ドナルド・トランプ大統領は、大統領選ロシア介入疑惑に関わるロバート・マラー特別検察官の捜査報告書の報道などで窮地に立たされている。しかし、米中貿易交渉で追加関税賦課を宣言して、中国に対して強く当ることで、支持率を再度高めようと躍起になっている。その大統領にとって追い風となるかのように、かつて10年間・10シリーズ続いた人気“ニュースキャスター・ドラマ”が20年振りに復活したが、反トランプを打ち出していたためか、僅か1シリーズで打ち切りとなった。
5月10日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「CBSテレビ、コメディ“マーフィー・ブラウン”を1シリーズで打ち切り」
CBSテレビは5月10日、昨年9月から20年振りに復活させたコメディ“マーフィー・ブラウン”(注1後記)を僅か1シリーズで打ち切ることを決めた。
同ドラマは、1988~1998年に放送された際には、エミー賞(注2後記)コメディ部門で作品賞を2度受賞した程の人気番組であった。...
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5月10日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「CBSテレビ、コメディ“マーフィー・ブラウン”を1シリーズで打ち切り」
CBSテレビは5月10日、昨年9月から20年振りに復活させたコメディ“マーフィー・ブラウン”(注1後記)を僅か1シリーズで打ち切ることを決めた。
同ドラマは、1988~1998年に放送された際には、エミー賞(注2後記)コメディ部門で作品賞を2度受賞した程の人気番組であった。
しかし、今回の再登場では、主な視聴者である50代以下対象の視聴率で65位に甘んじた。
同ドラマは、ドナルド・トランプ大統領による報道の自由が脅かされる中、これに抗う内容で番組が進行していた。
かつて放送された10シリーズにおいて、エミー賞主演女優賞を5度受賞していたキャンデイス・バーゲンが、主役として再登場し、また、ジョージ・レガルブート、フェイス・フォード、グラント・シャアッドも以前と同じ配役で出演していた。
従って、20年前と同じ配役で代わり映えがしなかったことが低迷の原因の一つと考えられる。
また、現在の視聴者は中流階級が主で、彼らは“NCIS(米海軍・海兵隊に関わる犯罪捜査ドラマ)”や“Blue Bloods(ニューヨーク市警を舞台とした警察ドラマ)”を好んでおり、反トランプを前面に出した同ドラマに興味を示さなかったものとみられる。
同ドラマ制作者は、暫く時間を置いてから次のシリーズを復活させたいと語っていたが、今回放送の視聴率は余りに芳しくなく、また、視聴者の感想も明らかにどっちつかずとなっている。
更に、同ドラマがニューヨークを舞台にしたものであるため、同テレビ局にとって製作費が予想以上に高くついたことも、打ち切りに繋がったものとみられる。
(注1)マーフィー・ブラウン:CBSテレビで1988~1998年の間に10シリーズ放送され、一世を風靡した人気シチュエーション・コメディ(登場人物の置かれる状況によって観客や視聴者を笑わせるコメディ)。ワシントン特別区にあるテレビ局の架空のニュースショー"FYI"を舞台としたニュースキャスター・ドラマ。エミー賞受賞の常連番組。
(注2)エミー賞:米国のテレビドラマを始めとする番組のほか、テレビに関連する様々な業績に与えられる賞。映画におけるアカデミー賞、演劇におけるトニー賞、音楽におけるグラミー賞に相当。第1回は1949年1月開催。
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