ツイッター社、ロシア検閲回避サイト開設(2022/03/10)
ロシア国内では、ウクライナ侵攻の現状を伝える報道や当局批判が厳しく取り締まられ、Facebookやツイッター、各国メディアへのアクセスが制限されている。そこで、ロシア国民へのアクセス向上のため、ツイッターは、インターネット上の匿名化ネットワークを経由してアクセスできるWebサイトを開設した。
3月10日付英
『Guardian』:「ツイッター、ロシア検閲を回避しプライバシーを保護するダークウェブサイト開設」:
ロシア国内でアクセス制限されているツイッターは、検閲を回避できるプライバシー保護版のサイトを開設した。
これはOnionサービスと呼ばれ、ユーザーはTor(The Onion Router)ブラウザをダウンロードすることで、ツイッターにアクセスし、ダークウェブ(闇サイトに利用される)とよばれる当サイトにアクセスできる。...
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3月10日付英
『Guardian』:「ツイッター、ロシア検閲を回避しプライバシーを保護するダークウェブサイト開設」:
ロシア国内でアクセス制限されているツイッターは、検閲を回避できるプライバシー保護版のサイトを開設した。
これはOnionサービスと呼ばれ、ユーザーはTor(The Onion Router)ブラウザをダウンロードすることで、ツイッターにアクセスし、ダークウェブ(闇サイトに利用される)とよばれる当サイトにアクセスできる。ドットコムのドメイン末尾( .com)サイトと違い、オニオンサイトの末尾は(.onion)となっている。
ダークウェブには、違法サイトという意味合いがあるが、安全性への配慮や、圧政下で検閲されたサイトへのアクセス目的で、匿名性を保つためにしばしば使われることもある。FacebookやBBCも、Torでアクセス可能なバージョンを持っている。この新サービスについては8日、ソフト開発やセキュリティ担当者で、他社でOnionサイトを開発したことのあるAlec Muffett氏が自身のTwitterで明かしている。
ロシアは、ウクライナ侵攻の情報の拡散を恐れ、独立系ニュースサイトやソーシャルメディアへの弾圧や検閲を強化。先週、ロシア当局は国営メディア制限への報復として、Facebookへのアクセスを禁止し、ツイッターやBBC、米政府系ラジオ局(VOA)、ラジオ・フリー・ヨーロッパ(短波国際放送 )、 ドイツのDeutsche Welle放送、ラトビアのウェブサイト(Meduza)へのアクセスも禁止している。
3月9日付米『フォーブス』:「ツイッターがTorブラウザ開設、ロシア国民のアクセス改善へ」:
ロシア国内でツイッター社はアクセス制限を回避するため、Tor サービスを開始した。無料のTorブラウザをダウンロードすることでユーザーはツイッターを利用できる。既に利用可能だが、この新サービスは、プライバシー保護を強化し、ツイッター独自に開設されているという。
Enterprise Onion Toolkit(EOTK)のカスタマイズ版で、2014年にFacebookのオニオンサービス開設チームを主導したサイバーセキュリティ担当者が発表。ツイッター社としても、公式サポートブラウザーリストにTorを加えているのだが、正式な公表はしていない。過去のFacebookやBBCのサイト開設での教訓から、大々的な宣伝はアクセス集中に繋がるため、世界的危機の時代には賢明ではないと判断されたのだろう。
Torオニオンルーターが、インターネットトラフィックを追跡し、世界中の数千サーバーへ繋ぎ、殆どが無償。匿名性に加え、高度のプライバシーや検閲からの保護が期待できる。悪意を持った人々も存在するが、無防備にウェブを使用するよりは、セキュリティ上のリスクから保護できる点で、特定のオニオンサイト開設は利点がある。ロシア以外でも利用可能で、ツイッターをグロックしている中国やイラン、北朝鮮でもアクセス可能となっている。
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海洋プラごみ国際条約制定へ(2022/03/03)
国連環境計画(UNEP)は、海洋プラスチックごみ汚染の解決に向けた国際条約制定への議論を進めることで一致した。日本政府もプラごみ削減量など世界共通目標の設定も提案していたが、今回の原案は具体案までには至らず、2024年までにプラ製品の設計から廃棄までの全過程を対象に最終案をまとめる方針だという。
3月2日付
『ロイター通信』:「国連で"パリ協定以来最大の"プラスチック条約制定合意」:
今月2日、国連は初めて世界的なプラスチック汚染に関する条約を制定する決議案を採択した。2015年のパリ気候変動協定以来最も重要な環境協定となる。
参加国はケニア・ナイロビで一週間以上に渡り、海洋から山地に至る環境危機となっているプラ汚染対策の概要について議論を重ねてきた。...
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3月2日付
『ロイター通信』:「国連で"パリ協定以来最大の"プラスチック条約制定合意」:
今月2日、国連は初めて世界的なプラスチック汚染に関する条約を制定する決議案を採択した。2015年のパリ気候変動協定以来最も重要な環境協定となる。
参加国はケニア・ナイロビで一週間以上に渡り、海洋から山地に至る環境危機となっているプラ汚染対策の概要について議論を重ねてきた。大枠の合意には至ったが、今後各国は2024年までに最終案をまとめる。国連環境計画(UNEP)のインガー・アンダーセン事務局長は「歴史的瞬間だ。協定の成功は今後の交渉による最終案次第だ」としている。
この条約は、再利用不可能なパッケージ型の製品だけでなく、プラスチックの製造、使用、設計への制限をも規定するもので、石油や化学企業にも影響が及ぶ。先月末には条約は、製造やパッケージ設計や法的拘束力を盛り込み、プラの全過程に対応するものだと報じられていたのだが、今回の原案は具体案までは踏み込まれていない。そのため国連政府間交渉委員会は、各国政府や企業利益に見合うよう、条約案をまとめる方針だとする。
スイスのペレス環境大使は、議論では、意欲的に解決を望む国と、いかなる理由でも解決を望まない国との隔たりがあると明かし、「意欲的な段階にない人々の懸念にも寄り添い、共に乗り越えていかねばならない」としている。
同日付米『フォーブス』:「プラスチック汚染協定は"地球の勝利"」:
170カ国以上が歴史的な国連決議を支持。プラ汚染を無くす国際間合意が2024年までに実現する見通しとなった。
国連環境計画(UNEP)のアンダーセン事務局長は、合意は、「使い捨てプラスチック問題に関する地球の勝利。パリ協定以来、最も重要な環境国際間協定であり、プラスチックと共存するための次世代への保障政策だ」としている。
対策原案が最終案に貢献した山口環境大臣は、「合意は必ず海洋環境を含む未来のプラ汚染撲滅に繋がるだろう。プラ汚染ゼロの未来を目指し、我々は交渉を進めていく」としている。
OECDの昨月の発表では、プラごみのリサイクル率はわずか9%とされ、報告書「グローバル・プラスチック・アウトルック」によると、米国では一人当たりのプラごみ量は平均221キロで、欧州の平均114キロを上回る。また、プラスチック汚染の殆どは、不適切な収集や、マイクロプラスチックである大量のプラ破片が原因だという。
コロナ危機については、経済活動の制限により2020年は2.2%のプラ使用減となった一方で、ポイ捨てやテイクアウトの容器、マスク等プラ製医療器具の利用増でゴミの量は増加した。更に2021年は経済活動が再開したことで、プラ消費がリバウンドに転じた。
世界野生生物基金(WWF)の先月の発表では、人体への影響があるとし、化学的なプラスチックリサイクル方法の問題点を強調していた。WWFのセクラン最高保全責任者は、UNEPの条約は、「人と地球の健康的な未来に向けたプラ問題解決と有効な循環型経済を目指す対策」と歓迎している。
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