インド:新型肺炎の感染拡大が止まらない中、4月から6月のGDPが急降下(2020/09/01)
インドは、4~6月のGDPが23.9%減と過去最悪の落ち込みを記録した。新型肺炎の感染拡大防止のために、2ヵ月間の外出禁止措置をとった結果だ。現在も新型肺炎の流行はおさまる気配がなく、厳しい状況が続いている。
『レゼコー』によると、インドの専門家らは4月からスタートした第1四半期のGDPの急激な落ち込みを予想していたものの、その予想を上回る落ち込みだという。ロイター通信による調査では、専門家らは18.3%の収縮を予想していたが、第1四半期のGDPはそれを上回る前年同期比23.9%減を記録した。
「インディア・レーティングス」のチーフエコノミスト、デヴェンドラ・パント(Devendra Pant)氏は、「下落の大きさを見ると、我々が考えていたよりも、外出禁止措置の影響がはるかに大きかったことを示している」と述べている。...
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『レゼコー』によると、インドの専門家らは4月からスタートした第1四半期のGDPの急激な落ち込みを予想していたものの、その予想を上回る落ち込みだという。ロイター通信による調査では、専門家らは18.3%の収縮を予想していたが、第1四半期のGDPはそれを上回る前年同期比23.9%減を記録した。
「インディア・レーティングス」のチーフエコノミスト、デヴェンドラ・パント(Devendra Pant)氏は、「下落の大きさを見ると、我々が考えていたよりも、外出禁止措置の影響がはるかに大きかったことを示している」と述べている。インドは3月25日、世界でも最も厳しいレベルの外出禁止措置を導入し、ほとんどすべての活動を停止させため、何百万人もの雇用が破壊された。
前年同時期に比べてプラス成長を記録したのは農業だけで、他の業界は全てマイナス成長となった。中でも建設業、ホテル、貿易、運輸業が最も深刻な打撃を受けている。パント氏は、「成長率の面では底をついたと考えられるので、第2四半期はもっと良くなるはず。しかし、今年度1年間の成長率はマイナスになる」という見通しを示した。
また、第一波がいつ収束するのか、第二波が来るのかどうか、ワクチンがいつ出来上がるのか。経済の回復はこうした要因に依存してくると指摘している。
『ラトリビューン』によると、バローダ銀行のチーフエコノミスト、サミル・ナラン(Sameer Narang)氏も「これは経済危機に転じた健康危機であり、唯一の解決策はワクチン」であり、国民の大多数がワクチンを接種し、初めて「新型肺炎以前の経済成長レベルに戻ることができる」と述べている。
インドは感染拡大を抑制するために、3月末に全土での外出制限措置をとった際、13億人の国民の生活が一変し、一晩で何千万人の人々が収入源を失った。国内での州をまたぐ移動も禁止となり、主要都市から移民労働者が流出し、経済活動の停止を招いた。
さらにインド経済は、アジア第3位の経済大国でありながら、新型肺炎の流行以前から、鈍化傾向にあり、記録的な失業率の高さ、債務不履行を抱える銀行などに悩まされていた。
2019-2020年の最終四半期には、経済成長は既にかつてないほどの鈍化を見せていた。
モディ首相は5月にようやく「自給自足」を旗印に2450億ユーロ(約31兆円)の復興計画を発表したが、経済の下落を阻止するためには少なすぎる額であり、かつ遅すぎる、と当時は批判派が警鐘を鳴らしていた。
6月から外出制限は解除され、その他の様々な制限も段階的に解除されているものの、感染収束の見通しが立たない中、経済が回復するまでにはまだ遠い道のりだ。
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ユニコーン企業の数で北京がシリコンバレーを抜く(2020/08/07)
中国の民間シンクタンク「胡潤研究院」の報告によると、米国が現在もユニコーン企業数世界一の座を保持しているものの、中国の首都北京には、シリコンバレーよりも多い93の有望なテクノロジー企業、「ユニコーン」企業が集まっているという。
週刊金融紙
『ラトリビューン』によると、「胡潤研究院」は今年の3月末時点で、ユニコーン企業と呼ばれる成長性の高いベンチャー企業で、投資対象として評価額10億ドル以上のテクノロジー企業を世界で586社確認しているという。
同シンクタンクによると、これらの企業の評価額は合計で1900億ドル(約20兆円)に上る。
ユニコーン企業の数では、アメリカ(233)が中国(227)を抜いて世界一位であるが、93社の有望テクノロジー企業が北京に集まったことで、現在中国の首都が、シリコンバレーのあるサンフランシスコ(68)を追い抜いたという。...
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週刊金融紙
『ラトリビューン』によると、「胡潤研究院」は今年の3月末時点で、ユニコーン企業と呼ばれる成長性の高いベンチャー企業で、投資対象として評価額10億ドル以上のテクノロジー企業を世界で586社確認しているという。
同シンクタンクによると、これらの企業の評価額は合計で1900億ドル(約20兆円)に上る。
ユニコーン企業の数では、アメリカ(233)が中国(227)を抜いて世界一位であるが、93社の有望テクノロジー企業が北京に集まったことで、現在中国の首都が、シリコンバレーのあるサンフランシスコ(68)を追い抜いたという。3位は47社が集まる上海となっている。
胡潤研究院の創設者ルパート・フーゲワーフ氏は、「アメリカと中国は、両国あわせて世界のGDPの40%、世界人口の4分の1しか占めていないにもかかわらず、世界のユニコーン企業の80%以上を占めている」とコメントしている。
なお世界のユニコーン企業トップ3の座は中国企業が独占している。世界最大のモバイルとオンライン決済プラットフォーム「アリペイ」などを運営しているアント・フィナンシャル、動画共有サービスTikTokなどを運営するバイトダンス、そして配車サービスの滴滴出行だ。
アメリカの企業でランキング上位にランクインしているのは、5位に宇宙輸送のスペース X、6位にオンライン決済のストライプ、そして7位には宿泊施設のレンタル業務を行うエアビーアンドビーとなっている。
こうした中、『ルモンド』は、7月15日付の記事でシリコンバレーのアメリカ企業は中国から目をそらし、人口がそのうち中国を上回るインドに目を向けていると報じている。
例えば、5億人のインターネットユーザーを抱え、デジタルの活用と採用の面で、すでに中国に迫っているインドに対し、グーグルは今後5年間で100億ドル近く(約1兆円)を投資する意図を発表している。
グーグルは更に、石油化学を中心に、石油・ガス開発、小売、インフラ、バイオテクノロジーなどの事業を手がけるインド最大のコングロマリットであるリライアンス・インダストリーズの電話事業Jioの資本の7.7%を45億ドル(約4751億円)で取得している。
わずか数年で、4億人近くの加入者を持つ国内有数の電話事業者に成長したJioは、デジタルサービスのプラットフォームを中心としてビデオからショッピング、企業向けサービスまで開発してきた企業だ。この一社で中国のアリババやウィーチャットと同等の力を持つと言われている。
そのため、インドはまだ中国ほど裕福ではないものの、フェイスブックやインテル、シルバーレイクなど、そしてグーグルなどのテクノロジー企業が、中国テクノロジー企業との競争の中、今後有望なデジタル市場であるインドに我が先にと投資をしているという。
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