これまで何度か報じたとおり、今年5月に首相に返り咲いたマハティール・ビン=モハマド氏は、前任のナジブ・ラザク前首相が進めた親中政策の見直しを公言し、中国主導による大鉄道建設や天然ガス輸送パイプライン敷設プロジェクトの中止や撤回を断行している。しかし、既に中国資本に牛耳られてしまっているものの、同氏自身が前回首相時代に立ち上げた国産自動車メーカーへの支援は別のようで、この程同メーカーが発表した新型SUV(多目的乗用車)お披露目のPR役を買って出た。
12月12日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「マレーシアのプロトン自動車、中国の吉利汽車傘下で初のSUVを発表」
マレーシア国産のプロトン自動車(注1後記)は12月12日、中国の吉利汽車(注2後記)の傘下に入って1年半余り経ってから、初めて新型SUV“X70”をデビューさせた。
X70は吉利汽車が最も多く販売しているコンパクトSUV“博閲(ボーユー)”をベースとしたもので、価格は9万9,800~12万3,800リンギ(2万3,800~2万9,540ドル、約270~330万円)、日本や韓国製SUVに対抗したモデルである。...
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12月12日付
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「マレーシアのプロトン自動車、中国の吉利汽車傘下で初のSUVを発表」
マレーシア国産のプロトン自動車(注1後記)は12月12日、中国の吉利汽車(注2後記)の傘下に入って1年半余り経ってから、初めて新型SUV“X70”をデビューさせた。
X70は吉利汽車が最も多く販売しているコンパクトSUV“博閲(ボーユー)”をベースとしたもので、価格は9万9,800~12万3,800リンギ(2万3,800~2万9,540ドル、約270~330万円)、日本や韓国製SUVに対抗したモデルである。
新車発表会にはマハティール首相も出席し、自ら新車X70のPRに努め、プロトン自動車の再生に期待すると表明した。
プロトン自動車は、マハティール首相(1980年代の前政権当時)が推進した国産車製造方針の下で1983年に設立された。
プロトン自動車は一時期、マレーシア国内自動車メーカーの最大手であったが、低品質や代わり映えしないモデルなどのために販売が低迷し、2012年にマレーシア複合企業のDRB-ハイコム傘下となって民営化された。
しかし、その後も低迷が続き、DRB-ハイコムが49.9%株式を中国の吉利汽車に売却
し、中国資本傘下となっている。
吉利汽車はスウェーデンのボルボ社のオーナーであるが、プロトン自動車への参入に当っては4,000万ドル(約45億円)を投じたと発表している。
プロトン自動車の発表によると、X70は吉利汽車と共同開発した初めてのモデルで、今年9月に概案を公表以来、既に1万台以上の注文を受けているという。
一方、吉利汽車は、プロトン自動車を右ハンドル車(左側通行)の生産拠点として、左側通行が主流の国々に輸出攻勢をかける計画だと発表している。
なお、マハティール氏は昨年、プロトン自動車が吉利汽車傘下となった際、“自分の子供失ったようだ”と失望していた。
(注1)プロトン自動車:1980年代にマハティール首相(当時)が掲げた国産車構想の下、1985年に設立された国営自動車メーカー。名称はマレーシア語“国民自動車会社”の略称。
一時期国内の60%のシェアを誇ったが、その後の業績低迷によって2012年にDRB-ハイコム(マレーシアの複合企業)傘下となって民営化。しかし、その後も低迷が続き、2017年に吉利汽車に49.9%株式を譲渡。
(注2)吉利汽車:中国の120社余りの自動車メーカーのうちのトップ10に入る民間自動車メーカーで、親会社の浙江吉利集団は元々1980年代半ば冷蔵庫メーカーとして発足。1997年から自動製造、2003年から同輸出を開始。2010年に米フォードからボルボ(スウェーデン)を買い取り、2017年にはマレーシアのプロトンの49.9%株式取得。更に、2018年にはメルセデス・ベンツの親会社のダイムラーの9.69%を取得して筆頭株主となっている。
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