岸田首相は、故安倍元首相国葬儀を契機に、弔問外交を積極的に行ったが、主要7ヵ国(G-7)トップが誰も出席していないことから、効果の程は如何ばかりかという声がある。一方、大統領名代として出席したカマラ・ハリス副大統領(57歳)はこの時とばかりに、北朝鮮問題含めてアジア重点外交を精力的に行っている。
9月27日付米
『AP通信』は、「ハリス副大統領、アジア訪問を契機に、朝鮮半島非武装地帯を訪問して安全保障問題注力をアピール」と題して、カマラ・ハリス副大統領が、安倍元首相国葬儀出席を機会に、朝鮮半島まで足を伸ばし、朝鮮半島非武装地帯(軍事境界線、DMZ、注後記)を電撃訪問することになったと報じている。
カマラ・ハリス副大統領は9月27日、アジア諸国の首脳らとの会談を通じて、米国のアジア安全保障問題への重点方針について強調した。...
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9月27日付米
『AP通信』は、「ハリス副大統領、アジア訪問を契機に、朝鮮半島非武装地帯を訪問して安全保障問題注力をアピール」と題して、カマラ・ハリス副大統領が、安倍元首相国葬儀出席を機会に、朝鮮半島まで足を伸ばし、朝鮮半島非武装地帯(軍事境界線、DMZ、注後記)を電撃訪問することになったと報じている。
カマラ・ハリス副大統領は9月27日、アジア諸国の首脳らとの会談を通じて、米国のアジア安全保障問題への重点方針について強調した。
その上で、ホワイトハウスは、同副大統領がDMZを訪問することを明かした。
ホワイトハウス高官によると、同副大統領は、アジア訪問日程の最終日に当たる9月29日にDMZを訪ねるという。
これは、北朝鮮によるミサイル発射や核開発問題が重大な関心事になっている最中での訪問となる。
北朝鮮は9月25日早朝、同副大統領がワシントンを発つ直前に、短距離弾道ミサイルを発射している。
8月末に実施された米韓合同軍事演習に対する報復措置だとみられる。
米高官によるDMZ訪問は、2019年のドナルド・トランプ大統領(76歳、2017~2021年在任)が金正恩朝鮮労働党総書記(38歳)と会談した際に続いて、今年8月にはナンシー・ペロシ下院議長(82歳、2019年就任)も実行している。
なお、副大統領側近としては、9月27日に同副大統領と韓国の韓悳洙首相(ハン・ドクス、73歳、2022年就任)との会談で予定が明らかにされてしまい、急遽後追いで発表せざるを得なくなった。
一方、同副大統領は日本到着早々の9月26日に岸田文雄首相と、また、翌日には豪州のアンソニー・アルバニージー首相(59歳、2022年就任)とも会談して、“強い同盟関係の下、地域の平和と安定維持のために協働していく”ことを再確認している。
同日付韓国『コリア・タイムズ』(1950年創刊の英字紙)は、「首相:ハリス米副大統領が今週DMZ訪問と発言」として、韓首相が米副大統領のDMZ訪問日程を明かしたと報じている。
韓首相は9月27日、ハリス米副大統領が9月29日にDMZを訪問する予定であることを明らかにした。
安倍元首相国葬儀出席前に行われた同副大統領との会談の際に言及したもので、同首相は、米副大統領のDMZ訪問は“米韓の揺るぎない同盟関係の象徴”だとコメントした。
これに対してハリス副大統領も、米韓同盟は“インド太平洋地域の安全保障と繁栄にとって機軸になるものだ”と表明している。
(注)DMZ:陸上において韓国と北朝鮮との実効支配地域を分割する地帯のこと。あくまで実効支配地域の「境界線」であり、「国境線」ではない。朝鮮戦争の休戦ラインであり、1953年7月27日の朝鮮戦争休戦協定により発効した。軍事境界線の周囲には南北に非武装地帯が設定され、加えて韓国側では民間人出入統制区域も設定されているため、一部の例外を除き一般人が軍事境界線付近へ近づくことはできない。
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韓国の法務省は、人口減少の問題を解決するために、外国人永住者の子供の帰化手続きを簡素化することを計画している。しかし、この計画は主に韓国に住む中国人が利益を得るものだとして、世論の反発を招いている。
韓国英紙
『コリア・タイムズ』によると、法務省が4月26日に、永住者の子供の国籍取得を容易にする国籍法の改正案を発表した。この改正案では、永住者が韓国で子供を出産した場合、その子供は法務省に申請するだけで市民権を得ることができる。現在は、親が帰化していない限り、帰化の申請は18歳以上のみ認められており、筆記試験と面接を受けなければならない。
同省によると、この法案は、少子高齢化に対応するための人材を確保しつつ、子供たちに韓国人としてのアイデンティティを確立し、韓国での生活に適応できるように助けることを目的としている。...
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韓国英紙
『コリア・タイムズ』によると、法務省が4月26日に、永住者の子供の国籍取得を容易にする国籍法の改正案を発表した。この改正案では、永住者が韓国で子供を出産した場合、その子供は法務省に申請するだけで市民権を得ることができる。現在は、親が帰化していない限り、帰化の申請は18歳以上のみ認められており、筆記試験と面接を受けなければならない。
同省によると、この法案は、少子高齢化に対応するための人材を確保しつつ、子供たちに韓国人としてのアイデンティティを確立し、韓国での生活に適応できるように助けることを目的としている。数世代にわたって住んでいる家族や、韓国との歴史的、民族的つながりのある家族を優先するため、すべての永住者に適用されるわけではないとしている。制度が改正されると、6歳以下の子どもはすぐに市民権を申請することができる。6歳以上の場合は、韓国に5年以上居住していることが条件となる。
しかし、韓国で反中感情が高まっている中でのこの計画は、韓国の永住者の大半を占める中国人居住者に利益をもたらすとして、すぐに世論の反発を招いた。
米『エポックタイムズ』によると、現在、市民権を申請できる約3,930人の未成年者のうち、中華人民共和国の国籍が約95%を占めており、このうち96%は朝鮮民族だという。市民権を申請できる残りの5%には台湾国籍やロシア国籍の子供などが含まれている。
4月28日に大統領府のウェブサイトに掲載された、この計画を無効にするよう政府に求める請願書には、31万7000人の署名が集まっている。多くの韓国人はこの嘆願書を支持し、韓国政府に「中国共産党に国を売るのはやめてほしい」と訴えている。
批判の高まりを受けて、法務省は5月26日、YouTubeチャンネルを通じてオンライン公聴会を開催し、この政策に対する様々な意見を集めた。しかし、コメント欄には、政策の撤回を求める声が殺到したほか、当局が計画に賛成するパネリストのみを招待したことを批判する声も多く寄せられた。
同省によると、この法案は、多文化的背景を持つ人々の増加に伴い、韓国をより包括的な社会にすることを目的としているが、現在、この政策の受益者が特定の国籍に集中していることを認めている。同省のソン・ソヨン氏は、「歴史的、地理的な要因により、特定の国籍の人々に集中しているが、将来的には徐々に緩和されていくと考えている」と述べた。
法務省はまた、外国人に市民権が与えられる一方で、納税や兵役などの責任を負うことになるとしている。さらに、法案は国籍法の基本である「血統主義」(国籍は両親のどちらかの国籍によって決定または取得されるという考え方)を変えるものではないことも強調している。
同省は、6月7日まで世論の収集を続け、その後、改正法案の最終版を国会に送る。
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