2012年の政権復帰以来最低の支持率に沈み、安倍政権とアベノミクスの持続性に疑問を呈されている安倍首相は、7月の東京都議会議員選挙で惨敗した自民党の反転を期して、8月に内閣改造を行う。7月10日発表の朝日新聞による週末の世論調査では、安倍政権の支持率は33%で、前週から7ポイント低下した。一方、不支持率は47%で5%上昇した。安倍首相支持で知られる保守系の読売新聞とNTVや、公共放送のNHKによる世論調査も同様の結果を示した。7月7~9日の読売新聞の世論調査によると、安倍首相の支持率は6月中旬より13ポイント低下し、36%となった。不支持率は41%から52%に上昇した。NTVの調査では支持率32%、NHKでは35%に下がった。安倍首相はG20首脳会議出席のため訪問中の欧州で記者団に対し、8月初旬に内閣改造を行うと述べた。
この内閣改造では問題のある発言や不祥事で批判された一部の大臣を交代させる予定だ。稲田防衛相は、東京都議会議員選挙で自民党候補の応援演説に際し、防衛省として応援すると発言し、公務員と防衛省の中立性を定めた法律に違反したとして非難されており、交代の予定だ。
安倍首相自身を含む一連のスキャンダルや共謀罪等重要法案の強行採決、経済改革の遅れで安倍首相は支持率を下げ、7月2日の東京議会議員選挙で自民党の大敗をもたらした。この低い支持率は、安倍首相が景気刺激策を実行して人気を回復させるか、それとも新たな自民党の指導者が選ばれるかにつながる可能性がある。
しかし、国会での政治基盤を欠く小池東京知事を除いて日本の野党は弱く、安倍首相の強い議会での基盤を考えると、この困難を乗り越えることができる可能性もある。安倍首相の共謀罪等の非経済政策は国民の理解を得られておらず、2020年までに日本の憲法を改正するという公約は、多くの有権者にとって優先課題ではない。安倍首相のスキャンダルは自民党内での政局につながった。安倍首相のライバルの石破氏は東京都議会議員選挙の敗北を契機に、安倍政権を批判し方向転換を要求している。また安倍首相の後継者とされている岸田外相も自民党の指導力を主張し始めた。安倍首相は、2018年秋に自民党総裁としての2回目の3年間の任期を終える予定である。2020年の東京オリンピックを自分の手で行う野望を果たすためには、党総裁選と、遅くとも2018年12月までに行われる総選挙に勝つ必要がある。
首相の友人が新しい獣医大学の政府からの承認を得る手助けをしたとのスキャンダルが現在進行中である 。7月10日、文部科学省の前川前事務次官は、意思決定プロセスは極めて不公平で不透明であったとし、明らかに首相官邸が獣医大学の承認に対して重大な影響を与えたと国会の聴聞会で語った。この聴聞会には安倍首相は出席しなかった。自民党は文部科学省の前事務次官の国会招致を繰り返し拒否してきたが、7月2日の東京都議会議員選挙で敗北した後、譲歩した。安倍首相の側近は、この問題は規制緩和の一環だとして問題ないと述べた。読売新聞の世論調査では72%の回答者が、新しい獣医大学に関するスキャンダルについて説明する必要があると回答した。
読売新聞は、安倍政権の支持率がわずか2カ月前に61%だったのと比較して、支持率の下落幅の大きさは衝撃的だと指摘し、これに安倍首相は大変残念に思うと繰り返しているが、国民の不信感はこれまでになく増えているとしている。また米国の日本に関するある専門家は読売新聞の世論調査は、自民党支持者を含む国民の信頼が崩壊していることを示唆しており、来月予定されている内閣改造はあまりにも遅すぎると指摘する。
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今月25日から来日するフィリピンのドゥテルテ大統領は、中国を訪問し「中国が頼り、アメリカと決別する」と発言し、米国と世界を不安にさせたが、米国側はフィリピンと引き続き同盟関係を維持し麻薬問題でも支援を行うが、米国の利益を損なわせないとするなど駆け引きが続いている。ドゥテルテ大統領も来日を前に「米国との同盟関係は続いている」と日本のメディアに語るなど、来日での言動に世界から注目が集まる。
10月25日付米
『ABCニュース』(AP通信引用)は「フィリピンのドゥテルテ氏は世界の関係を損なっている、米国」との見出しで次のように報道している。
アジア外交担当トップ、ダニエル・ラッセル東アジア・太平洋担当国務次官補は、比ドゥテルテ大統領の発言により、比政府の思惑が非常に不透明な状態が米国や世界の関係を損なっていると発言。ラッセル国務次官補は、物議を醸す発言の数々は米比、他各国、政府内だけでなく、民間企業や米国内のフィリピン人コニュニティでも明らかに不安を招いており、これは好ましくない事態だとし、フィリピンとの同盟関係を続ける努力と麻薬犯罪を含め支援を行う考えを示した。...
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10月25日付米
『ABCニュース』(AP通信引用)は「フィリピンのドゥテルテ氏は世界の関係を損なっている、米国」との見出しで次のように報道している。
アジア外交担当トップ、ダニエル・ラッセル東アジア・太平洋担当国務次官補は、比ドゥテルテ大統領の発言により、比政府の思惑が非常に不透明な状態が米国や世界の関係を損なっていると発言。ラッセル国務次官補は、物議を醸す発言の数々は米比、他各国、政府内だけでなく、民間企業や米国内のフィリピン人コニュニティでも明らかに不安を招いており、これは好ましくない事態だとし、フィリピンとの同盟関係を続ける努力と麻薬犯罪を含め支援を行う考えを示した。東南アジア訪問でダニエル国務次官補は、フィリピンのヤサイ外相と麻薬取締にともなう殺害について会談、また、ジョンケリー国務長官も電話で「両国の近況」について会談した。
ドゥテルテ政権内は官僚内でも混乱を起こすほど、一貫性がなく物議を醸しているが、米国との同盟を解消したいのではなく、ただ米国至上主義の外交政策とは決別したいという。
ジョン・カービー国務省報道官は、米比の軍事協定に言及。ヤサイ外相は米比軍事演習継続可能かとの質問にノーコメントとした。南シナ海のスカロボー礁を米比軍が監視すれば、中国への抑止の目となる。米比関係の緊張を解き和解を望むが、それを優先し米国の損害となる事態は好ましくない、とラッセル氏。ドゥテルテ大統領は先週中国との会談後スカロボー礁はフィリピンに戻される可能性があるとしていたが、中国側の条件には言及しなかった。当件で中国外交部ルカン報道官はノーコメント、中比間の政治交渉次第で解決されるとした。
10月24日付
『ロイター通信』は「フィリピンのドゥテルテ氏、日本訪問をひかえ対米策を軟化」との見出しで次のように報道している。
米国との「決別」を宣言した比ドゥテルテ大統領は、米国に背を向け中国に近づくフィリピン外交を懸念する日本を訪問予定だが、日本のメディアに対し「同盟関係は続いているので心配はいらない」と発言。この発言は安倍首相に歓迎されることだろう。岸田外務大臣は火曜ドゥテルテ大統領と会談する予定。
翌日に安倍首相は高官との正式会談後、2者会談の予定。
「日経新聞」は、ドゥテルテ大統領は(中国で米国との同盟解消に言及したのは)個人的意見を言ったもので、米国との決別は政府としての見解ではない、と述べ、中国とは貿易関係の同盟を結ぶ予定だという意味だと報道。しかし一方、「読売新聞」は、同氏は米比合同軍事演習をやめ、軍事協定を解消したいと強調したと報道。
安倍首相は残念だが日本のフィリピンへの貢献は変わらないとし、ジョン・ケリー米国務長官は米比関係解決の自信を示している。
10月25日付フィリピン
『フィルスター』は「ヤサイ外相: 独立外交は同盟解消ではない」との見出しで次のように報道している。
パセイ市で開かれた国連デーの行事演説で、ヤサイ外相は、自治権をもつ国は自国の現状にあわせ、自国で決断を下す権利がある。フィリピンは柔軟性と戦略バランスを保ち、国際法に従い、国益に最良の方法をとる。独立したプラグマティックな外交で、自国の利益を優先し同盟を拡大すると強調した。また、フィリピンは国際コミュニティに関わりながら、対立や相違を克服し近隣他国と共通の目的のため同盟や協力をしつつ一方、緊急の課題を解決する、とした。
国連について外相は、「国連は、国々の共通の課題への大綱を示し、有効な解決を模索するべきだ」とした。国連を巡っては、ドゥテルテ大統領が国連を脱退すると発言し、後に冗談だとしていた。
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