「中国謝罪すべき論」は荒唐無稽(3月9日)
米国Foxニュースの司会者Watters氏が先日「新型コロナウィルスの発生源は中国である」として、中国に謝罪を要求したことに対しては、すでに中国外交部は「新型コロナウィルスがどこで発生したかについては定説がなく、他のウィルスが流行している国々と同様に中国も被害者だ」と反論していた。
9日付の『人民日報』の「強国論壇」には、「謝罪すべきというのは荒唐無稽だ」として、さらに一歩すすんで、「現在中国は全力をあげて、感染症にしっかり取り組み、時間と競争し、病魔と対決している。...
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米国Foxニュースの司会者Watters氏が先日「新型コロナウィルスの発生源は中国である」として、中国に謝罪を要求したことに対しては、すでに中国外交部は「新型コロナウィルスがどこで発生したかについては定説がなく、他のウィルスが流行している国々と同様に中国も被害者だ」と反論していた。
9日付の『人民日報』の「強国論壇」には、「謝罪すべきというのは荒唐無稽だ」として、さらに一歩すすんで、「現在中国は全力をあげて、感染症にしっかり取り組み、時間と競争し、病魔と対決している。感染症との闘いの努力と成果は誰の目にも明らかであり」、中国は国際社会の広範な称賛を得ているし、WHOも中国に対して積極的な評価をしている、として、謝罪どころか称賛されてしかるべきとの意見を述べている。投稿記事ではそのあとも国連のグレーテス事務総長をはじめとして、世界の170か国と40の国際機関のトップから積極的な評価を受けていると続けている。
「強国論壇」は読者によるネットの書き込み欄である。当局にとって好ましくない書き込みがあった場合は、30分以内に削除されるようであるが、この文章を書いている時点で6時間近くが経過していることからも、当局としては読ませたい記事であることがわかる。さらに人民日報のweb版の見出しは目立つ書体で書かれており、読者に「読ませたい」という思いが伝わる。
習近平政権としては初期対応のまずさが非難されていたが、最近では新しい感染者が湖北以外では減少していることから、正しい防疫体制をとっているとして自画自賛しており、「習近平は正しい」と世論を誘導しているように見える。投稿記事は「ヤラセ」あるいは誰かが「忖度」して書いているのかもしれない。
一方人民日報系列の『環球時報』の記者は、米国でコロナウィルスの感染患者がでたことに対し、ポンペオ国務長官が5日と6日に二日続けて「武漢ウィルス」「武漢コロナウィルス」と述べたことに対し、WHOが「ウィルスに特定の地名をつけるべきではない」とした決定に反しており、また今回の新型ウィルスがどこで発生したかは科学的に立証されていない、として、「国務長官ともあろう人が事実に基づかず、悪意に基づいて発言している」としてポンペオ国務長官を非難しているのであった。
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農民工の職場復帰率60%に(3月8日)
7日国務院の防疫対策工作会議で、人力資源と社会保障部は、農民工(農村からの出稼ぎ労働者)の春節の帰省等からの職場復帰が遅れていたが、現在職場復帰を促す政策がだされており、現在までに7800万人が職場に戻っており、これは春節に帰省した人の60%にあたる、と発表した。
職場に復帰させる政策の重点は長江デルタや珠江デルタであり、広東省と浙江省の農民工の復帰率は70%で、江蘇省では60%である。現在農民工の復帰作業は順調に進んでいる、と発表された。
7日には湖北省以外での新規増加患者数が3例で、日本よりも少なく、湖北省以外での農民工の職場復帰もようやく順調になり、生産も間もなく順調になることをアピールしている。ただしサプライチェーンの問題もあり、落ち込んだ経済がどこまで回復できるかは未知数である。
電話会談・日中外相“習主席訪日で成果・引き続き緊密に意思疎通を”(2月27日)
新型コロナウイルスの感染が拡大する中、茂木外務大臣は中国の王毅外相と電話で会談し、4月に予定される習近平国家主席の日本訪問を成果が上がるものにするため。引き続き、緊密に意思疎通していくことで一致した。
電話会談は中国側の申し出で昨夜9時半ごろからおよそ40分間行われた。
この中で感染拡大による影響が懸念されている4月の習近平国家主席の国賓としての日本訪問について意見を交わし、しっかりと成果の上がる訪問にする必要があるとして、引き続き、緊密に意思疎通していくことで一致した。...
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新型コロナウイルスの感染が拡大する中、茂木外務大臣は中国の王毅外相と電話で会談し、4月に予定される習近平国家主席の日本訪問を成果が上がるものにするため。引き続き、緊密に意思疎通していくことで一致した。
電話会談は中国側の申し出で昨夜9時半ごろからおよそ40分間行われた。
この中で感染拡大による影響が懸念されている4月の習近平国家主席の国賓としての日本訪問について意見を交わし、しっかりと成果の上がる訪問にする必要があるとして、引き続き、緊密に意思疎通していくことで一致した。
また、王毅外相が中国の最新の感染状況を説明し、経済的な影響は一時的で中国経済の基礎がしっかりしていると述べたという。
これに対し茂木外務大臣は「感染の拡大防止に向け、中国が国を挙げて取り組んでいることを理解している。早期の沈静化を期待している」と述べた。
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湖北省以外の新増患者数一桁に(2月26日)
中国国家衛生健康委員会が発表した数字によると、2月24日0~24時の間に、全国で新たに増加した新型肺炎の患者数は508例で、うち湖北省は499例であった。つまり湖北省以外では9例となり、初めて新増患者数が一桁になった。
23日の0~24時では全国で409例、うち湖北省が398例で、湖北省以外では11例であった。
隠蔽された患者がいないのであれば、湖北の封鎖から1か月がたち、新型肺炎の湖北省での封じ込めには成功したことになる。...
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中国国家衛生健康委員会が発表した数字によると、2月24日0~24時の間に、全国で新たに増加した新型肺炎の患者数は508例で、うち湖北省は499例であった。つまり湖北省以外では9例となり、初めて新増患者数が一桁になった。
23日の0~24時では全国で409例、うち湖北省が398例で、湖北省以外では11例であった。
隠蔽された患者がいないのであれば、湖北の封鎖から1か月がたち、新型肺炎の湖北省での封じ込めには成功したことになる。ただし23日と24日を比べると湖北省では100名以上新たな患者が増えているわけで、終息にはまだまだ程遠いことになる。
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全人代の開催延期を発表(2月25日)
3月5日の開幕と発表されていた中国の全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が新型コロナウィルスの感染拡大対策を理由に延期されることが正式に発表された。新たな開幕日については発表されていない。新型コロナウィルスの終息の見通しがたっていないからだと思われる。また全人代に先がけて開催される地方の人民代表大会が開催できない地方があるようだ。
24日に行われた全人代常務委員会で延期が正式に決定されたもの。...
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3月5日の開幕と発表されていた中国の全国人民代表大会(全人代、日本の国会に相当)が新型コロナウィルスの感染拡大対策を理由に延期されることが正式に発表された。新たな開幕日については発表されていない。新型コロナウィルスの終息の見通しがたっていないからだと思われる。また全人代に先がけて開催される地方の人民代表大会が開催できない地方があるようだ。
24日に行われた全人代常務委員会で延期が正式に決定されたもの。1998年以来全人代は3月5日の開幕が慣例になっていた。あわせて3月3日に開幕が予定されていた政治協商会議も延期されることになった。
全人代では、首相が前年の実績とその年の目標を提示する「政府活動報告」を発表し、成長率の目標が示されるなど、国家の運営方針が提示され、また新たな法律などが制定される。
中国では2020年に2010年比GDPを倍増させ、人々の生活水準をまずまずにする「小康社会」の達成をめざしていた。2019年の経済成長率が6.1%にとどまったことから、この目標の達成には2020年には7%台の成長率が必要であったが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴って生産活動が正常化していない状態が1か月以上続くなかで、7%台の成長は難しくなっている。全人代でどのような目標が掲げられるのかが注目される。
もっとも新型コロナウィルスがなくても、目標の達成は難しい状況であったことから、習近平主席にしてみれば、政策の失敗を「新型コロナウィルスのためだ」との言い訳できることになる。ただし経済成長政策の未達成よりも新型コロナウィルスの初期対応のまずさのほうが習近平批判を大きくしそうではある。
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