12月24日中国海軍は同国最初の航空母艦「遼寧」が具体的な場所には触れず遠方の海上で演習を行うと発表した。25日には日本の防衛省が航空母艦を含む中国の艦隊が宮古島と沖縄本島の間の宮古海峡を通過するのを確認したと発表した。中国の空母が初めて所謂第一列島線を越えて太平洋に進出したことになる。米国のトランプ次期大統領はこれまでの慣例を破って台湾の蔡英文総統と電話で協議したことを公式に発表したほか、これまで米政府が認めて来た台湾は中国の領土の一部であるという「一つの中国」政策についても今後方針変更も有りうるような発言をしており、中国の神経を刺激している。その中での中国海軍の行動であり、次期大統領へのけん制と見る向きもある。米次期大統領就任まで1ヶ月を切っており今後の米中関係が注目される。
12月25日付
『USAトゥデイ』(AP通信引用)は、「中国最初の航空母艦、西太平洋を目指す」という見出しで、中国国防省は中国最初の航空母艦が公海上の演習のため西太平洋へ向けて出航したと発表したと報じた。今回の海上演習は、太平洋を跨ぐ中国と米国という両大国が、独立した政府があるにも拘わらず中国が自国の領土と主張する台湾問題で緊張関係にある中実行される。トランプ次期大統領は12月2日台湾の蔡英文総統の祝意を示す電話に出て、1979年台湾と外交関係を断絶して以来、大統領、次期大統領がやらなかった台湾首脳との公式な対話を行い中国の不興を買ったが、その後台湾との関係を再考する可能性を匂わせている。その後中国は南シナ海で米国の潜水機を捕獲したが、中国アナリストはこれをトランプ氏への警告とみる。
先月の中国の発表によると空母「遼寧」は渤海で戦闘機と合同の実弾演習を実施し、その後少し外洋に進出して黄海で戦闘機の発着や戦闘訓練を行い、いつでも戦闘可能な状態であるという。日本の防衛省によると中国の空母を含む艦隊が東シナ海の中央部で初めて確認されたが、日本の領海は侵犯していないという。中国は「遼寧」をどう運用するか具体的には述べていないが、中国が拡張政策をとる南シナ海での軍事的補強に役立てるという見方が一般的であると報じている。
12月26日付台湾の
『チャイナポスト』は、「軍部、台湾近海の中国空母遼寧の動き監視中」という見出しで、台湾軍部は、西太平洋における中国艦隊の動きを注視しており、必要とあれば対抗措置を講じると発表したと報じた。台湾国防省は空母「遼寧」、ミサイル駆逐艦、フリゲート艦、輸送艦の艦隊が台湾の南の防空識別圏を迂回して最終的にバシー海峡経由で南シナ海の艦隊に合流するのか監視している。「遼寧」は中国が旧ソ連で製造された船体を1998年に購入し、中国東北の大連で改装し2012年に中国最初の航空母艦として就航したと報じている。
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南シナ海で台湾が実効支配する「太平島」に、軍事施設とみられる新たな構造物が建設されているのが米グーグルの衛星画像で明らかになった。グーグルが7月に更新した衛星画像では、太平島の北西部沿岸に、半円上に4つの3又型の構造物が確認できるが、更新前の今年1月の画像にはそれは映っていなかったという。台湾国防省は軍事上の機密と安全の面から、グーグルに対して画像をぼかすよう要求しているとし、国防相は更なる問題画像がないか調査するとしている。建設物の詳細は機密情報だとして明かしていない。専門家らによると、この施設は監視目的のミサイル基地のようだとされる。南シナ海の南沙諸島最大の太平島はフィリピン、ベトナム、中国などがその一部または全体の領有権を主張。今後新たに南シナ海での緊張が高まりかねない。
9月22日付
『ロイター通信』は「台湾がグーグルに対し南シナ海の新施設の画像をぼかすよう要求」との見出しで次のように報道している。
・台湾国防省は水曜、グーグルに対し衛星画像をぼかすよう要求している。専門家によると、この画像は南シナ海で台湾が実行支配しているイトゥアバ(太平島)の新軍事施設とみられる。
・同画像で太平島の北西部沿岸に半円上に4つの3又に突き出た構造物が確認でき、対岸には中国による滑走路や港湾を建築した人工島がある。...
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9月22日付
『ロイター通信』は「台湾がグーグルに対し南シナ海の新施設の画像をぼかすよう要求」との見出しで次のように報道している。
・台湾国防省は水曜、グーグルに対し衛星画像をぼかすよう要求している。専門家によると、この画像は南シナ海で台湾が実行支配しているイトゥアバ(太平島)の新軍事施設とみられる。
・同画像で太平島の北西部沿岸に半円上に4つの3又に突き出た構造物が確認でき、対岸には中国による滑走路や港湾を建築した人工島がある。この軍事的施設建設が明らかになり、中国による滑走路等建設に続き、より国際的緊張が高まるとみられる。
・現地メディアの画像公開後、台湾国防省報道官は、「軍事機密と安全を順守するとの前提条件のもと、グーグルに重要な軍事施設の画像をぼかすよう要求した。」とした。太平島を実効的に管轄する台湾国防省と海岸巡防署は、詳細は機密とする。
・グーグル側は要求に対し即時対応はしていない。
・台湾の国防専門家(定期的に同島を視察)は、半円状の建造物はミサイル発射台の基礎の一部だとみられるという。「軍事目的だと確信できるが、防衛、攻撃、監視目的の施設かの断定はできない。主な海上ルートに面した位置関係から推測すると監視目的かもしれない。」としている。
9月21日付台湾
『チャイナポスト』は以下のように報道している。
・政府はグーグルに画像のぼかしを要求したが、現段階では今もグーグル地図では構造物が見えいている。3~4階建の円状の沿岸の構造物は、昨年1月撮影の前回のグーグルアースの衛星画像上には見られなかった。
・馮世寬国防相は、「機密とされる太平島での軍事施設建設やその目的を公開するのは不利なことである。」と述べた。また、国民党の王育敏議員に、軍事機密情報への違反は太平島のみなのかと聞かれ、他にもグーグルによる違法画像が無いか調査を続けるとした。
・建設途中段階であると報道されるこの建造物は、対空管制塔ではないかとの観測を生んでいる。国民党の江議員は、今年7月に他の議員も同行させ同地を訪問した際に既に存在したと述べている。同議員らは、太平島の台湾所有権を擁護、島でなく岩だと分類するハーグ条約を順守するためだとする。
9月21日付台湾
『台北タイムズ』は「大臣がグーグルに島の「機密」漏えいを問う」との見出しで以下のように報道している。
・国防相によると、グーグルの画像漏えいとされる問題について、同社との話合いが続いている。7月に画像が更新されてから、4つの3又構造物がイトゥアバ島(太平島)の沿岸部にみられ、その詳細に国防省は触れていない。
・情報筋によると構造物は、以前あった迫撃砲基地よりも規模が大きいという。国防相は、前政権時代の中距離型ミサイル開発計画は蔡英文政権になり中止になったのかとの質問されこれを否定。1000km飛距離をもつ「クラウドピーク」ミサイル計画では北京や上海を攻撃可能とした。
9月22日付英
『BBC』はグーグル側に関し次の様に報道している。
・グーグルは台湾政府の要求を精査しているとし、同社の報道官は「我々は防衛の問題を深刻に受け止めている。それについて積極的に公的機関と議論する意向である。」としている。グーグルはこれまで画像にぼかし処理をするよう要求され実行した経緯はない。ほとんどの画像は第三者の提供者からのものであり、そのため他の販売ルートからの入手も可能である。
9月22日付露
『スプートニク』は「台湾が緊張高まる南シナ海での新軍事施設を隠すようグーグルに要求」との見出しで次の様に報道している。
・台湾国防相は、グーグルに対し衛星画像をぼかすよう要求。画像は南シナ海で台湾が実行支配している太平島の新軍事施設とされる。南シナ海問題では、フィリピンが中国に対し、南シナ海に対する中国の領有権主張や人工島の建設などが国際法に違反するとし提訴し、ハーグ仲裁裁判所は、中国の主張を法的根拠がないと判断したが、中国側がこの判断は無効であるとして反発した。元台湾政府顧問は、この建設物は軍事目的だと確信できるが、防衛か攻撃か監視目的の施設かの断定はできないという。年間数億ドルのビジネスが南シナ海を行き来し、台湾に加え、中国、マレーシア、ベトナム、ブルネイ、フィリピンが一部地域の領有権を主張している。
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