11月12日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ウクライナ大統領、プーチン大統領との直接対話を模索」
ロシアとの関係修復を望むウォロディミール・ゼレンスキー大統領は、直接的にはフランス及びドイツの仲介(ノルマンディ・フォー・サミット、注1後記)に頼るものの、現実的には、直接の関係国ではないものの、ドナルド・トランプ大統領の仲介によって、ホワイトハウスでのウラジーミル・プーチン大統領との直接対話を望んでいた模様である。...
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11月12日付
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ウクライナ大統領、プーチン大統領との直接対話を模索」
ロシアとの関係修復を望むウォロディミール・ゼレンスキー大統領は、直接的にはフランス及びドイツの仲介(ノルマンディ・フォー・サミット、注1後記)に頼るものの、現実的には、直接の関係国ではないものの、ドナルド・トランプ大統領の仲介によって、ホワイトハウスでのウラジーミル・プーチン大統領との直接対話を望んでいた模様である。
しかし、肝心のトランプ大統領が、皮肉にもウクライナ問題で弾劾手続きを進められることとなり、仲介どころではなくなってしまった。
そこで、別の仲介役として期待したのが、プーチン大統領の盟友でもある、カザフスタンの前大統領ヌルスルタン・ナザルバエフ氏(注2後記)である。
ナザルバエフ氏は11月12日、ゼレンスキー大統領の求めに応じ、プーチン大統領宛に直接会談の要請を伝えたと表明した。
同氏は、両首脳が直接対話することになる場合、カザフスタンの首都ヌルスルタン(注3後記)を会談場所として提案したとも言及した。
しかし、ロシア大統領府の反応は冷めたものであった。
すなわち、ドミートリィ・ペスコフ報道官が11月12日にメディアの電話取材に答えて、プーチン大統領は“会うためだけの会談”に乗り気でないと表明している。
なお、ロシア政府は以前から、ウクライナ東部紛争に直接関わっていないとし、同地域に駐留するロシア兵は“休暇による滞在”等であって、軍事行動を起こす目的ではないとうそぶいている。
一方、ノルマンディ・フォー・サミットによる東部紛争解決のための協議であるが、フランス及びドイツがロシアに対して過剰な譲歩を要求してきていることを理由に、ロシア側は具体的協議に臨もうとしていない。
(注1)ノルマンディ・フォー・サミット:1944年6月6日ノルマンディ上陸作戦70周年記念式典が2014年に開催された際、ウクライナ東部紛争の解決を目指して、ロシアとウクライナに、共同仲介者としてドイツ・フランスが加わって協議する枠組みが合意された。以降、この4ヵ国の閣僚が様々な機会に会合し、ウクライナ東部紛争停戦に向けて協議を進めてきている。
(注2)ヌルスルタン・ナザルバエフ:カザフスタンの政治家、79歳。1991年12月、ソ連邦崩壊によってカザフスタンが独立国となって以来、2019年3月まで初代大統領として君臨。プーチン大統領とは、2007年5月調印のカスピ海沿いを通すガスパイプライン新設計画、2014年5月設立のユーラシア経済連合(加盟国はロシア・ベラルーシ・カザフスタン・アルメニア・キルギス)等を通じて盟友関係にある。
(注3)ヌルスルタン:2019年3月に旧称アスタナ(カザフ語で首都の意)から改称。カシムジョマルト・トカエフ現大統領が、約30年祖国のために貢献したヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領に敬意を表して改称することを承認したもの。
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