3月5日に開幕した中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)において、2018年の国防予算が1兆1,069億5,100万人民元(約18兆4,000億円)と、前年実績比8.1%増となることが判明した。これは4年振りに伸び率が前年を上回ることとなり、習近平(シー・チンピン)指導部がいよいよ強軍路線を鮮明にしたことになる。ただ、米太平洋軍司令官は、中国国防費は依然不透明で、他国から中国脅威論が高まるだけだと批評した。これに対して中国は、国営メディアを通じて、米国の国防費の4分の1にしかならず、また、人口比でも他主要国に比べて遥かに低いと反論している。
3月6日付米
『ロイター通信米国版』:「米太平洋軍司令官、中国の国防費は不透明と批判」
米太平洋軍のスコット・スウィフト司令官は3月6日、3月5日に発表された中国の国防費は依然透明性に欠けていると批判した。
訪問中の東京での記者会見で語ったもので、同司令官は、国防費増額の意図等が明らかでなく、他国から脅威を持ってみられるだけだとした。
中国国営メディアは3月5日、中国の国防費は透明性があり、他国の脅威となることはなく、更に、米国のそれの僅か4分の1でしかないと主張した。...
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3月6日付米
『ロイター通信米国版』:「米太平洋軍司令官、中国の国防費は不透明と批判」
米太平洋軍のスコット・スウィフト司令官は3月6日、3月5日に発表された中国の国防費は依然透明性に欠けていると批判した。
訪問中の東京での記者会見で語ったもので、同司令官は、国防費増額の意図等が明らかでなく、他国から脅威を持ってみられるだけだとした。
中国国営メディアは3月5日、中国の国防費は透明性があり、他国の脅威となることはなく、更に、米国のそれの僅か4分の1でしかないと主張した。
ただ、海外の多くの軍事評論家や外交官は、国防費として出された数字は実際のものより低いとコメントしている。
同日付シンガポール『チャネル・ニュースアジア』テレビニュース:「中国、国防費増は国力につり合っていて高くはないと主張」
中国国営メディア『チャイナ・デイリィ』は3月6日付社説で、中国の国防予算について、いつもの疑い深い人たちが指摘しているだけだとした上で、米国の国防費の僅か4分の1であり、また、伸び率も最速ということではないと反論した。
更に同紙は、人口当りでみれば、他主要国に比べて極めて低いとも付言した。
また、東・南シナ海及び台湾に関わる軍事力を拡大しているとの指摘には、中国主権を擁護する上で必要な対応だとも強調した。
『環球時報』もその社説で、もし中国が米国等と軍拡競争をするのであれば、国防費は毎年20~30%増とせねばならないが、実際はそうなっていないと主張した。
一方、『新華社通信』は3月5日付報道で、党中央軍事委員会の許其亮(シュー・チーリャン、67歳)副主席が、人民解放軍は更に訓練を積み、常に有事に備える体制を整え、戦闘に勝利する能力を培う必要があると檄を飛ばしたと報じている。
(参考)2017年データであるが、主要国の国防費は以下のとおり;
①米国 5,878億ドル(約62兆8,900億円)、②中国 1,617億ドル(約17兆3,000億円)、③インド 510億ドル(約5兆4,600億円)、④英国 457億ドル(約4兆8,900億円)、⑤ロシア 446億ドル(約4兆7,700億円)、⑥日本 438億ドル(約4兆6,900億円)
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