インド政府は18日、電子たばこの販売などを全面的に禁止すると発表した。電子たばこは従来のたばこほど有害でないとされてきたが、特に先進国の若者の間で急速に広まって死亡例も報告されており、同国政府は健康への影響が懸念されるとして禁止を決定した。
『ロイター通信』や
『AFP通信』、英
『BBC』などが報じた。インドのニルマラ・シタラマン財務相は首都ニューデリーで記者団に対し、「電子たばこが今日の若者に与える影響に鑑み、本決定はなされた。」と説明した。
今回の措置により、電子たばこの生産、販売、輸入、宣伝が禁止されるが、使用は禁止されていない。1回目の違反には最大で禁錮1年と10万ルピー(約15万円)の罰金が、2回目以降の違反には最大で禁錮3年と50万ルピー(約76万円)の罰金が科せられる。...
全部読む
『ロイター通信』や
『AFP通信』、英
『BBC』などが報じた。インドのニルマラ・シタラマン財務相は首都ニューデリーで記者団に対し、「電子たばこが今日の若者に与える影響に鑑み、本決定はなされた。」と説明した。
今回の措置により、電子たばこの生産、販売、輸入、宣伝が禁止されるが、使用は禁止されていない。1回目の違反には最大で禁錮1年と10万ルピー(約15万円)の罰金が、2回目以降の違反には最大で禁錮3年と50万ルピー(約76万円)の罰金が科せられる。
今回の禁止措置は、従来の伝統的なたばこ製品を対象としていない。世界保健機関(WHO)によれば、インドは中国に次ぐ世界第2位のたばこ製品の消費国で、約1億600万人の成人の喫煙者がおり、年間約90万人が喫煙により死亡している。また、世界第3位のたばこ生産国であり、たばこは主要輸出品の1つになっている。
電子たばこは従来のたばこより害が少ないとされ、メーカーだけでなく、英国など一部の国の政府も、安全な代替製品や禁煙手段として推奨してきた。しかし、電子たばこには、従来のたばこの煙にある約7,000種類の化学物質が含まれていないものの、なお有害と思われる多くの物質が存在し、そうした電子たばこ自体が有害であるだけでなく、電子たばこ用の液体の風味が、特に子どもをニコチン中毒にするとの指摘がなされている。
こうしたことから、現在世界各国で電子たばこへの懸念が高まっている。米国では、電子たばこを吸引し、深刻な肺疾患を患ったことにより7人が死亡したことなどを受けて、インド政府の発表の前日の17日には、ニューヨーク州がミシガン州に続き、風味付きの電子たばこの販売などを禁止した。
インドで電子たばこを吸引する人は現在では非常に少ない。たばこメーカーは、従来のたばこの販売減少を補うために、電子たばこへの投資を加速しており、フィリップモリスやジュールなどは、インドでの電子たばこの販売に期待していた。これらの企業は、13億人という巨大な潜在市場から閉め出されてしまうことになり、インド政府の今回の措置に対しては、今後訴訟が提起される可能性もある。
閉じる