香港の治安法・米国など反対に中国反発(5月24日)
抗議活動が続く香港の治安維持のため、中国が直接法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、米国などが強く反対していることに対し、中国外務省の香港の出先機関は内政干渉をやめるべきだと反発した。
中国ではおととい開幕した全国人民代表大会で、香港について治安維持の法律を中国政府主導で制定すると共に、中国関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出した。
米国政府が強く反対する声明を打ち出した他、英国、オーストラリアなどの外相も共同で声明を出し、深い懸念を表明した。...
全部読む
抗議活動が続く香港の治安維持のため、中国が直接法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、米国などが強く反対していることに対し、中国外務省の香港の出先機関は内政干渉をやめるべきだと反発した。
中国ではおととい開幕した全国人民代表大会で、香港について治安維持の法律を中国政府主導で制定すると共に、中国関係機関による取り締まりを認める方針を打ち出した。
米国政府が強く反対する声明を打ち出した他、英国、オーストラリアなどの外相も共同で声明を出し、深い懸念を表明した。
中国共産党・最高指導部のメンバーはきのう北京で香港代表団と会談した。“法律制定により国家分裂、外国勢力の干渉を防げる”との認識を示している。
一方、香港では民主派議員や団体などが強く批判している。
閉じる
コロナ禍で激しさ増す米中覇権争い(5月23日)
新型コロナウイルスの世界的感染拡大の中、中国政府は、国を挙げたハイテク発展戦略「中国製造2025」を継続し、新たな研究プロジェクトの選定作業を始めたという。こうした中、米国商務省は15日、「外国で製造した半導体でも米国製の製造装置を使用している場合には、米国の許可なしにファーウェイに輸出することはできない」などとする輸出禁止措置策の強化を打ち出した。
これを受けて最先端製造ラインを持つ台湾のTSMCはファーウェイからの新規受注を停止させた。...
全部読む
新型コロナウイルスの世界的感染拡大の中、中国政府は、国を挙げたハイテク発展戦略「中国製造2025」を継続し、新たな研究プロジェクトの選定作業を始めたという。こうした中、米国商務省は15日、「外国で製造した半導体でも米国製の製造装置を使用している場合には、米国の許可なしにファーウェイに輸出することはできない」などとする輸出禁止措置策の強化を打ち出した。
これを受けて最先端製造ラインを持つ台湾のTSMCはファーウェイからの新規受注を停止させた。現在、ファーウェイにとって最先端のCPUの委託ラインを持つファウンドリーはサムスンとTSMCの2社だけだったが、ファーウェイはサムスンに製造を委託する選択肢以外の道が閉ざされた格好となった。
ファーウェイは5Gで米国を出し抜き、ハイテク覇権を握ることを画策していたが、スマートフォンでは競合関係にあるサムスンがファーウェイの半導体の製造を引き受けなかった場合には、中国の5Gプロジェクトが頓挫する可能性がある。
そうなった場合には中国が米国の関連企業に強力な反撃措置を取る可能性もある。例えばクアルコム、シスコシステムズ、アップルなどの主要米国企業を中国版「エンティティリスト」に加え、活動を制限する可能性もある。
22日に始まった全人代では2020年のGDPの目標提示の見送りという前代未聞の動きに出たにも関わらず、軍事費は前年比6.6%増で、中国が今後も軍拡路線を続けていく意思を示した。米国もそうした中国の行動を織り込み済なのか、台湾に魚雷18発を売却するという行動に出たが、これに対し中国が「アメリカ側の台湾への武器売却に断固反対する」と猛反発した。ポンペオ長官は蔡英文政権2期目の就任式に祝辞を送り、TSMCはアリゾナ州に高度な半導体工場の建設を計画するなど台湾は米国との距離感を急速に縮め、中国との距離は急速に離している。この先、中台、米中の間に一触即発の事態が生じる可能性もゼロではない。
閉じる
WHO総会・ウイルス対応めぐり米中の対立鮮明に(5月19日)
年に1度開催されるWHO世界保健機関の総会が日本時間の昨夜から始まった。そこでも中国と米国の対立が鮮明になっている。WHO世界保健機関年次総会は2日間の日程で194の全加盟国がテレビ会議形式で参加した。
中国・習近平国家主席は冒頭「中国は一貫して透明性・責任ある態度でWHOや関係国に適時、情報を提供してきた」とのべさらに「事務局長のもとWHOは国際的な感染対策を主導するうえで多大な貢献をしてきた」とWHOを称賛したうえで、WHOは中国寄りと非難した米国をけん制した。...
全部読む
年に1度開催されるWHO世界保健機関の総会が日本時間の昨夜から始まった。そこでも中国と米国の対立が鮮明になっている。WHO世界保健機関年次総会は2日間の日程で194の全加盟国がテレビ会議形式で参加した。
中国・習近平国家主席は冒頭「中国は一貫して透明性・責任ある態度でWHOや関係国に適時、情報を提供してきた」とのべさらに「事務局長のもとWHOは国際的な感染対策を主導するうえで多大な貢献をしてきた」とWHOを称賛したうえで、WHOは中国寄りと非難した米国をけん制した。
また国際的なウイルス対策として今後2年間で20億ドル(2100億円余)を拠出することを明らかにした。一方、米国は新型コロナウイルスの感染者が150万人超、死者も9万人超と世界最多になっている。
米国・アザー厚生長官は中国と対照的に冒頭からWHOを非難した。
そして実名を出さないまでも「ある加盟国が感染を隠蔽するために透明性を保つ義務を怠り、その代償を世界が払う事となった」と中国を批判した。米中の対立を一段と鮮明に国際社会の足並みの乱れが対策の遅れにつながらないか懸念される。
閉じる
米中、台湾問題でも鋭く対立(5月17日)
コロナウィルスの発生源や貿易をはじめとする経済問題で対立を激化させている米中であるが、古くからある台湾問題でも新たに対立を深めている。5月16日の「環球時報」は「米国は必死に『台湾カード』を振り回しているが、今回は効果がないのはなぜか」という5000字に近い長文を掲載し、米国への反撃を行っている。
5月18日から開催されるWHOの総会に台湾をオブザーバー参加させるように米国が強く主張している。...
全部読む
コロナウィルスの発生源や貿易をはじめとする経済問題で対立を激化させている米中であるが、古くからある台湾問題でも新たに対立を深めている。5月16日の「環球時報」は「米国は必死に『台湾カード』を振り回しているが、今回は効果がないのはなぜか」という5000字に近い長文を掲載し、米国への反撃を行っている。
5月18日から開催されるWHOの総会に台湾をオブザーバー参加させるように米国が強く主張している。5月6日にはポンペオ国務長官が欧州諸国に台湾のオブザーバー参加を支持するようによびかけ、8日には米国の保健福祉長官が台湾の衛生福利部長に総会参加を支持すると電話をかけ、11日には米国上院が「台湾のWHOでのオブザーバー資格を回復させる法案」を通過させている。さらには日本、英国、ドイツ、フランス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダに対し、台湾支持を要請している、として非難。
中国は、WHOが国連の機関であるということを持ち出して、1971年に国連は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府としている、ということさえ主張し、台湾にWHO総会の参加資格がないことを主張している。
さらには、同記事のなかで、(オーストラリアが、コロナウィルスの発生源に関して中国を調査すべきと主張していることに対し)オーストラリアの4社に対し、対中牛肉輸出を禁じると5月12日には通達したことも書いている。もっともこれは両国の管理部門が共同で決定したもので、決して報復ではないと中国は述べている。
中国が強力な国家となり、台湾統一ができる能力を持てるようになればなるほど、米国が「台湾カード」を振りかざし、中国に打撃を与えようとしているとして、中国はこのような米国をはじめとする西側諸国の根拠なき暴言に対し、誠実に対処していく、と述べているのである。
台湾は2003年のSARSの感染拡大を教訓に、コロナウィルスの防疫体制をしき、いち早く抑え込みに成功している。米国としてはこの実績をもとに中国寄りとされるWHOに対し、牽制球を投げ続け、中国非難を行っていることになる。もっとも16日現在、18日から開催される総会への招請状を台湾は受け取っていないことから、台湾のオブザーバー参加は実現しそうにない。
閉じる
コロナ渦で顕在化する米中覇権争い(5月16日)
コロナの収束にいち早く成功した中国は上海にあるディズニーランドを世界に先駆けて再開させ、中国がポストコロナの先頭に立っていることを世界に印象づけた。皮肉なことにディズニーランドと言えば米国の象徴であるが、その米国では死者数が8万5000人に達し、経済の低迷も顕著となっていて、世界で最もコロナウイルスの被害を受けている国となっている。今回の中国の行動が米国を刺激するものだったとしても想像に難くない。...
全部読む
コロナの収束にいち早く成功した中国は上海にあるディズニーランドを世界に先駆けて再開させ、中国がポストコロナの先頭に立っていることを世界に印象づけた。皮肉なことにディズニーランドと言えば米国の象徴であるが、その米国では死者数が8万5000人に達し、経済の低迷も顕著となっていて、世界で最もコロナウイルスの被害を受けている国となっている。今回の中国の行動が米国を刺激するものだったとしても想像に難くない。
これまで経済政策が好調だったことがトランプ大統領の支持を大きく支えてきた。ところが新型コロナウイルスによって、トランプ大統領にとってはすべてが好ましくない方向に動いてきている。このためトランプ大統領が中国に抱く不満は国内経済の悪化とともに強くなってきており、この事態を打開するために、トランプ大統領は国民や議会の共感を得やすい中国バッシングのカードを切り始めたようにも見える。
14日、FOXビジネスのインタビューに答えたトランプ大統領は、世界でコロナウイルスの感染が急拡大したのは「感染の発生源となった中国に全ての責任がある」と主張し、「できることはいろいろある。中国との関係を完全に断つこともできる。関係を断絶すれば米国は5000億ドルを節約できる」と中国に対する強硬姿勢をみせつけた。コロナウイルスの発生源をめぐっては中国の賠償金も視野に入れ、ウイルスは武漢のウイルス研究所から漏れたものだとの主張を米国は展開している。
こうした中で、米国は中国に対して強硬姿勢を次々と取り始めている。米国議会上院は台湾のWHOへのオブザーバー参加を後押しする法案を可決するという中国が最も嫌がる動きに出た。この動きに対し「一つの中国」を掲げる中国は猛烈に反発し、妥協しない姿勢を示した。さらに14日には米国議会上院が中国政府に弾圧されているウイグル族を米国が支援する「ウイグル人権限法」を全会一致で可決させた。さらに15日には米国・商務省が中国の通信機器最大手の「ファーウェイ」に対する禁輸措置の強化を発表し、これによって米国製の製造装置を使って作られた半導体すべてはファーウェイに供給されないようになる。ロス商務長官は「ファーウェイや外国子会社は米国の安全保障に基づく規制をすり抜け、米国の技術に依存しながらも、中国国内での生産強化の努力を加速させてきた」と中国(ファーウェイ)を非難した。
他方、中国も不穏な動きを見せている。米軍空母「セオドアルーズベルト」で新型コロナの集団感染が発生し、混乱する米国の隙を突くかのように中国は海洋進出を活発に進め始めている。中国海軍の空母「遼寧」などが2度にわたって沖縄本島と宮古島の間を航行し、5月に入ってからは尖閣諸島周辺で中国海警局の船による領海への侵入が相次いでいて、日本の漁船が追尾される事例も出ている。さらに「コロナの独立調査のチームを中国に派遣したい」という要望を出している豪州に対し「牛肉の輸入を制限するぞ」と脅しをかけるなど中国の高飛車な姿勢がここのところ目についている。コロナの収束に成功したとの自信が中国にこうした態度を取らせている可能性もあるが、ここにきて中国が米国の覇権を一気に取りに来ているのではないかと分析している専門家もおり、そうなれば日本にとっても世界にとってもただ事ではない。コロナ渦においても日米は連携して、「力の空白」を生じさせないよう存在感を誇示していく必要がある。
閉じる
「米中覇権争い」内の検索