北朝鮮、遺骨返還のための会議に現れず(7月13日)
12日板門店の共同警備区域で行われる予定であった、米兵の遺骨返還作業に対する打ち合わせの実務者協議会議に北朝鮮の関係者は姿を見せなかった。そのかわり北朝鮮から在韓国連軍司令部に電話があり、15日に将官級会談の提案があったという。
今回の会議は6-7日に訪朝したポンペオ国務長官が提案したものだが、北朝鮮側の準備が間に合わなかった模様。ただし北朝鮮側の真意としてはポンペオ国務長官が朝鮮戦争の終戦宣言に対して曖昧な態度に終始していたことに対する不満があったからとの観測もある。...
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12日板門店の共同警備区域で行われる予定であった、米兵の遺骨返還作業に対する打ち合わせの実務者協議会議に北朝鮮の関係者は姿を見せなかった。そのかわり北朝鮮から在韓国連軍司令部に電話があり、15日に将官級会談の提案があったという。
今回の会議は6-7日に訪朝したポンペオ国務長官が提案したものだが、北朝鮮側の準備が間に合わなかった模様。ただし北朝鮮側の真意としてはポンペオ国務長官が朝鮮戦争の終戦宣言に対して曖昧な態度に終始していたことに対する不満があったからとの観測もある。あるいは遺骨収集のための費用負担問題もあったのかもしれない。
15日に将官級の会談の逆提案があったことからすると、北朝鮮は遺骨収集作業を中断するつもりはないと思われ、自ら主導権を握るための駆け引きということになる。ただし駆け引きが過ぎると、トランプ大統領が「対北朝鮮宥和政策は選挙の票につながらない」と考えを変えてしまう事態にもつながりかねない。
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終戦宣言の行方(7月12日)
間もなく朝鮮戦争の停戦協定が締結されて68周年を迎える。2週間を切ったタイミングでは本年7月27日に終戦宣言を出すことは難しいが、平和協定につながるこの宣言をすることが北朝鮮にとってはどうしても必要なセレモニーである。
7月6-7日のポンペオ国務長官の訪朝の結果に北朝鮮が不満をもらしたのも、同長官が非核化の話ばかりをして、北朝鮮が求めている朝鮮戦争の終戦宣言の議題を持ち出させなかったからだともいわれている。...
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間もなく朝鮮戦争の停戦協定が締結されて68周年を迎える。2週間を切ったタイミングでは本年7月27日に終戦宣言を出すことは難しいが、平和協定につながるこの宣言をすることが北朝鮮にとってはどうしても必要なセレモニーである。
7月6-7日のポンペオ国務長官の訪朝の結果に北朝鮮が不満をもらしたのも、同長官が非核化の話ばかりをして、北朝鮮が求めている朝鮮戦争の終戦宣言の議題を持ち出させなかったからだともいわれている。終戦宣言から平和協定の締結という実質的な動きが、金正恩委員長が最も欲している安全保障や「体制保証」にもつながっていくからである。
ただしここで問題になるのは、終戦宣言を3者で行うか、4者で行うか、である。4月27日の「板門店宣言」でも3者ないし4者でとなっていた。3者の場合は南北朝鮮と米国であり4者の場合は3者プラス中国ということになる。中国としては当事者であるので、終戦宣言および平和協定への関与を強く主張している。いずれにしても当事者の交渉が必要である。北朝鮮の焦りはここにあるのかもしれない。
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ポンペオ訪朝と米中貿易戦争(7月11日)
ポンペオ国務長官の訪朝の結果に対して、米国内には北朝鮮の非核化の意思に対する疑問が呈されるようになり、トランプ大統領が米韓の合同軍事演習の中止を発表したのは間違った判断だったとの批判もでている。ポンペオ訪朝の成果とされていた作業部会の設置も「米朝による」作業部会ではなく、米国の作業部会だとの話もあり、そうすると成果は全くなかったことになる。そのようななかトランプ大統領は9日「金正恩が米中の共同声明や首脳同士の握手を尊重してくれると確信している、我々は北朝鮮の非核化に合意した。...
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ポンペオ国務長官の訪朝の結果に対して、米国内には北朝鮮の非核化の意思に対する疑問が呈されるようになり、トランプ大統領が米韓の合同軍事演習の中止を発表したのは間違った判断だったとの批判もでている。ポンペオ訪朝の成果とされていた作業部会の設置も「米朝による」作業部会ではなく、米国の作業部会だとの話もあり、そうすると成果は全くなかったことになる。そのようななかトランプ大統領は9日「金正恩が米中の共同声明や首脳同士の握手を尊重してくれると確信している、我々は北朝鮮の非核化に合意した。一方中国は、米国の対中貿易施策がもとでこの合意にマイナスの圧力を加えている可能性がある。」とツイートしている。北朝鮮はポンペオ長官が平壌を出発後「米国は強盗的だ」と非難した一方で、トランプ大統領を信頼している、と語ったのと平仄を合わせるかのような米朝首脳同士の信頼ぶりである。
このツイッターに関し、10日質問を受けた中国外交部のスポークスマンは「米朝双方には温度差がある。中国は、米朝双方が対話を強化し、米朝首脳会談のコンセンサスと成果を実行することを希望している。今回の高官級会談の双方の態度と中国の朝鮮半島とのかかわりは全く関係ない。中国は一貫して朝鮮半島の非核化と平和に積極的な貢献をしていく。」と述べており、トランプ大統領の批判を否定した。
金正恩委員長はトランプ大統領と「対等」の立場で交渉したことに自信を得て、交渉の当事者はポンペオ国務長官のような「格下」の相手ではなく、トランプ大統領でなければならないと思い定めているのかもしれない。
一方で米国が、貿易問題だけではなく、北朝鮮問題でも中国を非難し続け、米中の消耗戦に突入すると、北朝鮮が思いがけなく「漁夫の利」を得ることになる可能性すらある。
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食い違う主張:北は米を非難(7月8日)
北朝鮮を訪問していたポンペオ国務長官は、平壌を出発する前に、核心的な問題で進展があったと述べていたが、北朝鮮の外務省は「米国の態度は甚だしく遺憾」との談話を発表し、両者の言い分は大きく食い違っている。
北朝鮮は幾つかの問題を同時並行的に、すなわち朝米関係の強化や、本年中の終戦宣言、あるいはミサイルエンジンの試験場の廃棄や米兵の遺骨収集作業の問題を話し合いたいとしていた。これに対し、米国が非核化の問題のみを取り上げようとし、朝鮮半島の平和メカニズムの構築すら口にしなかったことに不満をもらしものである。...
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北朝鮮を訪問していたポンペオ国務長官は、平壌を出発する前に、核心的な問題で進展があったと述べていたが、北朝鮮の外務省は「米国の態度は甚だしく遺憾」との談話を発表し、両者の言い分は大きく食い違っている。
北朝鮮は幾つかの問題を同時並行的に、すなわち朝米関係の強化や、本年中の終戦宣言、あるいはミサイルエンジンの試験場の廃棄や米兵の遺骨収集作業の問題を話し合いたいとしていた。これに対し、米国が非核化の問題のみを取り上げようとし、朝鮮半島の平和メカニズムの構築すら口にしなかったことに不満をもらしものである。
さらに「完全で、検証可能な、不可逆的な非核化」を求める米国に対し、北朝鮮は行動対行動の原則、つまり段階的な非核化を主張し続けていることも北朝鮮のポンペオ国務長官非難となっていて、これらの態度は朝米の信頼関係を揺るがすものだと語っている。また今回は同長官と金正恩委員長との会談はなかった。
ただしトランプ大統領の親書を受け取ったように、同大統領に対してはまだ信頼していると語っている。
一方のポンペオ国務長官は「成功」と語っただけで、詳細は語らなかったが、核心的事項に関する作業部会を設けることと、7月12日に朝鮮戦争時の米兵の遺骨収集問題に関して板門店での会談があることを明らかにしている。
今回の会談で段階的な非核化の要求を大きく前進させた北朝鮮に対し、米国はどのように対応するのか。「米国が先に信頼関係を破った」という口実を北朝鮮に与えないような、米国の次の一手が重要となってくる。
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非核化は進展するか(7月7日)
ポンペオ国務長官が6日から訪朝し、同日午後には2時間45分にわたって金英哲副委員長と会談した。果たして非核化の詳細を決めることはできるのか。米国のメディアでは北朝鮮の非核化の意思を疑わせる報道が相次いでいるなか、北朝鮮の非核化の意思はどうなのか。
非核化の手順などの詳細を決められるか否かについて見通しは分かれているが、悲観的な意見のほうがやや多い。米国国務省の高官は非核化の行程表は描けないのではないか、描けたとしても実行には悲観的であるとしている。...
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ポンペオ国務長官が6日から訪朝し、同日午後には2時間45分にわたって金英哲副委員長と会談した。果たして非核化の詳細を決めることはできるのか。米国のメディアでは北朝鮮の非核化の意思を疑わせる報道が相次いでいるなか、北朝鮮の非核化の意思はどうなのか。
非核化の手順などの詳細を決められるか否かについて見通しは分かれているが、悲観的な意見のほうがやや多い。米国国務省の高官は非核化の行程表は描けないのではないか、描けたとしても実行には悲観的であるとしている。ポンペオ国務長官自身が「非核化には期限を設けない」と発言していることも、成果が出ないことへの予防線かもしれない。
一方韓国では、同長官が百花園賓館に滞在していることに注目している。同賓館は元首級が滞在するホテルであり、それだけ同長官の訪問を重視しており、何らかの成果を出すのではないかというのである。同長官は金正恩委員長と会見する際にはトランプ大統領の親書を手渡すのではないかともみられている。
当初米朝首脳会談の翌週にも訪朝するかもしれないといわれていたポンペオ長官の訪朝が7月にずれ込んだのは、それだけ交渉の難しさを感じさせるものである。一方で平壌を訪れたのが7月6日であることも作為を感じさせる。6日は米国が中国に新たな制裁関税を発動すると宣言していた日であるからである。トランプ大統領は米朝交渉のなかで、常に中国の存在を意識していた。北朝鮮が強気になるのは、中国の影響があるからだというのである。ただし今回は米中貿易戦争突入というビッグニュースの存在により、ポンペオ国務長官の訪朝のニュースのインパクトを弱めようとしたのかもしれない。もしそうならば、それだけトランプ大統領の交渉への自信のなさを表していることになる。
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