これはすべて4月22日に発行された「米国科学アカデミー紀要」に掲載された最新の研究論文による。本論文では、現在の計測機器が使用可能になる以前数十年の氷床の変化を慎重に再構築した。1970年代および1980年代には、グリーンランドの氷床が現在より多かったことはすでに知られていた。そこで1990年代以降の氷床の融解の増加を正確に計測した。その結果、過去46年間の変化が大変劇的であることがわかった。
「過去数十年の結果を見るときは、その前に座ったほうがいいでしょう。...
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これはすべて4月22日に発行された「米国科学アカデミー紀要」に掲載された最新の研究論文による。本論文では、現在の計測機器が使用可能になる以前数十年の氷床の変化を慎重に再構築した。1970年代および1980年代には、グリーンランドの氷床が現在より多かったことはすでに知られていた。そこで1990年代以降の氷床の融解の増加を正確に計測した。その結果、過去46年間の変化が大変劇的であることがわかった。
「過去数十年の結果を見るときは、その前に座ったほうがいいでしょう。変化が恐ろしいほど速いですから。」とカリフォルニア大学アーバイン校の氷河学者で本論文の共著者であるエリック・リグノットはいう。
グリーンランドはひとつの島にすぎない。しかしその氷床は地球全体を変えてしまうほどの力を持っている。グリーンランドの氷床は240万年前から存在し、最も厚い部分で3.4キロメートルの厚さがある。氷床全体の重さは、地球の大気全体のおよそ半分、つまり270京キログラムある(京は10の16乗)。そのすべてが融けたとすると海面が7.4メートル上昇する。
21世紀になって、氷床の高さと全体の重量の計測にはレーザー計測器が、また厚み変化の計測には衛星写真が使用されている。これにより、現在氷床の融解速度は2003年時点の4倍であることが明らかになったと「Live Science」が最近報じている。
研究者らは過去の状況を調べるために、グリーンランドの氷床を260に分割し、そのそれぞれを、衛星写真を用いた氷床の変化の実測と氷床変化の高性能なコンピューターモデルを用い調査した。それによると、1972年から1980年の間は、グリーンランドでは年間47兆キログラム氷床が増加していた。大規模な氷床の減少は1980年代から始まったことがわかった。1980年から1990年の間、年間およそ51兆キログラムの氷床が失われた。1990年から2000年の間には年間およそ41兆キログラムが失われた。そして2000年代に入ってそれが劇的に加速した。
2000年から2010年の間、年間消失量はおよそ187兆キログラムとなり、2010年から2018年の間には286兆キログラムに達している。
これらの数字は科学者やグリーンランド住民がすでに知っていた事実を証拠付けるものである。それは、島が変化を続けていて、古代からある氷河が驚くほどの速さで後退しているという事実である。過去20年間に氷床の減少が加速したことと大気中の温暖化ガスの急激な増加と温暖化は軌を一にしている。今年初めに「Live Science」が報じたように、最も暖かかった冬は10件中9件が2005年以降のことである。
以上のことはグリーンランドの氷床と地球の海面の未来にどのような意味を持つのだろうか。「気候変動に関する政府間パネル」の結論では、それは第一に人類がこれから何を行うかに掛かっている。
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