トランプ候補、移民政策を発表(2016/09/02)
米共和党トランプ大統領候補は、8月31日メキシコ大統領との会談後アリゾナ州フェニックスで移民政策について演説した。トランプ候補の移民政策については、共和党主流派やヒスパニックへも支持基盤を広げるため、またメキシコ大統領との会談も融和的に終わったことも手伝って、演説前には従来の強硬路線を軟化させるのではとの観測もあったが、結果的には従来の強硬路線を堅持し、不法入国者に対する強制送還措置を厳格にすると主張した。厳格な移民政策は同候補が支持を広げた原点であり、ここで軟化すればこれまで同候補を支持して来た本来の支持層からの支持を失うリスクがあり、原点回帰を優先したものとみられる。この決定が今後の選挙戦にどう影響するかが注目される。
9月1日付
『ニューヨークタイムズ』は、「今ドナルド・トランプは移民政策で何を望むか」という見出しで、ドナルド・トランプは水曜日フェニックスで、所謂聖域都市の廃止、強制送還のための機動部隊創設、不法移民犯罪者の徹底取り締まりを含む10項目の移民政策を発表したが、本来の支持層へ強く訴える強硬且つ非妥協的路線へ回帰するものであったと報じた。同候補は、推定で1,100万人居ると言われる不法入国者の即時強制送還までは語らなかったが、近い将来これらの人々に合法的地位を与えることには反対の態度を示した。...
全部読む
9月1日付
『ニューヨークタイムズ』は、「今ドナルド・トランプは移民政策で何を望むか」という見出しで、ドナルド・トランプは水曜日フェニックスで、所謂聖域都市の廃止、強制送還のための機動部隊創設、不法移民犯罪者の徹底取り締まりを含む10項目の移民政策を発表したが、本来の支持層へ強く訴える強硬且つ非妥協的路線へ回帰するものであったと報じた。同候補は、推定で1,100万人居ると言われる不法入国者の即時強制送還までは語らなかったが、近い将来これらの人々に合法的地位を与えることには反対の態度を示した。今回の政策には、実際の運用が難しいと思われるもの、オバマ政権の政策と大きくは違わないものも含まれるが、大半は現状よりも法の強制力を強めるものである。現実には難しいだろうが、同候補は2百万人の強制送還を含めすべてを就任後数ヶ月以内には実施すると語った。以下は同候補の移民政策の概要である。
犯罪歴のある不法入国者の強制送還を早期に実施する。人数は2百万人と言われており、軽犯罪者も含まれるものとみられる。オバマ政権と比べ、送還対象者が広がり、送還手続きのスピードが加速化されるとみられる。また、強制送還のための機動部隊を創設する。
現在デンバー、ニューヘイブン、ニューヨーク、カリフォルニア州の多くの郡などは、「聖域都市」といわれ各自治体が現地の治安維持に不法入国者の協力が必要だという理由で、拘留等の連邦政府の犯罪者への法律執行への協力を行っていない。トランプ候補はこれら「聖域都市」に対する連邦政府の資金援助を停止すると主張する。
同候補は不法入国者に合法的地位を与えることについては完全に否定し、合法的地位を得るためには一旦帰国して、正式な移民手続きを取らなければならないとした。また、メキシコ国境に壁を築く件については、メキシコ大統領は会談後同国はその費用を負担しないとトランプ候補との会談で述べたと主張しているにも関わらず、費用はメキシコが負担すると繰り返したと報じている。
9月1日付
『USニューズ&ワールドレポート』は、「トランプ候補の移民演説、ラテン系住民の反発を受ける」という見出しで、トランプ候補の水曜日のアリゾナ州での移民演説は、いくつかの大きなラテン系トランプ支持団体の離反を招いたのと、それに乗じるクリントン陣営の戦術もあって、トランプ候補がヒスパニックの過半の票を得ることを難しくしたと思われると報じた。あるヒスパニック系のトランプ支持団体の人は、演説を聞く前はトランプ候補が現実的で思いやりのある移民政策を発表すると信じて支持していたが、演説を聞いて団体を退団したと語る。
また、クリントン陣営はメキシコ大統領との会談でトランプ候補の外交能力のなさが示されたと評する。また、移民演説も最悪の演説だったとみて、従来共和党の勢力が強いアリゾナ、ジョージア、ユタ州で攻勢をかけようとしているとも報じている。
閉じる
トランプ候補のメキシコ訪問(2016/09/01)
米共和党トランプ候補は8月31日メキシコのペニャニエト大統領の招きで同国を訪問し同大統領と会談した。ペニャニエト大統領は民主党クリントン候補も招待しており、同候補も後日メキシコを訪問する予定である。メキシコからの不法移民を防ぐために、国境に壁を作り費用はメキシコに負担してもらうという主張は、ポピュリズムに訴えたトランプ候補の主張の中でも最たるものであり、同候補がメキシコでどのように対応するかが注目されたが、今回壁を作る話はしたものの、費用をメキシコに負担してもらうという話は出なかったようである。同候補は同日メキシコから帰国後アリゾナ州フェニックスで新たな移民政策を発表する予定であるが、これまでの主張を修正するのか注目される。
9月1日付
『ヤフーニューズ』(AFP通信引用)は、「トランプ候補、メキシコ大統領と会談するも選挙戦テーマは避ける」という見出しで、トランプ候補は1年以上に亘ってメキシコを米国の職と安全を脅かす敵であると非難し続けたが、急ぎ足での今回の訪問では融和的態度を示し、両国の結束を強調したと報じた。今回の訪問で同候補は明らかに、最も意見が割れている国境の壁建設とその資金負担の問題は回避した。会談後メキシコ大統領との共同会見でトランプ候補は、「壁の話はしたが費用の話まではしなかった。...
全部読む
9月1日付
『ヤフーニューズ』(AFP通信引用)は、「トランプ候補、メキシコ大統領と会談するも選挙戦テーマは避ける」という見出しで、トランプ候補は1年以上に亘ってメキシコを米国の職と安全を脅かす敵であると非難し続けたが、急ぎ足での今回の訪問では融和的態度を示し、両国の結束を強調したと報じた。今回の訪問で同候補は明らかに、最も意見が割れている国境の壁建設とその資金負担の問題は回避した。会談後メキシコ大統領との共同会見でトランプ候補は、「壁の話はしたが費用の話まではしなかった。それは後日やる」と述べた。
この会談の数時間後には、フェニックスで移民政策について演説を行う予定であるが、同候補が最近これまで多くの支持を得て来た保守層を超えて支持を広げようとする中でその移民政策は不明確になって来ており、穏健なものに修正するのかどうかが注目される。一方ペニャニエト大統領はこれまでトランプ候補をヒトラーやムッソリーニに例えるほど批判して来たが、両国共通の利益につき対話を進めるために招待したとしている。トランプ候補が短時間で招待に応えてメキシコを訪問したことに対し、同大統領は「様々なことで意見が異なるが、今回の訪問は多くの共通点も有していることを示している」と評価した。トランプ候補は重々しい表情で会見に臨み、メキシコ人の友人や従業員は素晴らしい人たちだと称えはしたが、安全な国境を持つことは国家の主権であり、両国の利益となると自分の主張を繰り返したと報じている。
8月31日付
『USニューズ&ワールドレポート』は、「トランプ候補、ペニャニエト大統領ともメキシコシティに多くのファンはいないのでは」という見出しで、トランプ米共和党大統領候補とペニャニエト大統領というメキシコでは不人気な二人が、米墨両国国民を驚かせた動きの中で、水曜日会談を行ったと報じた。メキシコ大統領への最近の不支持率は63%に及んでおり、一方のトランプ候補の支持率も32%と低迷している。またトランプ候補は対メキシコ政策や移民政策を穏健化したと思われるリスク、ペニャニエト大統領は同候補の政策に暗黙の了解を与えたと思われるリスクがあり、今回の会談は二人にとり利益になるとは思われていなかったため、驚きをもって迎えられた。
メキシコのメディアは、トランプ候補に対し会談の際に同国民へ謝罪すべきであり、またそれがなければペニャニエト大統領は同国民からの信頼をなくすと主張する。メキシコの元大統領は、トランプ候補はメキシコで歓迎されておらず、ペニャニエト大統領の今回の行動は間違いであり、トランプ候補に甘いとみなされるだけだと批判したとも報じている。
閉じる
その他の最新記事