中国国内の新興企業に大きな異変と米国の動き(6月26日)
中国国内の新興企業に異変が起きている。アリババ創業者・ジャックマー、中国検索エンジン最大手「百度」・李彦宏、パソコンメーカー「レノボ」・柳傳志、eコマース大手「JDドットコム」・劉強東、大手EC企業「ピンドゥオドゥオ」・黄崢、TikTokなど運営「バイトダンス」・張一鳴ら、中国社会の発展に寄与してきたIT企業カリスマCEO達が今、次々と退任している。
当局が力を持ち過ぎた彼らに圧力をかけているともいわれている。...
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中国国内の新興企業に異変が起きている。アリババ創業者・ジャックマー、中国検索エンジン最大手「百度」・李彦宏、パソコンメーカー「レノボ」・柳傳志、eコマース大手「JDドットコム」・劉強東、大手EC企業「ピンドゥオドゥオ」・黄崢、TikTokなど運営「バイトダンス」・張一鳴ら、中国社会の発展に寄与してきたIT企業カリスマCEO達が今、次々と退任している。
当局が力を持ち過ぎた彼らに圧力をかけているともいわれている。選挙も世論調査もない中国で、ある日、突然大きな影響力を持つ彼らが自分たちのメディアを使って、中国共産党に反旗をひるがえすのではないかという疑念が習国家主席に生じたとしても不思議ではない。
しかし、中国のこれまでの成長はこうした自由主義的企業があったからこそ達成されたのであり、追い詰め過ぎれば自分で自分の発展の道を閉ざすことにもなる。
説得力のある見方として、中国はGDPで米国と並ぶと言われている2030年に向けて、1つにまとまっていく為の下準備として自分達のコントロール下に置きやすいCEOに置き換えていると考えられる。党のグリップをより強化し準国家組織といえるレベルまでこうした企業を変えていこうとしているのかもしれない。
一方、米国は中国を強く意識し、新大西洋憲章を掲げた。また、G7やNATOで米国版一帯一路「Build Back Better World(より良い世界の再建)」(B3W)というプラットフォームも提唱している。
この構想は途上国へのインフラ整備を支援する、中国の一帯一路に対抗する新たな構想であり、まだ全貌は見えてきていないが、民主国家群と専制国家群のデジタルデカップリングを促進する動きとも捉えられる。
今後、中国国内ではこうした中国包囲網ともいえる動きに対抗し、強く結束する動きが出てくることが予想される。このような米国の対中シフトにおいては地理的に中国に近い日本が大きな役割を果たすことになるが、日米の戦略が中国の戦略とどうぶつかるのかに大きな注目が集まっている。
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今度は中国がオーストラリアをWTOに提訴(6月25日)
中国商務省はオーストラリア政府が中国からの輸入品である鉄道車両の車輪や、ステンレス製の水槽などへの関税を不当に上乗せしているとしてWTOに提訴した。
中国商務省・高峰報道官は「中国は貿易救済措置の乱用に反対するオーストラリアが誤りをただすよう希望する」とコメントした。
オーストラリアはこれまで、中国がオーストラリア産のワインや大麦に関税を上乗せした措置を不当だとして、WTOに相次いで提訴していて、今回の中国による提訴はこれに対抗するねらいがあると見られる。...
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中国商務省はオーストラリア政府が中国からの輸入品である鉄道車両の車輪や、ステンレス製の水槽などへの関税を不当に上乗せしているとしてWTOに提訴した。
中国商務省・高峰報道官は「中国は貿易救済措置の乱用に反対するオーストラリアが誤りをただすよう希望する」とコメントした。
オーストラリアはこれまで、中国がオーストラリア産のワインや大麦に関税を上乗せした措置を不当だとして、WTOに相次いで提訴していて、今回の中国による提訴はこれに対抗するねらいがあると見られる。
オーストラリア・テハン貿易相は「オーストラリア産業に損害が生じる中必要な措置を断固として維持していく」とコメントした。
両国関係はオーストラリアが去年、新型コロナウイルスの発生源をめぐる独立調査が必要だとの見方を示したことに中国が強く反発し関係が冷え込んでいる。
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リトアニア・台湾にワクチン・中国との距離感も(6月24日)
ワクチン供給をめぐり台湾・蔡英文総統が「中国の妨害で調達が難しくなっている」と非難するなど入手が困難な状況にある。これまで日本や米国がワクチン供給を行ってきたが、今回ヨーロッパのリトアニアもワクチンの提供を決めたと発表した。
そこには中国との距離感も影響している。リトアニアはアストラゼネカのワクチン2万回分を台湾に提供すると発表した。
リトアニアはこのところ中国と距離を置く姿勢を見せている。
量子暗号衛星「墨子」の戦略(6月14日)
現在、中国による第2の「スプートニクショック」ともいうべき出来事が進行中である。
1957年、ソ連のスプートニクの打ち上げ成功は、米国をはじめとする西側陣営を落胆させ、大きなショックを与えた。この出来事は「スプートニクショック」と言われ、今でも語り継がれている。
スプートニク打ち上げに相当する動きが、中国が2016年に成功させた量子暗号衛星「墨子」の打ち上げである。当時はそれほど大きな話題とはならなかったが、この打ち上げが今では大きな意味を持っている。...
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現在、中国による第2の「スプートニクショック」ともいうべき出来事が進行中である。
1957年、ソ連のスプートニクの打ち上げ成功は、米国をはじめとする西側陣営を落胆させ、大きなショックを与えた。この出来事は「スプートニクショック」と言われ、今でも語り継がれている。
スプートニク打ち上げに相当する動きが、中国が2016年に成功させた量子暗号衛星「墨子」の打ち上げである。当時はそれほど大きな話題とはならなかったが、この打ち上げが今では大きな意味を持っている。
量子暗号は、現在のところ原理的に盗聴・傍受が不可能と考えられていて、あらゆる計算機の能力をもってしても、解読することができない暗号であると考えられている。量子暗号衛星「墨子」の革新的なポイントは宇宙と地上とで、こうした量子暗号のやり取りを行えるという点にある。
信号のやり取りは距離との勝負であり、難しい技術だが、現在中国は地上と宇宙とのやり取りを横方向に広げ、ネットワーク化を図っている。
中国が量子暗号のネットワーク化にあたり、うまく活用しているのが「一帯一路」政策である。例えばナイジェリア、ボリビア、ラオス、アルジェリアといった「一帯一路」参加国のために通信衛星、リモートセンシング衛星といった静止衛星をつくってやり、打ち上げ、管理まで行っている。
その見返りに中国はこうした国々にある地上局を自由自在に使えるようにし、その数はどんどん増えてきている。
このネットワークが完成すると「一帯一路」でやり取りされる情報は外部のネットワークには一切漏れないことになる。宇宙においては完全に中国が頭ひとつ抜け出す形になっている。
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中国・G7の首脳宣言に国営メディアは批判的(6月14日)
中国への対応が焦点の1つとなったG7サミットは13日に閉幕した。
成果をまとめた首脳宣言では、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したほか新疆ウイグル自治区や香港情勢などで人権や基本的自由を尊重するよう求めるなどとしている。
これについて中国国営の新華社通信は、英語版で気候変動問題などで中国と協力していくとした一方で、法の支配による国際的な制度を支持するという名目の下に新疆や香港、台湾などに言及したと伝えた。...
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中国への対応が焦点の1つとなったG7サミットは13日に閉幕した。
成果をまとめた首脳宣言では、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したほか新疆ウイグル自治区や香港情勢などで人権や基本的自由を尊重するよう求めるなどとしている。
これについて中国国営の新華社通信は、英語版で気候変動問題などで中国と協力していくとした一方で、法の支配による国際的な制度を支持するという名目の下に新疆や香港、台湾などに言及したと伝えた。
そのうえで“G7が中国を除外したり封じ込めようとしたりするのならそれは誤りだ”とする中国に詳しいケンブリッジ大学の専門家のインタビューを伝え批判的に報じている。
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