送費用として日本円にして約24億円を北朝鮮に支払ったという。米国は今回の遺骨発掘調査については費用を払わない方針だが、今後の共同発掘調査に関しては遺骨返還交渉の場でその費用を負担すると表明したようだ。米国は朝鮮半島問題で一銭も出さないと公言していたトランプ大統領だが、その費用をどのようにして捻出しようとしているのかはまったく不透明である。今後、北朝鮮は残る遺骨約150柱の返還を交渉カードに使いつつ、米国に朝鮮戦争終結宣言を出すように求めてくるとみられる。
(2020年までに北朝鮮が140発の核を持つことに…)
さらに北朝鮮のICBM発射施設の廃棄の動きに関していえば、これが爆破ではなく解体という点に注意を払う必要がある。北朝鮮のミサイル技術は既に完成しており、専門家によればこうした設備は、その気になれば早い場合は3日で組み立てられるといい、額面通りに非核化の動きと解釈することは危険だという。そもそも北朝鮮は核交渉と外交交渉を全く別問題と捉えており、仮に段階的な非核化手続きを踏んだとしても北朝鮮が核開発をひたすら続けていく可能性があることは認識しておく必要がある。さらにこのままの状態で北朝鮮が核開発を続けていけば、2021年までに北朝鮮は140発の核を持つことになるという分析もあり、唯一の被爆国・日本としても黙っているわけにはいかない難しい局面に入りつつある。
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米兵遺骨返還に喜びのトランプツイッター(7月27日)
米国トランプ大統領が、「米兵遺骨返還にあたり金正恩に感謝の念」をツイッターで表した。
内容は、
「米兵の遺骨がまもなく北朝鮮から米国に返還される!長年かかったが、多くの遺族にとり素晴らしいことであろう。金正恩氏に感謝します。」
というものであった。
金正恩委員長、毛沢東長男の墓参(7月27日)
朝鮮戦争の停戦65周年の前日26日に金正恩委員長が、朝鮮戦争で戦死した毛沢東主席の長男の毛岸英氏の墓参をした。
毛岸英氏の戦死は、中朝両国の「血と革命を捧げ結ばれた、特殊で強固な親善関係」の象徴として扱われている。中朝の国交樹立60周年の2009年に訪朝した温家宝総理も墓参した。毛沢東主席の長男の死は中国が総力をあげて朝鮮戦争に参戦したイメージを与えがちである。実際には北朝鮮を支援したのは正規軍である人民解放軍ではなく、志願兵たちであった。...
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朝鮮戦争の停戦65周年の前日26日に金正恩委員長が、朝鮮戦争で戦死した毛沢東主席の長男の毛岸英氏の墓参をした。
毛岸英氏の戦死は、中朝両国の「血と革命を捧げ結ばれた、特殊で強固な親善関係」の象徴として扱われている。中朝の国交樹立60周年の2009年に訪朝した温家宝総理も墓参した。毛沢東主席の長男の死は中国が総力をあげて朝鮮戦争に参戦したイメージを与えがちである。実際には北朝鮮を支援したのは正規軍である人民解放軍ではなく、志願兵たちであった。毛岸英氏のような漢族もいたが、志願兵の大部分は朝鮮族であり、朝鮮族の人口は戦争によって大きく減少することになった。
しかも建国後間もない中国にとって、戦費の負担は重かった。1960年代になって、中国は建国間もないときに供与されたソ連からの援助の返還を求められたのだが、その中には朝鮮戦争の際の武器弾薬の代金も含まれていたことから、中国のなかでは、朝鮮戦争への参戦そのものを疑問視する声すらあがっていた。
中国の負担は重く、そのような中でも北朝鮮を援護したという自負心もある。ただし一説によると北朝鮮は北南米で朝鮮戦争の終戦宣言をしたいと思っているという。「板門店宣言」にもわざわざ「(北南米の)3者」という言葉がいれられた。中国抜きで終戦宣言を行いたいとしている金正恩委員長に対し、習近平総書記が不快感を示したともいう。今回の墓参は、「『中国外し』をしようとは思っていません」という金正恩委員長のサインであるのかもしれない。
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減少続く中朝貿易(7月25日)
中国が国連で北朝鮮に対する経済制裁の緩和にむけての意見を出そうとしたり(米国の反対により提案されず)、鴨緑江を挟んで北朝鮮の新義州と相対している遼寧省の丹東で、北朝鮮貿易が緩和されることを見越して不動産価格が値上がりしていると伝えられたりするなかで、このほど韓国の統一部は上半期の中朝貿易の数字を発表した。
2018年上半期の北朝鮮の対中貿易は前年同期比59.2%減、対中輸出は同88.7%減、対中輸入は同43.1%減であった。...
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中国が国連で北朝鮮に対する経済制裁の緩和にむけての意見を出そうとしたり(米国の反対により提案されず)、鴨緑江を挟んで北朝鮮の新義州と相対している遼寧省の丹東で、北朝鮮貿易が緩和されることを見越して不動産価格が値上がりしていると伝えられたりするなかで、このほど韓国の統一部は上半期の中朝貿易の数字を発表した。
2018年上半期の北朝鮮の対中貿易は前年同期比59.2%減、対中輸出は同88.7%減、対中輸入は同43.1%減であった。北朝鮮の対中輸出は2017年上半期時点で2016年に比べすでに28.4%減少していたことからすると、2018年の上半期は2016年の上半期に比べて1割以下の水準になる。2017年下半期から中国の経済制裁が本格化した趨勢がそのまま2018年も続けば、さら減少幅が大きくなる可能性も高い。通関統計でみる限り、中国は対北朝鮮経済制裁を緩和していないことになる。
ただし7月23日には北朝鮮の朝鮮労働党の柳明鮮・国際部副部長が中国を訪問し、中国との大規模な経済協力を協議するのではないかとの観測もあり、今後中国が北朝鮮との経済関係をそのように進めていくのかはわからないが、貿易も下半期には徐々に回復する可能性もある。
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