トルコのエルドアン大統領は、中央銀行への嫌悪の度合いをレベルアップさせた。6日に発せられた大統領令で、2020年までの任期とされていた中銀総裁のチェティンカヤ氏が突如解任され、後任にはウイサル副総裁が起用された。正式な理由は明らかにされていない。この決定により、トルコで金融政策に政治が介入するという懸念が再び高まった。この発表の後トルコリラは対米ドルで2%下落した。
また、10日にトルコ紙ハベルチュルク紙が報じたところによれば、エルドアン大統領は中銀総裁の事実上の更迭の後、「中央銀行は経済における金融面の最も重要な要素だ。...
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トルコのエルドアン大統領は、中央銀行への嫌悪の度合いをレベルアップさせた。6日に発せられた大統領令で、2020年までの任期とされていた中銀総裁のチェティンカヤ氏が突如解任され、後任にはウイサル副総裁が起用された。正式な理由は明らかにされていない。この決定により、トルコで金融政策に政治が介入するという懸念が再び高まった。この発表の後トルコリラは対米ドルで2%下落した。
また、10日にトルコ紙ハベルチュルク紙が報じたところによれば、エルドアン大統領は中銀総裁の事実上の更迭の後、「中央銀行は経済における金融面の最も重要な要素だ。これを根本的に見直して、しっかりした基礎を固めない限り、我々の生活は深刻な問題を抱えることになってしまうかもしれない。チェティンカヤ氏は市場の信頼感を高めようとせず、市場ときちんと意思疎通しようとしなかった」と報道陣に語ったという。同大統領はこれまでも型破りな見解を示していた。同大統領は自身を「金利の敵」と呼び、高金利をインフレの原因だとみなし、景気後退に襲われる経済を活性化させるために金利を下げるよう要求していた。ある専門家は「これは経済学上の無知だ」と語っている。別の専門家も「エルドアン大統領のもとで金融政策の信頼性は著しく傷つけられている」としている。
さらにもう一人の専門家は、今後について、「後任のウイサル総裁は、7月25日の次回の会合で、大幅な利下げを開始するかもしれない。これはエルドアン大統領を“なだめる”ためだ」と語る。そして、リラが下落している状況ではそのような決定は「政策の大きな過ち」であり、中銀総裁の交代は、「トルコ中銀の独立性の終焉となるかもしれない」と述べた。
中央銀行が攻撃される事例が増えている。その中でもトルコは、政治指導者が中銀に介入するとどういうことになるかを示すいい事例となっている。過去何年もエルドアン大統領からの圧力を受け、中央銀行が経済の過熱を利上げによって抑制する意志が制限されてきた。これにより、中央銀行はインフレ高進に常に後手に回ってしまった。専門家は「トルコは、政治家が金融政策をコントロールしようとすると、中央銀行がインフレを抑えるだろうという信頼性がこれほどまでに失われてしまうのだ、という典型的な例となっている」と語る。
一方、トランプ大統領も、相変わらずFRBを批判しFRBに利下げを要求している。しかしこれは、トランプ大統領自身による、米国経済は「過去最高の状態だ」という主張と矛盾しているようだ。株式市場は過去最高値付近にあり、信用状況も底堅く、労働市場も健全に見えるからだ。しかし、トランプ大統領は5日のツイートで、「我々の最も大きな問題は、我々の競争相手ではなく、FRBだ」とし、FRBは「わかっていない」と続けた。
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