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膠着する米朝関係(12月15日)
(制裁が効いているのか・北朝鮮からの漂流船・昨年の2倍に)
海上保安庁によると今年北朝鮮からとみられる木造船が漂着したり、漂流しているのが見つかったのは12月11日の時点で201件に上り、去年のおよそ2倍となっているという。木造船は日本海沿岸を中心に見つかっている。北朝鮮から流されてくる船が増えたのは今年、台風などが相次いだことによるとみられているが、北朝鮮への経済制裁が効いてきている可能性もある。...
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(制裁が効いているのか・北朝鮮からの漂流船・昨年の2倍に)
海上保安庁によると今年北朝鮮からとみられる木造船が漂着したり、漂流しているのが見つかったのは12月11日の時点で201件に上り、去年のおよそ2倍となっているという。木造船は日本海沿岸を中心に見つかっている。北朝鮮から流されてくる船が増えたのは今年、台風などが相次いだことによるとみられているが、北朝鮮への経済制裁が効いてきている可能性もある。肝心の米朝関係はどうなっているのか。
(膠着する米朝関係)
トランプ大統領は来年1月か2月に2回目の米朝首脳会談を開く考えを示しているが、現在の米朝関係は膠着状態に陥っている。米国財務省は、金正恩朝鮮労働党委員長の側近・崔竜海副委員長、党宣伝扇動部長を務める朴光浩副委員長など3人の高官が国内での深刻な人権侵害や検閲に関わっているとして、米国国内の資産を凍結するなどの制裁を課すと発表した。ムニューシン財務長官は声明で「北朝鮮の人権侵害や検閲、国民に対する抑圧は体制による残忍なもので、3人はそれを指揮した」と非難している。また「今回の制裁は、北朝鮮に1年以上拘束されて去年死亡した米国人大学生に対する北朝鮮の残忍な行為も再認識させるものだ」としている。また日本と米国が共同で開発している新型の迎撃ミサイルについて、米国国防総省のミサイル防衛局は11日、声明で「新型のミサイル『SM3ブロック2A』の迎撃実験を実施し、成功した」と発表するなど米朝関係がふりだしに戻る空気さえ出てきている。
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在韓米軍の駐留費をめぐって米韓対立(12月14日)
来年以降の在韓米軍の駐留経費(日本の「思いやり予算」に相当)をめぐって、米韓の交渉が続いている。来年度以降、米国はこれまでの9.4億㌦から14億㌦と50%近い値上げを要求しているという。
1991年から2018年まで米韓は9次にわたり「在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定」を結んでいたが、その間駐留経費に対する韓国の負担分は逓増していった。2018年末に終わる今次の協定後については、2018年3月より断続的に交渉が行われてきたが、10回目の今回の交渉で決まらなければ、2019年初めには空白期間が出現することになるが、韓国世論の反発は大きい。...
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来年以降の在韓米軍の駐留経費(日本の「思いやり予算」に相当)をめぐって、米韓の交渉が続いている。来年度以降、米国はこれまでの9.4億㌦から14億㌦と50%近い値上げを要求しているという。
1991年から2018年まで米韓は9次にわたり「在韓米軍駐留経費負担に関する特別協定」を結んでいたが、その間駐留経費に対する韓国の負担分は逓増していった。2018年末に終わる今次の協定後については、2018年3月より断続的に交渉が行われてきたが、10回目の今回の交渉で決まらなければ、2019年初めには空白期間が出現することになるが、韓国世論の反発は大きい。
「米国ファースト」政策をとっているトランプ大統領は、NATOに対しても防衛費の負担の増額を求めており、韓国との合意形成は難しい状況のままである。さらに韓国との間には、文在寅大統領が韓国に指揮権を移譲するように求めており、そうなれば、駐韓米軍の戦略的地位も下がることになり、韓国が多額の防衛費を負担することもやむを得ない状況になる。
南北朝鮮の間では、DMZの哨所の撤去が行われる一方で、韓国が国防予算を増額したことに対し、北朝鮮が非難する事態も起こっている。朝鮮半島を含む北東アジアの防衛をめぐって、空白が生じる事態が起こりかねない。
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米の人権制裁、どうなる米朝首脳会談(12月12日)
10日米国財政部は人権を侵犯したとして、北朝鮮の労働党組織指導部長崔竜海、労働党宣伝部長の朴光浩および北朝鮮国家安全部長の鄭景沢の3人を制裁リストに加えると発表した。
財政部の声明では、とくに米国人大学生オットー・ワームビーア氏が受けた「野蛮な行為」を忘れるなと述べるとともに、北朝鮮を人身売買国家としても非難している。崔竜海は北朝鮮の事実上のナンバー2といわれている人物である。3名は米国で所有している資産を凍結されると同時に、米国でのいかなる金融取引も禁止されることになる。...
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10日米国財政部は人権を侵犯したとして、北朝鮮の労働党組織指導部長崔竜海、労働党宣伝部長の朴光浩および北朝鮮国家安全部長の鄭景沢の3人を制裁リストに加えると発表した。
財政部の声明では、とくに米国人大学生オットー・ワームビーア氏が受けた「野蛮な行為」を忘れるなと述べるとともに、北朝鮮を人身売買国家としても非難している。崔竜海は北朝鮮の事実上のナンバー2といわれている人物である。3名は米国で所有している資産を凍結されると同時に、米国でのいかなる金融取引も禁止されることになる。これらの措置に対する北朝鮮への直接的な影響はないものの、象徴的な意味合いが強い。
2016年7月に金正恩以下15名・8機構を米国財務省が制裁リストにいれてから、今回で4回目の制裁リストの発表で、計32名・13機構が制裁対象となっている。そのなかには金正恩の妹金与正も含まれている。
今回の制裁リストの発表を受けて、来年の1月か2月といわれていた第二次米朝首脳会談の開催が危ぶまれている。ただでさえ6月の米朝首脳会談以降、米朝関係は膠着状態に陥っており、8月に就任した米国のビーガン北朝鮮特別代表は、就任以来、北朝鮮高官の誰ともあっておらず、米朝関係はなんら進展していない。北朝鮮が非核化の行程表も出さずにいる状況で、何も具体的な成果を上げられそうにない第二次米朝首脳会談が遠ざかることによって、誰よりもほっとしているのは、案外トランプ大統領であるのかもしれない。
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2つの人権問題(12月11日)
12月10日は国連で「世界人権宣言」が採択されてから70周年にあたる。それと前後して北東アジアの二つの国で人権問題がクローズアップされることになった。
10日米財務省は、北朝鮮の人権問題に関与したとして崔竜海労働党副委員長をはじめとして3人を新たに制裁対象に加えた。これにより米国の制裁対象となったのは、北朝鮮の32個人、13機関となった。
一方いつもは北朝鮮とともに、国連などから人権問題の非難対象となる中国は、華為技術の孟晩舟最高財務責任者がカナダで逮捕されたのを受け、同氏の人権を盾にカナダを非難している。...
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12月10日は国連で「世界人権宣言」が採択されてから70周年にあたる。それと前後して北東アジアの二つの国で人権問題がクローズアップされることになった。
10日米財務省は、北朝鮮の人権問題に関与したとして崔竜海労働党副委員長をはじめとして3人を新たに制裁対象に加えた。これにより米国の制裁対象となったのは、北朝鮮の32個人、13機関となった。
一方いつもは北朝鮮とともに、国連などから人権問題の非難対象となる中国は、華為技術の孟晩舟最高財務責任者がカナダで逮捕されたのを受け、同氏の人権を盾にカナダを非難している。
中国は、トランジットのために立ち寄ったカナダでの逮捕そのものが不当であるとし、また法廷にたたされた孟晩舟氏が緑色の拘束衣を着せられ、手錠をかけれていたことを問題にし、また同氏が高血圧に悩んでいるにも関わらず薬も飲ませてもらえないとして、カナダが人権を軽んじているとして非難している。もちろん怒りの矛先は逮捕を命じたとされる米国であり、逮捕の日付がトランプ大統領と習近平主席が、米中戦争で一旦90日間の「休戦」に至った日であることからすると、中国は「だまされた」との思いも強くなるだろうし、米国側の異変に気づけなかった習近平主席への非難もあがりかねない。孟晩舟氏の身柄がカナダにあり、面とむかって米国に抗議できないことも、中国は苛立ちを募らせている。
11日に北朝鮮の「労働新聞」は、今回の措置が「朝米首脳会談の精神に反する極悪な行為である」との非難記事を掲載した。
一方中国は10日、「世界人権宣言」70周年記念座談会で、中央宣伝部の黄坤明部長が講演を行い、中国は解放前(1949年)の平均寿命が35歳であったものが、2017年には76.7歳になり、また改革開放後の40年で貧困人口が7.4億人も減少するなど、社会保障が整った国家となっており、中国の人権が守られていないなどという攻撃をするのはいったいどこの国か、とも述べており、自国への非難はあたらないとしているのである。
北朝鮮、中国ともに、一旦はうまく米国との二国間関係が進むかと思われていた両国にとって、人権という火種が必要以上に大きく燃え上がる可能性も高い。
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青瓦台焦る:金正恩訪韓に進展なし(12月10日)
金正恩委員長の年内の訪韓にむけて韓国側は準備を進めているものの、北朝鮮から8日までに何の回答もなかったことを、青瓦台のスポークスマンは9日に認めた。青瓦台は引き続き北朝鮮からの回答を待っており、南北首脳会談の準備は進めているとしている。
これに対し、韓国の「中央日報」は先週末に回答がなかったということは、年内の金正恩委員長の訪韓は無理だろうという見方を紹介している。青瓦台は10日あれば準備ができると言っているが、韓国の世論も年内の訪韓は無理だろうとみている。...
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金正恩委員長の年内の訪韓にむけて韓国側は準備を進めているものの、北朝鮮から8日までに何の回答もなかったことを、青瓦台のスポークスマンは9日に認めた。青瓦台は引き続き北朝鮮からの回答を待っており、南北首脳会談の準備は進めているとしている。
これに対し、韓国の「中央日報」は先週末に回答がなかったということは、年内の金正恩委員長の訪韓は無理だろうという見方を紹介している。青瓦台は10日あれば準備ができると言っているが、韓国の世論も年内の訪韓は無理だろうとみている。韓国の他のメディアも、12月には、金正恩委員長は来年の「新年の辞」の準備もしなくてはならず、17日は金正日の命日であり、24日は祖母である金正淑の誕生日であるなど、国内の重要日程がつまっていることからすると、年内の訪韓は難しい、とみている。さらに金正恩委員長の訪韓は、米朝の第二次首脳会談の日程にもからんでくることから、北朝鮮が回答を故意に遅らせている可能性も高い、との見方も示している。
もちろん、金正恩委員長の韓国訪問期間中に、韓国内で不測の事態が起きる可能性が皆無でない以上、南北朝鮮がともに金正恩訪韓の日程の発表を故意に遅らせる可能性もある。金正恩委員長の3月の訪中までの中朝間のように、要人が帰国してからお互いに正式に発表するという可能性も皆無ではない。しかし韓国の外交スタイルを考えれば、それよりも、金正恩委員長の年内の訪韓が無理になった可能性が高く、青瓦台が焦りを募らせているのではないか。
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