フランスメディアが見るパレスチナ国家の承認(2014/12/04)
スウェーデン、英国、スペインに続き、フランス国民議会で、パレスチナ国家承認の決議案が採択された。ユダヤ系が影響力をもつ米国との関係や、ユダヤのホロコーストを経験した欧州の地政学と中東政策に、どう影響するのか?フランスメディアは、次の通り報じている。
『ラクロワ紙』は「フランス国民議会は12月2日に、紛争の最終的解決を得るために、賛成339票、反対151票で、与党社会党のパレスチナ国家承認の決議案を承認した」と報じる。決議案について、
『レゼコー紙』は「象徴的で論戦的な決議案は、政府に対して法的拘束力がない」としながらも、「パレスチナ国家承認が欧州でより広く刻み込まれ、イスラエルを交渉再開に向かわせるという考えが広まる」と評し、「交渉はこの春の米国による仲裁の失敗以来、膠着状態」と伝える。...
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『ラクロワ紙』は「フランス国民議会は12月2日に、紛争の最終的解決を得るために、賛成339票、反対151票で、与党社会党のパレスチナ国家承認の決議案を承認した」と報じる。決議案について、
『レゼコー紙』は「象徴的で論戦的な決議案は、政府に対して法的拘束力がない」としながらも、「パレスチナ国家承認が欧州でより広く刻み込まれ、イスラエルを交渉再開に向かわせるという考えが広まる」と評し、「交渉はこの春の米国による仲裁の失敗以来、膠着状態」と伝える。
『トリビューン紙』」は、「ファビウス外務大臣は先週、国際社会が見守る中で和平交渉が最終的に頓挫すれば、フランスは“直ちに”パレスチナ国家を承認すると発表し、国家承認を擁護」、レゼコー紙は「パレスチナ国家を支持するが、当事者間の直接交渉による場合のみ」と、フランス政府当局の立場を報じる。
また、「イスラエルは、国民議会の投票が和平を遠ざけると通知」、「パレスチナ自治政府は投票を歓迎」、「米国国務省は公式には非難せず、この決議案に法的拘束力がない事と、フランス政府の立場に変化がない事”を強調するのみ」と各国の反応を伝えた。
ラクロワ紙によると「与党社会党、エコロジー政党、共産党が賛成票を投じる一方、革新系左派は棄権と賛成で割れた」が、「右派の国民運動連合(UMP)は最終的には“火に油を注ぎ、法的に無用な決議案”と反対した。議会ではなく、政府当局の管轄と主張する前大統領のサルコジ党首の方針を支持」。レゼコー紙は、中道連合のラガルド代表の「反対する三つの理由」を掲載する。「パレスチナ解放機構(PLO)は、国連で独立国家承認を求めていない事」、「選挙結果より欧州共同体を重視しており、欧州が分裂し弱体化する事」、「国家承認でパレスチナ問題を収める事が可能か?という疑問」を挙げる。
ラクロワ紙は、賛成の主張として国際法専門のブリング教授の「雪だるま効果」を紹介する。「教授の母国スウェーデンは、政令による国家承認をした欧州最初の国で、英国、アイルランド、スペインは議会投票で賛成を表明し、欧州諸国が追従する可能性がある」と報じる。トリビューン紙によると、「国連加盟国193か国中135ヶ国と世界の70%が既に承認済み」。
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フランスメディアが見る北朝鮮の人道に対する罪(2014/11/21)
北朝鮮を、国際刑事裁判所に提訴する法的措置が、国連で進んでいる。フランスの各メディアは、次のように報じる。
『ラクロワ紙』は、「国連総会の人権委員会は18日に、人道に対する罪で、北朝鮮を国際刑事裁判所に提訴する事を、国連安全保障理事会に求める決議案について、投票を実施した」と報じる。ラクロワ紙によると「この決議案はEUにより提案され、日本をはじめ60の協賛国が支持し、キューバ、ベラルーシ、中国、ロシア等が反対したが、圧倒的多数で賛成を獲得」。
『リベラシオン紙』は、「政権に就く前の犯罪は処罰されないままだが、金正恩総書記は共犯にあたる」と、国連のダルスマン氏の見解を報じる。...
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『ラクロワ紙』は、「国連総会の人権委員会は18日に、人道に対する罪で、北朝鮮を国際刑事裁判所に提訴する事を、国連安全保障理事会に求める決議案について、投票を実施した」と報じる。ラクロワ紙によると「この決議案はEUにより提案され、日本をはじめ60の協賛国が支持し、キューバ、ベラルーシ、中国、ロシア等が反対したが、圧倒的多数で賛成を獲得」。
『リベラシオン紙』は、「政権に就く前の犯罪は処罰されないままだが、金正恩総書記は共犯にあたる」と、国連のダルスマン氏の見解を報じる。それよると、「国連の調査委員会は、2011年12月の金正日前総書記の逝去以前に、実行された大掛かりな犯罪を調査した。金正恩は人権侵害を知らされていたが、その結果の行動をとらず、人道に対する罪の共犯で有罪になると、ダルスマン氏は強調した」。ラクロワ紙は、「大規模な人権侵害は長期に渡り、証拠の裏付けがある。脱北者の証言と衛星観測のお蔭で、十数個の強制収容所が国中に存在し、12万人近くが、政治犯その他の罪で収容されていると分かった。強制労働、拷問、性的暴行、即決処刑が横行する」と元外交官の言葉を引用する。
『フィガロ紙』は、「北朝鮮は国連の決議案を受けて、この決議案は詐欺だと述べ、新たな核実験の脅しを振りかざした。一方、衛星写真で北朝鮮が、軍需用プルトニウム再処理工場を稼動している事が示された」と報じる。リベラシオン紙は、「北朝鮮はこの計画に反撃するため、外交的に反撃に出た」と伝え、「金正恩総書記は、次にロシアの支持を得るために、信頼できる人物を急ぎ派遣する予定」と報じるが、「北朝鮮指導者達への説明と、これまで以上に断固とした姿勢が不可欠」とダルスマン氏の見解を引用する。
決議案は、この状況を変えられるか?という問いに対し、ラクロワ紙は、「北朝鮮の指導者達がすぐに裁かれることは無いと、NGOヒューマン・ライツ・ウォッチのマッテイオリ氏が認めた」と伝えるが、「強制力はなくとも、国連総会の決定は、安全保障理事会の賛成を得やすくする」と指摘する。「ロシアと中国は、北朝鮮の主要な同盟国で、どちらも拒否権を持ち、反対しても驚かない」とダルスマン氏の見方を報じる。
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