ウィルス禍でマスクを着用すべきか否か、ハムレットの如く悩む政治指導者【米・英国メディア】(2020/05/03)
新型コロナウィルス(COVID-19)が猛威を振るう中、昔から日本では当たり前だったマスク着用について、諸外国の政治指導者の中で、着用すべきかどうかで意見が分かれている。“アベノマスク”配布を決めた安倍晋三首相はもちろんのこと、記者会見等でマスク着用の首脳が増える中、ドナルド・トランプ大統領や金正恩(キム・ジョンウン)委員長等、自分たちは超越した存在でウィルス感染はしないと信じ、マスク着用を頑なに拒む要人もいる。
5月3日付米
『ザ・クォ-ツ』ビジネスニュース:「マスク着用すべきか否か悩む政治家」
COVID-19感染が拡大する中、各国首脳や政治指導者にとって、公の場でマスクを着用すべきか悩んでいる。
現在、多くの国で、外出時のマスク着用が呼び掛けられているが、義務ではない。
世界保健機関(WHO)も、健康な人がマスクを着用していればCOVID-19に感染しないという保証はないため、限られたマスクを、患者や医療従事者に回すべきだとしている。...
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5月3日付米
『ザ・クォ-ツ』ビジネスニュース:「マスク着用すべきか否か悩む政治家」
COVID-19感染が拡大する中、各国首脳や政治指導者にとって、公の場でマスクを着用すべきか悩んでいる。
現在、多くの国で、外出時のマスク着用が呼び掛けられているが、義務ではない。
世界保健機関(WHO)も、健康な人がマスクを着用していればCOVID-19に感染しないという保証はないため、限られたマスクを、患者や医療従事者に回すべきだとしている。
そこで、経済活動を停止させ、外出自粛を強要する都市封鎖政策をいつ解除すべきか考えている政治家にとっては、マスク着用の有無も議論の分かれる所となっている。
COVID-19感染が深刻化する多くの国では、外出時のマスク着用が任意ではなく義務になりつつある。
特に、公の場に登場する首脳にとって、マスク着用をしていれば、感染拡大を深刻に受け止めていると取られ、一方、着用しない政治家は、マスク着用が行き過ぎていると感じたり、もしくは、自身は特別な存在でマスク着用の必要はないとの信念が表れている。
マスク着用派は、安倍晋三首相及び閣僚・側近、欧州中央のスロバキア首脳ズザナ・チャプトバ大統領、更に、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相、そして米ミシガン州のグレッチャン・ホウィットマー知事等である。
不着用派の代表は、ドナルド・トランプ大統領である。
No.2のマイク・ペンス副大統領も不着用派で、過日のメイヨ-・クリニック病院(ミネソタ州)を慰問した際も、側近が着用しているのに、一人不着用であった。
ただ、COVID-19患者を見舞った際のこの態度には猛批判が巻き起こり、それを気に掛けたのか、後日、インディアナ州のGM自動車工場を訪問した際は、しっかり着用していた。
首都ワシントンの政治紙『ポリティコ』は、一方が“マスクを着用しているのは独りよがりのリベラル(民主党員)”と言えば、他方は“マスク着用を拒むのは無頓着な共和党員”と対抗していると報じている。
なお、着用拒否派にはブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領もいる。
同大統領は、COVID-19を“ただの風邪”と決めつけ、感染抑制のために都市封鎖策を推し進める州知事等をけなしている。
一方、着用派の中にも、にわか仕込みとみられる政治指導者もいる。
COVID-19発症地の湖北省武漢市の周先旺(チャオ・シャンウォン)市長は、記者会見の際に上下逆さまに着けていたし、フロリダ州のロン・ディサンティス知事は、医療用のN95マスクを着用していたものの、本来付けるべき元を絞める紐を外していたからである。
一方、同日付英国『ザ・サン』紙:「オクラホマ州の市長、買い物客のマスク着用義務宣言を取り下げ」
米南中部のオクラホマ州の市長が5月1日、一日前に発令した、“商店等で買い物をする客はマスク着用義務”という一時的規制を取り下げると発表した。
スティルウォーター市(州都オクラホマシティの郊外都市でオクラホマ州立大学所在地)のウィル・ジョイス市長で、“発令に反対した人たちが、商店の従業員らに暴言を吐いたり、銃で脅したりする不幸な事件が発生していることは許せない”としながらも、“従業員らに不利益をもたらすことは本意ではない”として撤回を決めたとする。
同市シティ・マネージャー(市政代行官、注後記)のノーマン・マクニクル氏は、“確かに、マスク着用義務は憲法違反という考え方はあり、直近でも、ガスリーズ・アンティーク・モールによるマスク着用義務指示は違法だと連邦地裁が判断している”としながらも、“COVID-19を他人に移さない等、他者に優しくするための一つの方法について、ここまで頑なに反対する人がいるのは残念”だとコメントした。
(注)シティ・マネージャー:地方行政システムのひとつ。市長を行政の主体とする市長制と違い、市議会がシティ・マネージャーを任命し行政を任せるシステム。シティ・マネージャー制のもとでは、市議会は政策の決定、条例の制定、予算の認定、マネージャーの任命を行う。この制度のもとでは、市長は、非常に儀礼的な仕事や市議会の議長的な行為を行うことが多い。
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米メディアが沖縄米軍基地移転問題を報道(2019/12/29)
防衛省は先週半ば、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設に関し、埋め立て地域で見つかった軟弱地盤の改良に時間がかかるとして、想定していた期間を大幅に上回る約12年との見通しを明らかにした。これに対して沖縄県知事は、県が当初から13年以上かかると指摘していた通りであり、辺野古移設が普天間の早期の危険性排除に繋がらないと厳しく指摘した。かかる状況に関し、米メディアも、辺野古移設による海洋生物含めた環境への悪影響について改めて報じている。
12月28日付
『ザ・クォーツ』オンラインニュース:「沖縄の米軍基地移設、海洋生物の生命を脅かすだけでなく移設費用も当初の2倍に膨張」
沖縄県のデニー玉城知事は12月26日、米軍普天間基地の辺野古への移設は、沖縄県の民意を無視するだけでなく、移設費用が底なしに膨張し、かつ、環境にも深刻な影響を与えるとして、即刻中止するよう求めた。
沖縄県には、旧日本軍が第二次世界大戦で敗戦して以降、米軍が駐留することになって、数十の米軍基地が存在する(編注;全国の約70%に相当する33の米軍施設がある)。...
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12月28日付
『ザ・クォーツ』オンラインニュース:「沖縄の米軍基地移設、海洋生物の生命を脅かすだけでなく移設費用も当初の2倍に膨張」
沖縄県のデニー玉城知事は12月26日、米軍普天間基地の辺野古への移設は、沖縄県の民意を無視するだけでなく、移設費用が底なしに膨張し、かつ、環境にも深刻な影響を与えるとして、即刻中止するよう求めた。
沖縄県には、旧日本軍が第二次世界大戦で敗戦して以降、米軍が駐留することになって、数十の米軍基地が存在する(編注;全国の約70%に相当する33の米軍施設がある)。
元々地元住民の居住地を割譲させて、これら基地が市街地に設けられており、日米間で基地移転問題が協議され、宜野湾市にある普天間基地の移転が合意されていた。
そして、移転先として決められたのが、人口が少ないとされる名護市辺野古であったが、沖縄県は、県内の移設に反対の声を上げていて、今年2月に行われた住民投票では、辺野古移設を拒絶する結果となった。
しかし、強力な与党を有する行政府は、当該住民投票の声を無視して、既定方針通り辺野古移設で取進めている。
ただ、この移設に当っては、大きな二つの問題が発生している。
ひとつは、移設工事の一環で行う埋め立て対象地域で軟弱地盤があることが発見され、地盤改良に伴う追加工事のため、総工事費が当初予算の2倍以上となる85億ドル(約9,270億円)まで膨れ上がってしまったことである。
専門家によると、対象地域の地盤は“マヨネーズと同じくらい軟らかい”という。
また、海底に7万7千本も杭打ちが行われるため、同地域のサンゴ礁は僅か1%しか生息できなくなる。
更に、マナティ(大西洋沿岸の河川・河口・湖に生息)に似通っている、天然記念物のジュゴン(紅海・インド洋・豪州北部・沖縄の浅海に生息)の生命を脅かすことにもなる。
国際自然保護連合(IUCN、注後記)は、沖縄のジュゴンは絶滅が危惧されていると指摘している。
2004年当時、889人の科学者を含めた沖縄県民によって、ジョージ・W.ブッシュ大統領(当時)及び小泉純一郎首相(当時)に対して、辺野古移設差し止め請求が行われ、一旦は工事が止められた。
しかし、普天間基地所属の海兵隊員による凶悪事件が発生し、日本政府は集落内の基地の早急なる移転が必要として、再び移設工事を開始している。
なお、沖縄には48もの無人島があるにも拘らず、菅義偉官房長官は、辺野古移設が“唯一の解決策”として、沖縄県民の反対を押し切って、工事を続けさせている。
12月26日付『AP通信』:「沖縄県の玉城知事、米軍基地移設計画中止を改めて要求」
玉城知事は12月26日、前日に防衛省が、辺野古移設工事は期間も総工費も倍以上かかるとの見通しを発表したことに対して、県民の声を無視しての移設工事継続について改めて非難した。
沖縄県民の多くは、同県内にある米軍基地の閉鎖、また、移設する場合は県外とするよう何度も要求してきているが、日米両政府は2017年、集落内にある普天間基地の移設の候補地は辺野古しかないとして、工事再開を確認している。
なお、市街地にある普天間基地の移設問題は、1995年に同基地所属の海兵隊員による少女強姦事件を契機に、日米両政府の間で、人口の少ない名護市辺野古を移転候補先として計画が進められてきていた。
(注)IUCN:1948年に創設された、国際的な自然保護団体で、国家、政府機関、NGOなどを会員とする。本部はスイスのグラン。日本は1978年に環境庁が日本の政府機関として初めて加盟、1995年に国家会員として加盟。レッドリスト(絶滅の恐れがある野生動植物のリスト)等を作成して、種の保全を訴えている。
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