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文在寅、北の非核化を語る(10月14日)
13日からの欧州歴訪を前に、韓国の文在寅大統領は12日英国BBC放送のインタビューに答え、北朝鮮には核兵器および核物質、核施設を放棄する意思があると語った。
文在寅大統領は、どのような方法で非核化を行うかについては、米朝間で話し合われることだとの見解を示した。また9月の南北首脳会談で署名された「9月平壌共同宣言」のなかに、「米国が相応の措置をとれば」北朝鮮が寧辺の核施設を永久に廃棄するとされていたことについては、この「相応の措置」とは朝鮮戦争の終戦宣言を含め、米国が北朝鮮に連絡事務所を開設し、北朝鮮に対する人道援助を行い、経済交流を行うことだと説明している。...
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13日からの欧州歴訪を前に、韓国の文在寅大統領は12日英国BBC放送のインタビューに答え、北朝鮮には核兵器および核物質、核施設を放棄する意思があると語った。
文在寅大統領は、どのような方法で非核化を行うかについては、米朝間で話し合われることだとの見解を示した。また9月の南北首脳会談で署名された「9月平壌共同宣言」のなかに、「米国が相応の措置をとれば」北朝鮮が寧辺の核施設を永久に廃棄するとされていたことについては、この「相応の措置」とは朝鮮戦争の終戦宣言を含め、米国が北朝鮮に連絡事務所を開設し、北朝鮮に対する人道援助を行い、経済交流を行うことだと説明している。
終戦宣言については、なるべく早く行うことで韓米は一致しており、あとはいつ行われるかの問題である。また北朝鮮の非核化が実質的に進展すれば、対朝経済制裁の緩和についても真剣に考慮しなくてはならないだろう。韓国は北朝鮮の間で、鉄道、漁業、林業などの分野で協力を行う用意があるが、国際社会の制裁緩和ないし解除があり、韓国が北朝鮮に経済援助を行うことになれば、非核化を行えば「アメ」があることを北朝鮮が実感すれば、北朝鮮の非核化はさらに加速されるだろうとの見通しも述べた。北朝鮮が完全な非核化を行えば、北朝鮮は経済的に繁栄し、明るい未来が保証されるだろう、との希望的観測も述べている。
このような発言に対し、ロイター社は、南北関係の改善が「行き過ぎる」ことに米国が憂慮しているのではないか、とも見ている。
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北朝鮮の疲弊は決定的(10月12日)
(北朝鮮の疲弊は決定的・終戦宣言に向けて動く米朝)
トランプ大統領は中間選挙後に2度目の米朝首脳会談を行う意向を表明しており、水面下で米朝のやりとりが続いている。こうした中、韓国統一省は国会に提出した報告書の中で、「北朝鮮の対中貿易が制裁の影響で大幅に減少した」と指摘し「8月末の時点で貿易総額の約9割を占めていた中国向けの輸出額が89.7%減となり、北朝鮮の貿易赤字が膨らみ、外貨の獲得が困難になっている状況」と公表した。...
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(北朝鮮の疲弊は決定的・終戦宣言に向けて動く米朝)
トランプ大統領は中間選挙後に2度目の米朝首脳会談を行う意向を表明しており、水面下で米朝のやりとりが続いている。こうした中、韓国統一省は国会に提出した報告書の中で、「北朝鮮の対中貿易が制裁の影響で大幅に減少した」と指摘し「8月末の時点で貿易総額の約9割を占めていた中国向けの輸出額が89.7%減となり、北朝鮮の貿易赤字が膨らみ、外貨の獲得が困難になっている状況」と公表した。中国による制裁が北朝鮮に対し効果を上げていたことが数字として反映された格好となっている。また北朝鮮関係筋によれば、中国との貿易の主力を占める鉄鉱石や無煙炭の生産地は操業停止が長期化しており、利権を握る軍などの収益を圧迫しているとみられているという。いずれにしても北朝鮮が制裁によって相当弱っていることは確かであり、今後、米朝が和解に向けて動いていく可能性は非常に高いと言って良さそうである。トランプ大統領と金正恩委員長の手によって朝鮮戦争終結が正式に宣言された場合、旧冷戦は終わるが、広い意味での新たな米中の新冷戦が始まることを意味するのかもしれない。その後で予想される動きは米国の新防衛線の構築ともいうべき「新アチソンラインの構築」なのかもしれない。この防衛線に対して中国がどういった動きを見せるのかがポイントとなる。中国が構築するであろう大中華圏に文大統領が主導する韓国が組み込まれるのかどうかという面も目が離せない。
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対北制裁めぐり米韓間に亀裂(10月12日)
韓国の康京和外相が、10日に韓国が独自に北朝鮮に課している制裁措置である「5.24措置の解除を検討中」と発言したことに対し、米国のトランプ大統領は、韓国は米国の承認なしには制裁を解除しないだろうと発言、さらに国務省も北朝鮮の非核化が進展していない状況での制裁解除の発言は早すぎるとの見解を示した。
韓国外相の発言は、韓国国会の国政監査で与党代表の質問に答える形でなされたもので、後に「検討中というのは勘違い」と訂正しているが、与党の質問であったことを考えると、全くの勘違いとは考えにくい。...
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韓国の康京和外相が、10日に韓国が独自に北朝鮮に課している制裁措置である「5.24措置の解除を検討中」と発言したことに対し、米国のトランプ大統領は、韓国は米国の承認なしには制裁を解除しないだろうと発言、さらに国務省も北朝鮮の非核化が進展していない状況での制裁解除の発言は早すぎるとの見解を示した。
韓国外相の発言は、韓国国会の国政監査で与党代表の質問に答える形でなされたもので、後に「検討中というのは勘違い」と訂正しているが、与党の質問であったことを考えると、全くの勘違いとは考えにくい。
さらに9月に行われた南北首脳会談の際には、軍事合同文書も合意されたがが、そのなかで非武装地帯の飛行禁止区域の拡大や共同警備区域の非武装化など米軍が到底受け入れられない合意事項があったにも関わらず、米韓の事前折衝がなかったことから、ポンペオ国務長官が激怒したとの話も伝えられている。
開城の南北朝鮮の共同連絡事務所も8月末までの開設予定が米国の反対で一旦は延期になったが、9月14日に開設され、南北朝鮮を結ぶ鉄道と道路の連結の着工式も予定されるなど、韓国の対北朝鮮制裁の実質的な緩和が一段と進展し、これらも米国の懸念材料になっている。
おりしも朝中露の外務省の次官級会談の共同声明は国連安全保障理事会の北朝鮮への制裁措置の見直しを求める内容となっている。北朝鮮の非核化のためには米韓の共同歩調は欠かせないはずであるが、朝中露の共同歩調ばかりが目立つようになっている。
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北朝鮮・中国・ロシア“制裁の緩和を”(10月10日)
北朝鮮外務省・チェソニ次官と中国・孔鉉佑外務次官、ロシア・モルグロフ外務次官はモスクワでの協議を終え、ロシア外務省が共同声明を発表した。
3者は、朝鮮半島の非核化は段階的に進めるとともに、見返りの措置も同時にとられるべきとの考えで一致した。
国連の安全保障理事会は北朝鮮に対する制裁の見直しをはじめるべきだとして、関係国に対し制裁の緩和を求めた。
モスクワの北朝鮮大使館でロシアとの国交樹立70年を記念する式典を開催した。...
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北朝鮮外務省・チェソニ次官と中国・孔鉉佑外務次官、ロシア・モルグロフ外務次官はモスクワでの協議を終え、ロシア外務省が共同声明を発表した。
3者は、朝鮮半島の非核化は段階的に進めるとともに、見返りの措置も同時にとられるべきとの考えで一致した。
国連の安全保障理事会は北朝鮮に対する制裁の見直しをはじめるべきだとして、関係国に対し制裁の緩和を求めた。
モスクワの北朝鮮大使館でロシアとの国交樹立70年を記念する式典を開催した。
モルグロフ次官は、核問題など緊密に協力する用意があると述べ、積極的に関与する姿勢を強調した。
北朝鮮、中国、ロシアとしては、米朝首脳会談に向けた調整が進む中、米国側をけん制した形で、3か国の連携を鮮明にしている。
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中露朝外務副大臣会合の開催(10月10日)
米国のポンペオ国務長官が本年4度目の訪朝をした2日後の10月9日、モスクワで中露朝の3か国の外務副大臣の会談が行われた。北朝鮮の崔善姫、中国の孔鉉佑、ロシアのモルグロフ・イーゴリの各副大臣による会談で、2009年に北朝鮮が六者会談からの退出を決めて以降、初めての三か国による朝鮮半島の非核化について話し合われる会談となった。
金正恩委員長が北朝鮮にとっての伝統的な友好国である中露と協力することによって、米国への対抗策の梃としようとした、という見方や、米国と貿易戦争をしている中国が、同じく米国から制裁をうけているロシアと共同戦線を張って北朝鮮を助けているという見方もある。...
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米国のポンペオ国務長官が本年4度目の訪朝をした2日後の10月9日、モスクワで中露朝の3か国の外務副大臣の会談が行われた。北朝鮮の崔善姫、中国の孔鉉佑、ロシアのモルグロフ・イーゴリの各副大臣による会談で、2009年に北朝鮮が六者会談からの退出を決めて以降、初めての三か国による朝鮮半島の非核化について話し合われる会談となった。
金正恩委員長が北朝鮮にとっての伝統的な友好国である中露と協力することによって、米国への対抗策の梃としようとした、という見方や、米国と貿易戦争をしている中国が、同じく米国から制裁をうけているロシアと共同戦線を張って北朝鮮を助けているという見方もある。北朝鮮にとってみれば中露の後ろ盾という保険をかけておけば万一米国との非核化交渉が暗礁に乗り上げても安心だということになる。
9月の国連総会では中露が北朝鮮に対する経済制裁の緩和案を提出しようとしていたことにみられるように、米国への対抗策として、中露の北朝鮮に対する融和ムードが目立つ。韓国の文在寅大統領は近く金正恩委員長が訪露し、中国の習近平主席が訪朝する見通しであると明らかにしている。また中露は米国に対し、北朝鮮の「段階的な」非核化を認めるように迫っている。
1980年代までの中ソ対立の時代、北朝鮮は中ソの間でバランス外交を行い、中ソ両国から有利な条件を引き出すことに腐心していたが、現在は中露対米の間でバランス外交をとろうとしているように見受けられる。また冷戦時代には「日米韓」対「露中朝」の対立構造があったが、現在の韓国は文在寅大統領のもとで、北朝鮮に宥和的な姿勢が目立ち、この対立構造に変化が起きている。さらに米国のトランプ大統領までも金正恩委員長は賢い(スマート)と述べる事態になっており、北朝鮮の非核化を迅速に行うには難しい状況になっている。
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