日本経済界の首脳ら・米中貿易摩擦激化回避を中国に要請(9月11日)
経済界の首脳らが参加している「日中経済協会」の中国訪問団は北京で通商政策などを担当する商務省の幹部と会談し、米国と中国との間の貿易摩擦がこれ以上激しくなる事態を避けるよう改めて求めた。
新日鉄住金会長は「日本は制裁と対抗措置の応酬による貿易戦争を回避しつつ新しい事態に適合、投資のルールづくりを中国や欧米諸国と連携して推進すべき」とコメントした。
トランプ大統領「アップル・米国に工場を」(9月9日)
米国のトランプ大統領は、近く発動を検討している、中国からの輸入品に関税を課す第3弾の制裁措置をめぐって、IT企業のアップルが、中国で生産している製品が対象に含まれるとして懸念を示したことに対し、関税をかけられたくなければ米国に工場を移すよう強く求めた。
米国のIT企業アップルは、トランプ政権が近く発動を検討している中国からの輸入品に対する制裁措置について、中国で生産している「アップルウォッチ」やAIスピーカーなどが関税上乗せの対象となり、消費者に値上げをもたらすことになるとして強い懸念を示した。...
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米国のトランプ大統領は、近く発動を検討している、中国からの輸入品に関税を課す第3弾の制裁措置をめぐって、IT企業のアップルが、中国で生産している製品が対象に含まれるとして懸念を示したことに対し、関税をかけられたくなければ米国に工場を移すよう強く求めた。
米国のIT企業アップルは、トランプ政権が近く発動を検討している中国からの輸入品に対する制裁措置について、中国で生産している「アップルウォッチ」やAIスピーカーなどが関税上乗せの対象となり、消費者に値上げをもたらすことになるとして強い懸念を示した。
これについて、トランプ大統領は8日、ツイッターに「アップルの製品の価格は、関税の上乗せによって上がるかもしれない」と投稿し、影響が及ぶ可能性を認めた。
その一方で、トランプ大統領は、「税金がゼロになる簡単な解決策がある。アップルの製品を中国ではなく米国で作れ。直ちに新しい工場の建設を始めろ」と述べ、関税をかけられたくなければ、米国に工場を移転して雇用を創出するよう強く求めた。
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貿易戦争・新たな標的に加えられた日本(9月8日)
(中間選挙を目前に控え国内で劣勢に立たされるトランプ大統領)
中間選挙を目前に控え、米国国内ではトランプ政権内の高官がトランプ大統領を批判する論説をニューヨークタイムズに寄稿し、トランプ大統領はその犯人捜しに躍起になっている。さらには大手SNSがトランプ大統領に追随する複数の右派系ニュースページを続々と削除したり、ジャーナリストのボブウッドワード氏がトランプ政権の内幕を描いた本を出版したり、映画監督・マイケルムーア氏が最新作「華氏119」で、学校の銃撃事件などに触れ、トランプ大統領を批判するなど、反トランプ陣営の動きが勢いづいている。...
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(中間選挙を目前に控え国内で劣勢に立たされるトランプ大統領)
中間選挙を目前に控え、米国国内ではトランプ政権内の高官がトランプ大統領を批判する論説をニューヨークタイムズに寄稿し、トランプ大統領はその犯人捜しに躍起になっている。さらには大手SNSがトランプ大統領に追随する複数の右派系ニュースページを続々と削除したり、ジャーナリストのボブウッドワード氏がトランプ政権の内幕を描いた本を出版したり、映画監督・マイケルムーア氏が最新作「華氏119」で、学校の銃撃事件などに触れ、トランプ大統領を批判するなど、反トランプ陣営の動きが勢いづいている。ロシア疑惑をはじめとする数々のスキャンダルに加え、コーエン氏などの側近が司法取引に応じるなど国内で劣勢に立たされ、トランプ大統領はその矛先を中国に向け、近日中に総額22兆円の高関税措置を中国に対して発動するものと見られている。
(新たな標的に加えられた日本)
中国への高関税措置は実際に存在する対中貿易赤字以上に、窮地に立たされているトランプ大統領の米国国内での状況から目をそらさせる為の役割を担っているとも考えられる。中国への高関税措置が発動された場合、日本への影響も少なくない。中間選挙を前に増々トランプ大統領は強硬姿勢を強めていくと見られている。ここにきて残念なことにトランプ大統領のスケープゴートに日本が加えられる可能性が高くなってきている。トランプ大統領は6日のウォールストリートジャーナルのインタビューで、日本との貿易赤字を問題視し「日本がどれだけ米国に支払う必要があるのかを伝えた瞬間に(安倍首相との友好関係は)終わるだろう」とはっきりと述べ、7日、日本が米国との間で新たな通商合意に至らなければ大きな問題に発展するだろうと、大統領専用機の機中で記者団に述べるなど完全に日本を標的とする姿勢を打ち出した。メキシコに強硬姿勢をとり、数量規制を受け入れさせたことに味をしめたトランプ政権は9月21日に行われるFFRと、9月25日に行われる日米首脳会談において同様の手法で日本にFTAを突き付け、輸入車への高関税措置で威嚇しながら数量規制を求めてくる公算が強まっている。安倍首相はこれまでトランプ大統領と個人的に親しい関係にあることを事あるごとに強調してきたが、これからはその関係性は役に立たなくなるかもしれない。安倍首相がトランプ大統領の要求をどこまでかわすことができるのか、安倍首相に難問が迫っている。
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米国・第3弾の対中制裁・検討(9月7日)
米国のトランプ大統領は中国に対する第3弾の制裁措置として、これまでの制裁を大きく上回る2000億ドルの輸入品に25%の関税を上乗せすることを検討している。
措置の発動に必要な手続きは6日で終わることから、近く追加制裁を正式に決める公算が高くなっている。
2000億ドルは去年、米国が輸入した中国製品の40%以上にあたる規模となる。
先鋭化していく米中貿易戦争(9月1日)
(目前に迫る22兆円規模の高関税措置発動)
米中の貿易摩擦が後戻りのきかないフェーズに突入しそうだ。8月30日、トランプ大統領は9月6日の公聴手続きを終え次第、22兆円規模の第三弾の高関税措置を発動する意向を示した。今回の関税措置は第一弾が3.7兆円で、第二弾が1兆7800億円だったことを考えると破格の規模であり、この額は米国の中国からの輸入品の約半分に相当し、消費財や生活用品が多く含まれるため米国の一般人への影響も少なくないとみられている。...
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(目前に迫る22兆円規模の高関税措置発動)
米中の貿易摩擦が後戻りのきかないフェーズに突入しそうだ。8月30日、トランプ大統領は9月6日の公聴手続きを終え次第、22兆円規模の第三弾の高関税措置を発動する意向を示した。今回の関税措置は第一弾が3.7兆円で、第二弾が1兆7800億円だったことを考えると破格の規模であり、この額は米国の中国からの輸入品の約半分に相当し、消費財や生活用品が多く含まれるため米国の一般人への影響も少なくないとみられている。自国の痛みも辞さない姿勢で臨むトランプ大統領は、11月の中間選挙に向けて強い大統領像をアピールしたい狙いがある。米国の中国からの輸入量は中国の米国からの輸入量の約4倍にあたるため、この関税措置が発動されると、中国は米国と同じ分だけの報復措置ができなくなるが、それでも中国は6.7兆円の米国製品に25%の関税をかけ総合的措置で報復するという構えである。
(ますます先鋭化していく米中貿易戦争)
中国はあらゆる手段を使って現状を打破しようとして必死になっている。中国が主導するRCEP=東アジア地域包括的経済連携の閣僚会合がインドネシアで開催されたが、この場でも米国のトランプ政権による保護主義的な政策を念頭に「貿易摩擦が拡大する中、世界最大の自由貿易地域創設の重要性が高まっている」との文言が共同声明に盛り込まれた。中国は日本にも急接近を図っており、8月31日北京で開かれた日中財務対話では保護主義を強める米国を念頭に「自由で開かれたルールに基づく多国間の貿易体制を維持・促進していく」との文言が入れられた。中国側には世界第三位の経済大国・日本と連携することで米中貿易戦争における駆け引きを有利にしたいとの思惑があるものとみられる。一方、日本にとっても中国と連携することは、日本をFTAに引き込もうとする米国をけん制し、逆にTPPに米国を引き込むことをアピールできるという点でメリットがあるといえるだろう。米国は北朝鮮問題の進展を中国が阻害していると主張し、瀬どりによって北朝鮮への制裁を中国が骨抜きにしているなどとして、中国に圧力をかけている。他方で、ホワイトハウスは「米中貿易戦争はトランプ大統領と中国の偉大なる習近平国家主席との間で解決されるだろう」とのメッセージを出すなどして中国に対して出口も用意して見せている。ますます先鋭化していく米中貿易戦争を今後も注視していく必要がありそうだ。
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