ウラジーミル・プーチン大統領はこれまで、長期政権のために民衆から飽きられて人気に陰りが出ると、強いロシアを殊更強調する演説を行い、人気を挽回してきた。そして、昨年の大統領選での大勝から1年も経たずに、またしても人気に陰りが見え始めたことから、またしても恒例の年次演説で人気を挽回しようと画策している。
2月20日付フランス
『AFP通信』:「プーチン大統領、年次演説で陰りの出た支持率挽回を意図」
ウラジーミル・プーチン大統領は2月20日、支持率低下を挽回するために、連邦議会で年次演説を行う。
同大統領が連邦議会の両院議員に対して演説を行うのは、昨年3月に大統領に再選されて以来初めてのことである。
昨年、同大統領は大統領選の2週間前に、市民生活の向上と冷戦後の強い軍事力を訴える演説を行った結果、同大統領選において、1999年にロシア政治のトップに就任(ボリス・エリツィン大統領の下で首相就任)して以来最高の支持率を獲得している。...
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2月20日付フランス
『AFP通信』:「プーチン大統領、年次演説で陰りの出た支持率挽回を意図」
ウラジーミル・プーチン大統領は2月20日、支持率低下を挽回するために、連邦議会で年次演説を行う。
同大統領が連邦議会の両院議員に対して演説を行うのは、昨年3月に大統領に再選されて以来初めてのことである。
昨年、同大統領は大統領選の2週間前に、市民生活の向上と冷戦後の強い軍事力を訴える演説を行った結果、同大統領選において、1999年にロシア政治のトップに就任(ボリス・エリツィン大統領の下で首相就任)して以来最高の支持率を獲得している。
しかし、昨年10月に、国民に不人気の年金制度改革法案(注後記)に署名して以来、同大統領の支持率は急落した。
独立系の世論調査機関レバダ・センターの1月の調査結果では、同大統領の支持率は64%となっており、2014年のクリミア半島併合時に記録して以来最低レベルである。
なお、ロシア政府関係筋の話では、プーチン大統領は、外交問題よりもむしろ内政に重きを置いて演説するとみられるという。
すなわち、ロシアが進める宇宙開発や、ロシアが抱える廃棄物処理問題の解決策等に焦点が当てられるとする。
外交問題で触れるとすれば、米国が宣言した中距離核戦力全廃条約からの脱退表明への対抗措置、ベネズエラ内政問題へのロシア対応方針、更には、シリア紛争に伴うロシアによるイスラム過激派組織撃退の成功話等が考えられるという。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「プーチン大統領が連邦議会で年次演説」
大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は2月18日、プーチン大統領が2月20日に連邦議会で年次演説を行う旨表明した。
同大統領の演説は、同日午後0時(モスクワ時間)からテレビで生中継される。
大統領府は演説内容を明らかにしていないが、連邦議会議員の話では、内政問題、特に貧困改善、生活水準向上、汚職根絶への取り組み、経済活性化等に焦点が当てられるという。
なお、昨年の大統領選投票日前の3月1日に実施された演説は、史上最長の2時間に及ぶもので、主としてロシア経済への取り組み、国防力強化ついて言及されている。
(注)年金制度改革法案:財政赤字改善のため、国家院(下院に相当)が9月に、連邦院(上院に相当)が10月に立法化を承認した法案。これによって、男性の場合の年金支給年齢が、2019年から2028年までの間に60歳から65歳に、女性の場合は2019年から2034年までの間に55歳から63歳にそれぞれ引き上げられる。特に、ロシア人男性の平均寿命が67.5歳であることから、全国で猛反発が起きている。
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