米国とメキシコ両国が、国境問題をめぐり政治的対立を深める中で、メキシコで最大手の航空会社アエロメヒコ航空はこのほど、メキシコ人の血を引く米国人を対象として、その遺伝子の割合に応じた「DNA割引」を導入することを発表した。
『AFP通信』『CNN』や
『ニューヨークポスト』の他、多くのメディアが19日までに報じた。先週アエロメヒコ航空は、米国人に対し、メキシコ人に対する偏見を一掃し、南で国境を接した同国を訪問することを奨励するスポットCMの放映を開始したが、このCMがソーシャルメディア上で拡散し、同社の販促キャンペーンが話題になっているという。
アエロメヒコ航空は、血液検査によって、利用者のメキシコ人としての遺伝子を確認し、その割合に応じて航空運賃の割引を提供するとしている。例えば、メキシコ人の遺伝子の割合が15%なら、運賃は15%割引となる。
同社のCMでは、「メキシコ人の最初の訪問地は米国だが、米国人の最初の訪問地はメキシコではない。そこで我々は、典型的な米国の町に行き、なぜメキシコを訪問先の候補に考えないのか尋ねた。」とナレーターが語っている。
そして、テキサス州・ウォートンで、地元住民数人に対しメキシコへの訪問について尋ねたインタビューが流れる。ある女性は、「メキシコに行ってみたいと思いますか?」との質問に「絶対ない。」と答え、ある男性は、「私はここで平穏に過ごさせてくれ。そして向こうの人間は国境の反対側に留まってくれ。」と語った。ブリトーやテキーラなどメキシコのものは好きだが、訪問には関心がないという住民も登場する。しかし、メキシコ人の遺伝子を持つので、運賃の割引対象になると言われると、訪問に興味を示した人もいた。
米国にメキシコ系の住民は多いが、アリゾナ州やユタ州など米西部諸州では、特にその割合が高い。同販促キャンペーンについて、あるツイッター・ユーザーは、「外国人嫌いの米国人の中には、自分たちの大半が他国にルーツがあり、本当の米国人は殆どいないことに気が付き始める人がいるかも知れない。」と投稿している。
トランプ米大統領は、メキシコ国境に壁を建設するとの公約の実現のため、その費用を予算に含めるよう要求し、これに反対する民主党との対立によって、米政府機関の一部閉鎖が続いている。本CMは当初昨年5月に放映されたが、国境の壁や政府閉鎖のニュースが盛んに報じられる中で最近再び放映が始まり、大きな注目を浴びることとなった。
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