調査会社イプソスが11日に結果を公表した25の国と地域を対象とした国際調査によると、インターネット利用者の86%が偽ニュースに騙された経験があると回答していることが判明した。偽ニュースの多くは、フェイスブックによって拡散したものだった。
『AFP通信』などのメディアが結果を報じた本調査は、独立家シンクタンク「国際ガバナンス・イノベーション・センター(CIGI)」が調査会社「イプソス(Ipsos)」に委託し、毎年行っているインターネットのセキュリティや信頼性などに関するものである。今回の調査は、2018年12月21日~2019年2月10日に、25の国と地域の2万5000人以上を対象として、直接の面談かインターネット経由で行われた。
これによると、回答者らは、政府とソーシャルメディア企業の両方に偽ニュース配信を厳しく取り締まって欲しいと考えている。偽ニュースは、インターネットへの不信感を増大させる一因であるだけでなく、経済や政治的な議論にも否定的な影響をもたらしている。偽ニュースへの対策としては、87%が利用者への教育の必要性を、85%が投稿の削除を挙げた。偽ニュースに関連するソーシャルメディアの閉鎖を支持した人も84%に上った。
米国は偽ニュースが最も多く拡散している国であり、ロシア、中国がこれに続いている。偽ニュースに騙された経験がある人が最も多かった国はエジプトで、最も少なかった国はパキスタンだった。
偽ニュースが最も多く拡散したソーシャルメディアはフェイスブックで、少なくとも8%の回答者がアカウントを閉鎖した。偽ニュースは、ツイッターや動画共有サイトのユーチューブ、ブログでもみられ、ソーシャルメディアに根深く入り込んでいると考えられる。
本調査結果ではまた、ソーシャルメディアへの不信感の増大と、インターネット上のプライバシー保護や、インターネット企業が用いるアルゴリズムに織り込まれている偏見をめぐっての懸念が浮き彫りとなった。偽ニュースの拡散によって、インターネット上には個人情報を開示しない傾向が強まっており、49%が個人情報の開示を控え、39%が不信感から、より限定的にインターネットを使っていると回答した。
CIGIのフェン・オスラー・ハンプソン氏は声明で、「今年の調査は、インターネットの脆さだけでなく、ソーシャルメディアに対し、そしてその運営企業が日常生活に行使する影響力に対し、ネット市民が不快感を募らせていることを強調した。」と指摘している。
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