世界貿易戦争(6月9日)
(米国の保護主義政策をめぐり分裂するG7)
G7サミット・主要7か国首脳会議がカナダで始まった。トランプ大統領が推し進める保護貿易に反対する先進6か国と米国の対立がますます露わになっている。同盟国である米国からのまさかの仕打ちに各国の失望も大きい。米国の鉄鋼、アルミ関税の発動に対しEUとカナダはWTOに米国を訴えた。これに対しトランプ大統領は「EUの対米貿易黒字は1510億ドルもある。カナダは米国や他国の農民を排除している」と対決姿勢をあらわにしている。...
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(米国の保護主義政策をめぐり分裂するG7)
G7サミット・主要7か国首脳会議がカナダで始まった。トランプ大統領が推し進める保護貿易に反対する先進6か国と米国の対立がますます露わになっている。同盟国である米国からのまさかの仕打ちに各国の失望も大きい。米国の鉄鋼、アルミ関税の発動に対しEUとカナダはWTOに米国を訴えた。これに対しトランプ大統領は「EUの対米貿易黒字は1510億ドルもある。カナダは米国や他国の農民を排除している」と対決姿勢をあらわにしている。日本も米国から鉄鋼、アルミ関税をかけられているが、態度を保留しているのは北朝鮮問題などを考慮したためとみられる。
(今後、米国が脱退しG6になる可能性も)
2日に閉幕したG7・主要7か国の財務相中央銀行総裁会議でもこの問題で火花が散った。ドイツ・ショルツ財務相は「これほど意見が一致しなかったG7は過去に例がない」と述べ、麻生副総理兼財務大臣も「これだけ一致して米国に反論した例はあまりない」と言うほど米国の通商政策をめぐって議論が紛糾した。フランス・ルメール経済相は「厳しいG7だった。むしろG6+1というほどだった」とのコメントが象徴的だが、6か国が「WTO・世界貿易機関のルールに反する」と結束して米国を責め立て、吊るし上げた構図となった。今回のG7で安倍首相には孤立するトランプ大統領を説得する役割も期待されている。ただ、両者に横たわる溝は大きく、この修復は容易なことではない。安倍首相はG7で「貿易制限措置の応酬はどの国の利益にもならない」とする従来の立場を訴える方針だが、今後、トランプ大統領は輸入される自動車、関連部品にも高い関税を課す強硬な立場であり、世界貿易摩擦は更に泥沼に陥る可能性が出てきている。
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世界貿易戦争(6月2日)
(米国発世界貿易摩擦の様相を呈してきた)
米国に対し世界各国が猛烈反発している。トランプ政権が通商拡大法232条に基づき、日本や中国にも適用していた鉄鋼・アルミへの関税上乗せ措置をEUやカナダ、メキシコにも6月1日から発動させると発表した。EUは将来、数万人の雇用が失われる可能性があるとしてこの報復措置としてWTOに米国を提訴し、フランス・マクロン大統領はトランプ大統領との電話会談で「EUは断固とした姿勢で米国に対応する」と憤りを露わにさせた。...
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(米国発世界貿易摩擦の様相を呈してきた)
米国に対し世界各国が猛烈反発している。トランプ政権が通商拡大法232条に基づき、日本や中国にも適用していた鉄鋼・アルミへの関税上乗せ措置をEUやカナダ、メキシコにも6月1日から発動させると発表した。EUは将来、数万人の雇用が失われる可能性があるとしてこの報復措置としてWTOに米国を提訴し、フランス・マクロン大統領はトランプ大統領との電話会談で「EUは断固とした姿勢で米国に対応する」と憤りを露わにさせた。カナダで開かれているG7でも米国の通商政策が主要議題となる模様だ。これまでは主に米中貿易摩擦が問題視されてきたが、米国発世界貿易摩擦の様相を呈してきたと言っても過言ではない。トランプ政権は日本への影響が大きい輸入車への関税措置発動の検討にも入っており世界貿易摩擦は日本にとっても座視できない状況といえる。
(日本はトランプ大統領の保護主義政策に備えておく必要がある)
各国の示す強いリアクションと比べると日本の態度はおとなしく感じる。少なくとも現時点で日本は米国への対抗措置は自制している。その背景には日本が米国に輸出しているアルミや鉄鋼製品は日本でしか作れない高品質なもので、関税が上乗せされた場合でも、米国企業がすぐに調達先を変更するのは難しいとみていることがある。日本は拉致・ミサイル問題で米国に頼っており、米国を刺激したくないという思いもあり、そこを逆にトランプ政権に突かれているという部分もあるだろう。トランプ政権は日本にとっては死活問題となる自動車にも矛先を向け始め、さすがに日本政府も危機感を持ち始めた。日本は最悪のケースも想定してトランプ大統領の保護主義政策に備えておく必要がある。G7での日本の発言に注目していきたい。
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G7会議・鉄鋼製品など高い関税・米国への反発相次ぐ(6月2日)
カナダで開催されているG7財務相中央銀行総裁会議はトランプ政権がEU、カナダの鉄鋼製品などにも高い関税を課すことを決定したことが焦点となった。
麻生副総理兼財務大臣が米国への反発が相次いだことを明らかにした上でトランプ政権に冷静な対応を求めた。
麻生副総理兼財務大臣は「極めて遺憾なこと。米国で輸入自動車に関する調査が開始されているが一方的、保護主義的な措置による内向きな政策はどの国の利益にもならない。...
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カナダで開催されているG7財務相中央銀行総裁会議はトランプ政権がEU、カナダの鉄鋼製品などにも高い関税を課すことを決定したことが焦点となった。
麻生副総理兼財務大臣が米国への反発が相次いだことを明らかにした上でトランプ政権に冷静な対応を求めた。
麻生副総理兼財務大臣は「極めて遺憾なこと。米国で輸入自動車に関する調査が開始されているが一方的、保護主義的な措置による内向きな政策はどの国の利益にもならない。」と述べた。
米国の措置に対してはG7内で激しい反発が起き、EUはWTO(世界貿易機関)に訴えを起こす手続きを始めた上米国からの輸入品に報復関税を課すと発表し貿易摩擦の懸念が強まっている。
EUで貿易政策を担当するマルムストローム委員は厳しい姿勢で臨む考えを強調する一方「対話のドアは常に開かれておりボールは米国側にある。」と述べ再考を求めた。
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米国・鉄鋼関税・EUなどにも・貿易摩擦拡大に懸念(6月1日)
米国・トランプ政権は、鉄鋼やアルミニウムへの異例の輸入制限措置で一時的に対象から外していたEU・ヨーロッパ連合やカナダ、メキシコに対し、1日から新たに高い関税を課すことを決め、貿易摩擦の広がりが懸念される。トランプ大統領はEUに対する貿易赤字が年間16兆円を超えていることなどに強い不満を示してきた。
EU・ユンケル委員長は「速やかにWTO=世界貿易機関に訴える対応を取る。我々は米国と同じことをすることができる」と述べ、報復措置を取る考えを示した。...
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米国・トランプ政権は、鉄鋼やアルミニウムへの異例の輸入制限措置で一時的に対象から外していたEU・ヨーロッパ連合やカナダ、メキシコに対し、1日から新たに高い関税を課すことを決め、貿易摩擦の広がりが懸念される。トランプ大統領はEUに対する貿易赤字が年間16兆円を超えていることなどに強い不満を示してきた。
EU・ユンケル委員長は「速やかにWTO=世界貿易機関に訴える対応を取る。我々は米国と同じことをすることができる」と述べ、報復措置を取る考えを示した。
米国は、NAFTA・北米自由貿易協定の再交渉で合意の見通しが不透明なカナダ、メキシコの高関税を決定したが、再交渉中の決定は強い反発を招いている。
当初から対象にされてきた日本についてトランプ大統領は「貿易赤字の削減に向けた具体的な成果が得られれば除外を検討する」としている。
当面、鉄鋼製品などへの高い関税が続く見通し。
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米中貿易戦争回避へ・高い関税棚上げで一致(5月21日)
米国と中国の貿易摩擦をめぐり、米国・ムニューシン財務長官ら経済分野の閣僚と中国・劉鶴副首相は、ワシントンで協議を行った。
ムニューシン長官は20日FOXテレビで“貿易赤字の大幅な削減に取り組んでいる間は、高い関税を課すことを棚上げすることで一致”すると述べ、貿易戦争を回避する姿勢を強調した。
中国国営の新華社通信によると、劉鶴副首相は“今回の協議の最大の成果は、双方の関税上乗せ措置が停止されること”と述べた。...
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米国と中国の貿易摩擦をめぐり、米国・ムニューシン財務長官ら経済分野の閣僚と中国・劉鶴副首相は、ワシントンで協議を行った。
ムニューシン長官は20日FOXテレビで“貿易赤字の大幅な削減に取り組んでいる間は、高い関税を課すことを棚上げすることで一致”すると述べ、貿易戦争を回避する姿勢を強調した。
中国国営の新華社通信によると、劉鶴副首相は“今回の協議の最大の成果は、双方の関税上乗せ措置が停止されること”と述べた。
ただ、関税の棚上げについては、協議後の共同声明には盛り込まれず、貿易摩擦解消の行方は不透明である。
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