ポルトガルのウクライナ人コミュニティは、ロシアのスパイが難民受け入れ施設でウクライナ人の情報収集を行っている可能性があると警告している。ポルトガル警察は、個人情報の悪用疑惑の捜査に乗り出した。
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『ユーロニュース』によると、ポルトガルの警察は、ウクライナ難民の個人データが不正に利用された疑いがあるとして、家宅捜索を実施した。警察は10日、ウクライナの戦争から逃れてきた市民を受け入れるために利用されてきたリスボン近郊セトゥーバル市の難民支援センター「Edinstvo」を捜索し、多数の書類を押収したと発表した。
このセンターでは、親ロシア派の係員2人が、難民の個人情報を違法に収集し、ロシア側に共有した疑いが持たれている。...
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『ユーロニュース』によると、ポルトガルの警察は、ウクライナ難民の個人データが不正に利用された疑いがあるとして、家宅捜索を実施した。警察は10日、ウクライナの戦争から逃れてきた市民を受け入れるために利用されてきたリスボン近郊セトゥーバル市の難民支援センター「Edinstvo」を捜索し、多数の書類を押収したと発表した。
このセンターでは、親ロシア派の係員2人が、難民の個人情報を違法に収集し、ロシア側に共有した疑いが持たれている。在ポルトガル・ウクライナ大使のインナ・オニヴェッツ氏は、収集された個人情報は「ロシア情報機関の関心を引くもの」だと主張している。
ポルトガルのメディアによると、親ロシア派の2人は難民の個人資料をコピーし、ウクライナに残る家族の所在について質問したという。2人の容疑者とロシアとのつながりが疑われることから、セトゥーバル市のアンドレ・マルティンス市長の辞任を求める声が上がっている。同市議会は、難民協会に関連する「疑わしい行為や行動」を知っていたことを否定している。ポルトガルのマルセロ・レベロ・デ・ソウザ大統領は、自治体の難民受け入れプロセスについて調査を行うよう要請した。
仏『レゼコー』によると、難民支援センター「Edinstvo」は、プーチン政権に近いロシア人が設立し、2014年のクリミア併合に賛成したリスボン大使館と非常に密接な関係にあるという。
ポルトガルのウクライナ人コミュニティの代表者によれば、セトゥーバル市で確認された出来事は他の場所でも起こりうることであり、こうした団体へのロシア人の侵入が繰り返し問題になっているという。近年、何度も政府に警告を発しており、今回、レベロ・デ・ソウザ大統領は、ポルトガル全土で徹底した調査を行うよう呼びかけた。
難民支援センターでの問題が指摘されたリスボン近郊の港町セトゥーバル市は、共産党と緑の党の連合が運営しており、「侵略」という言葉を口にすることを避け、平和主義的な姿勢を貫いてきた共産党に対して、現在、国会で批判の嵐が巻き起こっている。
ポルトガルの英字新聞『ポルトガル・ニュース』によると、ポルトガルのウクライナ人協会の会長は、「ロシア大使館に直接関係ある組織」にもかかわらず、「多文化」組織として公認されていることから、ウクライナ人の組織として見られてしまっていることが問題だと指摘している。「ロシアがウクライナ領土に侵攻する数ヶ月前に、これらの組織は突然、ポルトガルのロシア大使館とのつながりを示すすべての情報をホームページやソーシャルネットワーク上で削除していた」と説明している。
ウクライナ人協会は、こうした組織の役割は、ウクライナ人コミュニティに影響を与え、ウクライナの社会的・政治的現実について「ポルトガル社会に誤った情報を与える」ことで、ウクライナはロシア領土の一部であると西側諸国に信じ込ませることだと主張している。
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