昨年末に上下両院議会が解散されたイタリアにおいて、3月4日に総選挙が実施される。そこで懸念されるのが、一昨年の米国、昨年のフランス大統領選及びドイツの総選挙で取沙汰された、ロシアによる不当介入が起こり得るのかである。しかし、大方の予想では、これまでのイタリアの政策が、欧州による対ロシア制裁反対含め、親ロ政策であること、更には、ウラジーミル・プーチン大統領の盟友であるシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相の政界復帰も期待されることから、ロシアが介入する必要がないとみられている。
3月1日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ロシアはイタリア総選挙に介入するか? いや、その必要はないだろう」
米大統領選に始まり、オランダ、フランス、ドイツにおける大統領選・総選挙に対して、ロシア包囲網分断を策謀しているロシアは、自国にとって都合の良い結果となるよう、ソーシャル・メディアを使ったり、偽ニュースを流したりして不当介入してきたと非難されている。
そして今回、3月4日に投開票が行われるイタリア総選挙へのロシア介入はあるのかとの懸念であるが、大方の予想によると、それは起こりえないし、その必要もないだろうというものである。...
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3月1日付米
『ニューヨーク・タイムズ』紙:「ロシアはイタリア総選挙に介入するか? いや、その必要はないだろう」
米大統領選に始まり、オランダ、フランス、ドイツにおける大統領選・総選挙に対して、ロシア包囲網分断を策謀しているロシアは、自国にとって都合の良い結果となるよう、ソーシャル・メディアを使ったり、偽ニュースを流したりして不当介入してきたと非難されている。
そして今回、3月4日に投開票が行われるイタリア総選挙へのロシア介入はあるのかとの懸念であるが、大方の予想によると、それは起こりえないし、その必要もないだろうというものである。
何故なら、イタリアはこれまで、欧州連合(EU)による対ロシア制裁政策に真っ向から反対してきており、また、今回の総選挙の結果、どの政党が政権を担うことになっても、この方針に大きな変更はないとみられているからである。
更に、ウラジーミル・プーチン大統領(65歳)の盟友である、中道右派のシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相(81歳)が政界復帰を果たし、同氏の率いるフォルツァ・イタリア党(FI)が連立政権を担うことになることも期待されている。
同氏はかねてから、対ロシア制裁に強く反対している。そして、今回の総選挙でFIが勝った場合、同氏が連立を組むと期待しているマッテオ・サルヴィニ北部同盟党首(44歳)も、昨年訪ロの上、プーチン大統領の与党・統一ロシアとの間で協力協定を締結している。
一方、同日付フランス
『フランス24』オンラインニュース(
『AFP通信』配信):「ベルルスコーニ元首相、欧州議会のタイヤーニ議長を次期首相に推薦」
イタリア大富豪でメディア王でもあるベルルスコーニ元首相は3月1日、もし中道右派グループが3月4日の総選挙に勝利した場合、欧州議会(注後記)のアントニオ・タイヤーニ議長(64歳)を首相に推挙する意向であると表明した。
同元首相は、同氏が所有するテレビ放送局のチャネル5の番組に登場してコメントしたもの。
タイヤーニ議長は、ベルルスコーニ氏が率いるFIの流れを汲むイタリアの同胞・国民同盟党に属しており、同氏としては欧州の全てをよく知る人物としても評価している。
同議長は3月1日晩、ベルルスコーニ氏の推薦を光栄に思い、期待に応えたいとツイートしている。
なお、ベルルスコーニ氏の中道右派グループは、直近の世論調査で最高支持率を得るとの結果が出ているものの、それでも過半数には届かないため、他党との連立を模索する必要がある。
(注)欧州議会:直接選挙で選出されるEUの議会組織。EUの機関において、EU理事会とともに両院制の立法府を形成しており、世界でもっとも強力な権限を持つ立法機関のひとつといわれる。
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