米大統領選の近況(2016/07/15)
米大統領選で共和党指名確実のドナルド・トランプ氏が選挙戦の片腕となる副大統領候補にインディアナ州のマイク・ペンス知事を選出する可能性が高いとの報道が出た。正式発表はニースでテロが起きたため延期されている。民主党では、バーニー・サンダース上院議員は本選までの撤退はしないが、前国務長官ヒラリー・クリントン候補の支持をやっと表明し挙党態勢をアピールしている。
7月14日付
『ロイター通信』は「トランプ氏、延期の副大統領発表、インディアナのペンス氏との見方」との見出しで次のように報道している。
・金曜予定されていた副大統領候補の発表を仏ニースで起きたトラックによるテロ事件発生で急きょ延期した。共和党の情報によると、副大統領候補はインディアナ州のマイク・ペンス知事と見られている。
・イスラム教徒入国禁止の主張には意義を唱える保守派のため共和党の調和をねらうトランプの片腕としては適任。...
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7月14日付
『ロイター通信』は「トランプ氏、延期の副大統領発表、インディアナのペンス氏との見方」との見出しで次のように報道している。
・金曜予定されていた副大統領候補の発表を仏ニースで起きたトラックによるテロ事件発生で急きょ延期した。共和党の情報によると、副大統領候補はインディアナ州のマイク・ペンス知事と見られている。
・イスラム教徒入国禁止の主張には意義を唱える保守派のため共和党の調和をねらうトランプの片腕としては適任。マンハッタンで同氏を正式発表の予定であったが、ツイートで仏のテロに配慮し延期を宣言した。「FOXニュース」に延期日は金曜発表とした。
・過去テロに関与した国からのイスラム教徒の移民入国禁止を唱えたトランプ氏は、仏のテロを受け、イスラム兵との闘いに世界一丸で立ち向かわなければならないと述べた。
・「FOXニュース」に対し、最終候補3名(ペンス氏他ニュート・ギングリッチ氏やクリス・クリスティー氏)の名をあげ、副大統領候補選びに関しては、「最後で最後の決断」はまだとした。
7月13日付
『ヤフーニュース』は「期待以上の候補とサンダースが遂にクリントンを支持」との見出しで以下の様に報道している。
・抱擁と握手をしクリントン氏の支持を表明。支持者に対し、次の我らの「政治改革」はクリントン氏の支持だと強調。クリントン氏を支持する理由を最大限明確にするまでこの日を待ったとした。
・この選挙戦はトランプ対クリントン対サンダースの戦いでなく、国民全体が危機を乗り越える必要があるためである。本選ではクリントン選出が適任だと述べた。
・クリントン氏は、今後4か月の選挙はサンダースを味方につけて「もっと楽しめる」と述べた。サンダースの主張である、TPP反対、最低賃金上昇の取り込んだ挙党態勢をアピールした。
・2人の団結を見たサンダース支持者には、「クリントンは不支持の象徴」とけぎらう者や逆に「(予想だにしなかった)クリントンの言葉にサンダースを感じた」という者もいた。
・最新の調査では、サンダース支持票の多くはクリントン票に流れる予測だが、クリントン氏の誠実さにおいては一定の制限がかかる。
・ジェンフォワードの最新調査では、18~30歳の有権者でサンダースを熱狂的に支持した若者はクリントンに流れにくくなっていると判明。国全体の若い黒人、アジア系はクリントン支持の模様だが、白人とヒスパニック系で苦戦。
7月14日付米
『11alive』は「トランプの副大統領候補、インディアナ州知事マイク・ペンスはどんな人?」との見出しで次の様に報道している。
・2001~2012年まで6期務めた政治家マイク・ペンス氏は、敬虔なキリスト教徒で、政治信条は政党由来でなく宗教が一番に来ており、特徴的には、キリスト教徒、保守派、共和党の順番の人。
・断固とした中絶反対派であり、宗教の自由に反対、同性婚に反対。「コンサーヴァティヴ・マインド(保守的思想)」の著者で近代保守主義の支持者ラッセル・カークに強い影響を受けている。JFKの崇拝者。
・熱心なカソリックだが政治的家庭に育ったわけでない。JFKとマーチン・ルーサーキングが政治への関心を高めた。1980年はジミー・カーターに投票(当時民主党現職大統領・同年はロナルド・レーガンに落選)。政治的思想が婚期あたりに変わり、共和党へ。
・ペンス氏は移民に関する考えは家族の経験に基づくと述べていた。祖父は1900年代初め「エリス島」から入植したアイルランド移民でシカゴのバス運転手だった。移民問題では他の保守派の政治家と同じ考えを持っている。2014年のオバマ大統領が大統領権限で進めていた移民制度改革(米国籍や合法的な滞在資格がある子供を持つ不法移民の強制送還を免除する政策)に対し、複数の州政府が違憲だとしたオバマ政権提訴に参加。最近ではシリア難民のインディアナ州定住に反対していた。
・ペンス氏の礼儀正しい振る舞いはトランプ氏のそれとは対極をなす。だが、初期である1988年と1990年の知事選では、ネガティブキャンペーンをしていた。(後に後悔していると発言)
・法人税減税によりインディアナ州の経済を活性化。現在同州は全国で7番目に法人税が低く、2021年までには6.5%から4.9%にする法案に署名。ペンス氏就任後の同州の失業率が低下。
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米大統領選で第三党の候補(2016/06/01)
米国大統領選で民主、共和党以外の第三党から新たな候補者が浮上。リバタリアン党のゲーリー・ジョンソン氏(元ニューメキシコ州知事)が党の大統領候補に指名された。リバタリアン党(自由主義者党)はこれまで上下院の議席獲得もなく、ジョンソン氏は前回2012年に出馬するも得票率1%のみ。元共和党員のジョンソン氏は知事経験が長く、拒否権行使の多用、マリファナ解禁支持で知られた。同党から、副大統領候補にはウィリアム・ウェルド氏(元マサチューセッツ州知事)が指名された。元共和党員のウェルド氏は人工中絶、同性婚支持で中道右派だが政策によってはリバタリアンと一線を課す。リバタリアン党は、トランプ氏を受け入れ難い有権者に新たな選択肢を与えることになるのだろうか。
5月30日付
『ウォールストリートジャーナル』(ロイター通信引用)は「リバタリアン党、ゲーリー・ジョンソンとウィリアム・ウェルドを党候補に指名」との見出しで以下のように報道している。
・リバタリアン党は党大会で、元共和党で元ニュー・メキシコ知事ゲーリー・ジョンソン氏を大統領候補に、元マサチューセッツ州知事ウィリアム・ウェルド氏を副大統領に指名。元共和党員の両氏を指名することで、リバタリアン党は共和党指名候補ドナルド・トランプ氏と民主党最有力候補ヒラリー・クリントン氏への有力な対抗馬とするねらい。...
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5月30日付
『ウォールストリートジャーナル』(ロイター通信引用)は「リバタリアン党、ゲーリー・ジョンソンとウィリアム・ウェルドを党候補に指名」との見出しで以下のように報道している。
・リバタリアン党は党大会で、元共和党で元ニュー・メキシコ知事ゲーリー・ジョンソン氏を大統領候補に、元マサチューセッツ州知事ウィリアム・ウェルド氏を副大統領に指名。元共和党員の両氏を指名することで、リバタリアン党は共和党指名候補ドナルド・トランプ氏と民主党最有力候補ヒラリー・クリントン氏への有力な対抗馬とするねらい。
・100年の歴史をもつリバタリアン党だが、大統領選挙で1%以上の得票率を得たことはなく、連邦議会で議席を得たことが無い。
・ジョンソン氏は2期共和党から知事、拒否権の多用、ドラッグ使用合法化支持で知られ、2012年共和党から大統領選に立候補し本選で約130万票獲得。同氏は、「米国人の半分は現在無党派で、リバタリアン党の出番だ。米国の市民はその自覚がないが、殆どはリバタリアン(自由主義者)だ」とする。
・一方、ウェルド氏は民主党一色のマサチューセッツ州で、人工中絶、ゲイ市民権では、中道右派寄り共和党員として2期知事を務めた。銃規制、自由貿易、外交政策への観念からリバタリアンとしてやや弱い。
・今年の大統領選の世論調査でかつてないほど第三の候補が求められている現状。これまで、第三の党から大統領になった人はなく、両氏は大注目を浴びる。クリントン、トランプ氏と争った場合、ジョンソンが1割の支持との調査も僅かだがある。
5月29日付英
『デイリーメール』は以下のように報道している。
・ゲーリー・ジョンソン氏は日曜フロリダのオーランドで開かれた党大会で2回とも過半数を獲得。
ジョンソン氏は演説で、「(同氏の)フランクな手法が有権者に受け入れられ、長期間少数派だったリバタリアン党の躍進につながる。」と述べた。
・ジョンソン氏は、ウェルド氏を「お手本」とし、ウェルド氏と協調しなければ大統領選で戦えないと思うとラブコールを述べたが、リバタリアン派からやや隔たりをもったウェルド氏に対する党内の代議員からの反応は冷ややかなものだった。
5月31日付米
『NBCニュース』は「ドナルド・トランプは第三の候補を警戒するべきか?」との見出しで、以下のように報道している。
・世論調査でトランプがヒラリーを猛追する中、先週末、トランプ候補に疎外感を抱く社会保守主義者、タカ派、経済保守派共和党員を取り込みを狙い第三党の新顔が浮上。
・リバタリアン党ゲーリー・ジョンソンとウィリアム・ウェルド両氏の同性婚、中絶支持、麻薬合法賛成の右派思想への見方は厳しく、トランプ氏に反対(婚姻複数回)の立場の社会保守派なら支持しないだろう。
・民主共和候補両氏の人気の勢いなさが第三候補に票を許すかと思われるが、支持層がきれいに分かれており、第三党候補の出番はほぼなく、名が知れていない保守派候補が5ヶ月で全米でキャンペーンを繰り広げ、候補者討論会への参加に必要な(世論調査での)15%の支持を得るのも至難の業。
・しかし有利な点は、32の州で候補者となっており、全50州とコロンビア特別区でも準備が整っている。反トランプ派は39州で候補者名簿の用意ができ、またテキサス州で無党派が立候補する際の厳しい規制等の改正を求める訴訟を起こす可能性もあるとする。
・自信に満ちて勝利を豪語するトランプ氏も警戒しているようで、共和党内では第三候補の登場で、クリントンが勝利を治める事を懸念する声がある。共和党内は急速にトランプ支持に団結しており、主流派からも予測された反対がそれほど起きていない。
・先週の「FOXニュース」の調査では、トランプ氏42%、クリントン氏39%に対しジョンソンは10%の支持につけたが、クリントン票がジョンソン氏に流れた事を意味する。ジョンソン氏が脅威となるほどでなくとも、道義的、小さな政府推進派からの批判が増すだろう。トランプは「ニューヨークタイムズ紙」で、ウェルド氏を「アルコール中毒」だと攻撃。ウェルド氏は穏やかに反撃、「言わせておく」とした。
6月1日付
『ヤフーニュース』は「世論調査、予備選と政治が崩壊していると米国民」との見出しで、以下のように報道している。
・最新の調査によると、今回の予測不能で、不安定で風変りとなった大統領選挙予備選を総括し、多くの米国人は国の政治システムに失望と怒りを抱いている。3人に2人は党派に関わらず、選挙に「不満」を持つ。
・政府機関について1060人を調査した、「AP通信」とNORCセンターによる調査によると、65%が「選挙戦に関心がある」、選挙の方法については、23%は「楽しい(excited)」、13%が「誇りに思う(pround)」。1割のみが政治システムに「満足」。政府部門のうち、過半数が満足と答えたのは「軍」のみ。「国会」は4%のみ満足。有権者は民主、共和党両党の主流派にも不満で、党が新しい思想や有権者の意見を取り入れていると回答したのは2割のみ。」
・不満は今回の大統領選に反映された。国民の半数はサンダース氏の参戦が民主党にとって良かったと回答(トランプの参戦は33%)。予備選挙の方法は閉ざされたシステムで、州による相違、党名のみを記入するのは無党派を受け付けない、予備選挙と党員集会の差異などに批判が多い。7割近くが公平でオープンな予備選を望むとし、8割強が「予備選(プライマリー)」が「党員集会(コーカス)」と比較してより公平であると答えた。両党の選挙システムの改正は今回の選挙後となりそうだが、夏の党大会の議題となりそうである。
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