中国国営メディア;米ロによる“対中同盟形成”との米メディア報道に、恐るるに足らずと一蹴【米・中国メディア】(2018/07/18)
7月18日付Globali「トランプ大統領とプーチン大統領;近い将来“対中国同盟”を形成か?」で触れたとおり、米メディアの中には、表向きは中国と連携する態度を見せるも、本音では中国に対して忸怩たる思いを抱いているプーチン大統領としては、この米ロ首脳会談を契機に、軍事・経済両面で中国に対抗すべく、米ロ同盟を形成するのではないかとみるところもある。そして早速、中国政府は表向きには、米ロ首脳会談を歓迎するコメントを発表しているが、国営メディアを通じて、米ロによる“対中国同盟形成”など有り得ないし、仮にあっても恐るるに足らず、と間接的に米メディア報道を否定している。
7月17日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「中国国営メディア:米ロによる対中国“対抗同盟組成”など恐るるに足らずと一蹴」
中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は7月17日、定例記者会見の場で、前日開催された米ロ首脳会談を歓迎すると表明した。
同報道官は、両大国の連携が世界経済等に良い影響をもたらすことを期待しているとした。
更に同報道官は、米ロ間関係が改善されようと、国際社会における中ロの関係は今後も盤石だと付言した。...
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7月17日付米
『ブライトバート』オンラインニュース:「中国国営メディア:米ロによる対中国“対抗同盟組成”など恐るるに足らずと一蹴」
中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は7月17日、定例記者会見の場で、前日開催された米ロ首脳会談を歓迎すると表明した。
同報道官は、両大国の連携が世界経済等に良い影響をもたらすことを期待しているとした。
更に同報道官は、米ロ間関係が改善されようと、国際社会における中ロの関係は今後も盤石だと付言した。
これまで中ロ両国は、様々な面で利害が一致した行動を取ってきている。
特に国連安全保障理事会の常任理事国同士として、南シナ海やウクライナにおける領有権問題で相互に支持し合い、北朝鮮問題では両国市民がそれぞれ国連制裁破りに関わっており(それへの関与をお互い否定し合い)、また、国境付近での人権蹂躙問題についても庇い合っている。
しかし、急激な経済発展を続ける中国に対して、ロシアとしては心中穏やかでなかろう。何故なら、中国指導部が推進する「一帯一路経済圏構想(OBOR)」の下、かつて旧ソ連同胞であったカザフスタン・キルギス・ウズベキスタンに中国資本がどんどん流れ込み、中国同盟国に変貌していくのを止めることができず、結果としてロシアが孤立していく恐れがあるからである。
そうした中、米ロ会談後にトランプ大統領が、貿易から軍事関係、それはミサイルであっても核兵器であっても、対中国を念頭に今後の戦略を米ロ両国で協議した、とコメントしたことに対して、中国国営メディアが反応した。
すなわち、『環球時報』は7月17日、専門家のコメントを引用して、米ロ首脳会談を契機に、米ロ両国による対中国同盟が組織されるのではないかとの米メディア報道を全否定した。
同紙によると、中国外交部直轄の中国外交学院・李海東(リー・ハイトン)教授は、米ロ首脳が中国について討議するのは、中国がそれだけ両国にとって重要な国となっているからであり、それだけで両国が対中戦略を協同することになるとは言えない。そもそも、ロシアにとって中国は、米国の比ではない程、厚くかつ友好的なパートナーと見做されているからだと言及した。
また、別の専門家は、トランプ大統領がロシア緊密戦略を打ち出そうとも、米国議会等が決してそれを許すことはないと断言した。
同日付中国『環球時報』:「中国外交部、プーチン・トランプ首脳会談が中ロ関係に影響することはないと断言」
中国外交部の華報道官は、7月16日の米ロ首脳会談の結果によって、中ロ関係はもとより、米中関係にも影響を及ぼすことはないと断言した。
同報道官は、米ロ首脳会談を評価するとした上で、中ロ関係が包括的な戦略的パートナーシップで成り立っていると自負しているし、また、米中関係も今後発展していくものと信じていると強調した。
一方、『USAトゥデイ』紙は7月16日、トランプ大統領が、貿易から軍事関係まで、対中国を見据えてプーチン大統領と協議したと言及したと報じた。
また、『ジ・アメリカン・コンサーバティブ』誌は、米ロ両国が近い将来、対中国同盟を形成する可能性があると言及した。
しかし、これら米メディアの報道について、多くの専門家は言下に全否定している。
すなわち、中国外交学院の李教授は、米ロ首脳が中国について協議したからと言って、それが即、対中国戦略連携に繋がるとは考えられないとし、第一ロシアは、中国との関係に非常に満足しているからである、と主張した。
また、北京師範大学の李興(リー・シン)ユーラシア研究センター長は、中ロ間の戦略的パートナーシップは盤石であるとし、米ロ間には構造的な食い違いがあり、相容れないだろうと強調した。
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トランプ大統領とプーチン大統領;近い将来“対中国同盟”を形成か?【米メディア】(2018/07/18)
7月12日付Globali「トランプ大統領のプーチン大統領会談に米国内外で物議を醸すも、プーチン氏にとって米ロ首脳会談は追い風?」で触れたとおり、7月16日に開催された米ロ首脳会談について、欧米諸国からの経済制裁でかなりダメージを受けているプーチン大統領にとって、(中身はなくとも)トランプ大統領と会談するという事実だけで追い風となると踏んでいる模様である。そしてその思惑どおり、欧州の米同盟国や米国内の与党・共和党の一部からも酷評されたトランプ大統領に対して、敵対する北大西洋条約機構(NATO)から米国を引き離し、かつ、米大統領選ロシア不当介入疑惑を米大統領に否定させることに成功したプーチン大統領は、サッカー・ワールドカップ風に言えば、1:0の勝利で首脳会談を終えられたと言えよう。これを踏まえて、米メディアの中には、表向きは中国と連携する態度を見せるも、本音では中国に対して忸怩たる思いを抱いているプーチン大統領としては、この首脳会談を契機に、軍事・経済両面で中国に対抗すべく、米ロ同盟を形成するのではないかとみるところもある。
7月16日付
『ジ・アメリカン・コンサーバティブ(注後記)』:「近い将来、米ロによる対中同盟形成か」
今回の米ロ首脳会談自体には、大した成果がなかったと言われている。しかし、これを契機に、トランプ・プーチン両大統領が、将来の共通の敵である“中国”に対峙するため、連携していく可能性が考えられる。
すなわち、かつていがみ合った米ロ両国とは言え、軍事的にも経済的にもすさまじい勢いで力を付けてきている中国に対して、本音として恐れを抱いているとみられる。...
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7月16日付
『ジ・アメリカン・コンサーバティブ(注後記)』:「近い将来、米ロによる対中同盟形成か」
今回の米ロ首脳会談自体には、大した成果がなかったと言われている。しかし、これを契機に、トランプ・プーチン両大統領が、将来の共通の敵である“中国”に対峙するため、連携していく可能性が考えられる。
すなわち、かつていがみ合った米ロ両国とは言え、軍事的にも経済的にもすさまじい勢いで力を付けてきている中国に対して、本音として恐れを抱いているとみられる。
まず、米国としては、中国に対する膨大な貿易不均衡問題もさることながら、特に、知的財産や国防機密等が中国のサイバー攻撃によって盗み出されていることに辟易している。
また、これまでは米国が国際社会システムで中心をなしてきたのに、今や中国に取って代わられようとしている危惧がある。
特に、インド太平洋地域で変わらず影響力を維持したいと考える米国にとって、中国の躍進は脅威以外の何ものでもない。
一方、建前上親中路線をとっているロシアにとっても、成長著しい中国は目の上のたんこぶと言えなくもない。
例えば、欧米からの経済制裁に喘ぐロシアにとって、今のところはエネルギー買い付けや投資呼び込み等で中国を頼りにしているとは言え、中国指導部が牽引する「一帯一路経済圏構想(OBOR)」は、両刃の刃と言える。
すなわち、ロシアとしては、自国も含めた広域経済発展が遂げられることは良しとしても、結果として、かつての旧ソ連同胞が、近くて遠い中国傘下の国々に変貌していくことに複雑な思いをするのは必至であろう。
更に、かつて多くのロシア製武器や防衛システムを提供してきているが、(日本やドイツの高速度鉄道でやらかしているとおり)中国がやがて自前の技術開発だと主張して、ロシアの販売先であるアジアやアフリカ・南米諸国にそれらの武器・防衛システムを売り込み始め、結果としてロシア市場を荒らすことになりかねないと危惧している。
また、領土問題についても同様である。
すなわち、中国が東・南シナ海で領有権を主張しているが、今のところロシアとして、クリミア併合で中国から支持を得ていることもあって、表立って反対は表明していない。しかし、中国の長年の構想は、かつて欧米列強に騙し取られた中国固有の領土を取り返すというものであるため、沖縄諸島はかつての中国の領土だと主張するのと同様、極東ロシアのウラジオストックも中国の領土だとして返還を迫ってくることも十分考えられる。
従って、米ロ間で捉え方は多少違ったとしても、軍事的にも経済的にも、もし中国が米ロ両国を遥かに凌駕する程まで強大化すると、米ロそれぞれにとって不利益となる様々な事態が起こりかねないと懸念するのは十分想像がつく。
以上より、将来の共通の敵として、米ロ両国が“対中同盟”を形成することは十分有り得ることだと考えられる。
(注)『ジ・アメリカン・コンサーバティブ』:無党派の非営利法人である米国思想研究所が2002年より隔月で発行している政治専門誌。
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