米中対立のはざまで…翻弄される中国人留学生(10月3日)
1か月後に迫った米国大統領選挙。争点の一つが中国との関係だ。米中の対立が激しさを増し両国の人々に影響を与えるなか、米国で学ぶ中国人留学生も将来に不安を抱いている。
カリフォルニア大学・ロサンゼルス校ではアジア系の学生も多く留学生の6割にあたる約3300人が中国人留学生だ。
中国からの留学生・王イレンは博士課程でバイオサイエンスを学んでいる。成績はトップクラスで北京大学医学部を卒業した。...
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1か月後に迫った米国大統領選挙。争点の一つが中国との関係だ。米中の対立が激しさを増し両国の人々に影響を与えるなか、米国で学ぶ中国人留学生も将来に不安を抱いている。
カリフォルニア大学・ロサンゼルス校ではアジア系の学生も多く留学生の6割にあたる約3300人が中国人留学生だ。
中国からの留学生・王イレンは博士課程でバイオサイエンスを学んでいる。成績はトップクラスで北京大学医学部を卒業した。
シアトルに長期滞在した王は生活費を切り詰めるためにボートで生活しながら企業のインターンに参加した。卒業後も米国で研究を続けたいと考えている。王イレンは「米国の方がバイオや医療分野では中国より資金面で恵まれていると思う」と話した。
しかし激しさを増す米国と中国の対立に頭を悩ませている。ビューリサーチセンター調べでは中国の印象を「好ましくない」とする人はトランプ政権発足時の2017年には47%だった。それが今年7月には73%にまで増加した。
さらに先月、米国国務省は米国の大学や研究機関から知的財産・高度な技術の流出を防ぐため中国人1000人以上のビザを取り消した。王イレンは「米国の世論一般は中国人留学生をよく思っていないと感じる」と話した。
米国国内でもこうした状況が続けば海外から優秀な人材が集まらなくなり自国の経済力をそぐことになると指摘する声が出ている。
教育ジャーナリスト・カリンフィッシャーは「大学は留学生を受け入れ国際化を進めることで強じんになると言われている。海外とのつながりが弱くなれば米国の力の低下につながるおそれがある」と話した。同じ大学に通う中国人留学生の仲間も王と同じ悩みを抱えている。王イレンは「中国の人たちはそこで歓迎されなければ帰ってきて一緒に働こうと言ってくれているが・・・」と話した。
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警戒“中国のスパイ・機密情報狙う”FBIがドラマ公表(10月2日)
FBI(連邦捜査局)がウェブサイトに公表した動画は、実際に起きた事件をもとに制作された26分間のドラマである。
実際の事件では、CIA(中央情報局)の元職員がビジネス向けの交流サイト「リンクトイン」を通じて中国から接触を受け、2017年に上海を訪れて現金と引き換えに機密情報を渡したとされ、この元職員は去年、禁錮20年の判決を言い渡されている。
動画の最後には「中国の情報機関は米国と西側諸国にいる数千人を狙ってSNSで接触してきた。...
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FBI(連邦捜査局)がウェブサイトに公表した動画は、実際に起きた事件をもとに制作された26分間のドラマである。
実際の事件では、CIA(中央情報局)の元職員がビジネス向けの交流サイト「リンクトイン」を通じて中国から接触を受け、2017年に上海を訪れて現金と引き換えに機密情報を渡したとされ、この元職員は去年、禁錮20年の判決を言い渡されている。
動画の最後には「中国の情報機関は米国と西側諸国にいる数千人を狙ってSNSで接触してきた。政府や企業、研究機関など情報を持つ様々な人々だ」と字幕で記し、警戒を呼びかけている。
FBIは、中国に機密情報を渡していた疑いでCIAや国防総省の元職員などを相次いで逮捕しているほか、企業や大学を舞台にした産業スパイや学術スパイにも警戒を強めている。
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米中の対立根深く・国連でも激しく応酬(9月23日)
国連総会の各国首脳のよる演説が始まり米国のトランプ大統領が新型コロナウイルスの感染拡大の責任は中国にあると激しく非難した。
これに対し習近平国家主席はウイルスを政治問題化していると反発し米中の対立の根深さが露わになった。
例年は加盟国の首脳や代表が出席するが、今年は新型コロナウイルスの感染対策で事前に収録したビデオを議場で流す形式で行われる。
米国裁判所・中国SNS禁止・差し止め(9月21日)
米国のトランプ政権は中国のSNS・ウィーチャットについて、米国国内でのアプリの配信などを20日から禁止すると発表していましたが、現地の裁判所はこれを一時的に差し止める命令を出した。
トランプ政権は動画共有アプリのTikTokやSNSのウィチャットについて、利用者の個人情報が中国政府に悪用されるおそれがあるとして、今月20日から米国国内でアプリの配信や送金機能などを禁止すると発表していた。
米国に住むウィーチャットの一部の利用者は、サンフランシスコにある連邦地方裁判所に禁止措置の差し止めを求め、裁判所は19日、訴えを一部認めて、禁止措置を全米で一時的に差し止める命令を出した。...
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米国のトランプ政権は中国のSNS・ウィーチャットについて、米国国内でのアプリの配信などを20日から禁止すると発表していましたが、現地の裁判所はこれを一時的に差し止める命令を出した。
トランプ政権は動画共有アプリのTikTokやSNSのウィチャットについて、利用者の個人情報が中国政府に悪用されるおそれがあるとして、今月20日から米国国内でアプリの配信や送金機能などを禁止すると発表していた。
米国に住むウィーチャットの一部の利用者は、サンフランシスコにある連邦地方裁判所に禁止措置の差し止めを求め、裁判所は19日、訴えを一部認めて、禁止措置を全米で一時的に差し止める命令を出した。
理由について裁判所は「ウィーチャットは英語が不自由な中国系の人々にとって不可欠な連絡の手段になっている」などとしたうえで、ウィチャットが安全保障上の脅威になっているという政権の主張は根拠に乏しいと指摘している。
トランプ政権はIT分野で中国に対する締めつけを強化していることから、今後の対応が注目される。
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菅内閣は米中の狭間でどのようにやってゆくのか(9月19日)
米中関係が険悪な状態となっている中で日本は極めて難しいバランスが求められる。この2国の間で菅新政権はどのような舵取りを行っていくのか、注目が集まる。
中国の習近平国家主席は16日、菅義偉新首相に「双方は新時代の要求に合致した中日関係の構築を積極的に推し進めるべきだ」との祝電を送った。日本の首相就任で中国の国家主席が祝電を送ったなどという話は前例がない。米中間の対立が激化すればするほど、中国側は、日本を引き寄せたいとの考えが強くなる。...
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米中関係が険悪な状態となっている中で日本は極めて難しいバランスが求められる。この2国の間で菅新政権はどのような舵取りを行っていくのか、注目が集まる。
中国の習近平国家主席は16日、菅義偉新首相に「双方は新時代の要求に合致した中日関係の構築を積極的に推し進めるべきだ」との祝電を送った。日本の首相就任で中国の国家主席が祝電を送ったなどという話は前例がない。米中間の対立が激化すればするほど、中国側は、日本を引き寄せたいとの考えが強くなる。
この翌日、17日、トランプ大統領が、ツイッターで菅義偉首相の就任に祝意を示し、「近く会談するのを楽しみにしている」と述べ、早期の首脳会談の実現に意欲を見せるなど、米国と中国が互いに激しく日本の手の引っ張り合いをしている。
菅総理としては日米同盟を軸とし、中国に対しては主張すべきことは主張しながらもうまく付き合っていく道を探っていくものと予想される。菅総理は総裁として自民党幹事長に「親中派」の二階氏を据えて中国を安心させたが、その後、防衛大臣に「親台派」である岸信夫、防衛副大臣には、自民党外交部会長として政府に中国の習近平国家主席の国賓訪日中止を求める決議文をまとめた中山泰秀衆院議員を当て、中国に大きなショックを与えた。中国・「環球時報」は岸氏が安倍総理の弟であり、「親台派」であることを大きく速報したことからもそれはうかがえる。
ただ、菅総理自身は日中関係をあまり波立たせることはしたくない考えとみられ、以前に安倍首相が靖国神社参拝した際に、これに強く反対していたことからもわかる。岸氏や中山氏の起用は米国や党内の反中派を考慮に入れた人選とみられる。
防衛大臣に「親台派」である岸氏が選ばれたことは、大統領選を念頭に中国バッシングを展開するトランプ大統領に勢いをつけることとなった。
岸氏が選ばれたのとちょうど同じタイミングで、トランプ大統領はクラック国務次官を台湾に派遣した。8月のアザー厚生長官に次ぐもので、「いかに米国が台湾を重視しているか」のメッセージを発信し中国をけん制するものとなった。
これに中国国防部の任国強報道官が強く反発し「米国には死の道だけしかない」と過激な発言を米国に向けて行った。同日、中国人民解放軍の東部戦区は海軍と空軍の合同演習を台湾海峡で行うことを発表し、台湾海峡周辺はきな臭い空気に包まれている。
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