日本と同じくデルタ株が主流となっているヨーロッパ各国で、夏休みを終えた子供たちが学校に戻り始めている。各国は子供達への検査の定期的な実施、ワクチン接種の促進、学校の開始時期の延期など、学校での感染拡大防止のために、様々な対策を取っている。
仏
『レゼコー』は、欧州各国ではできる限り授業を継続することを目的としたさまざまな戦略が立てられていると伝えている。
フランスでは、ブランケール教育相が、フランスの学校における感染防止対策は、「ヨーロッパの中で最も厳しい」ものであると断言した。小学校からは室内マスクの義務化、交わりの制限、換気の強化などが挙げられる。
ヨーロッパで最も高い予防接種率を誇るベルギーでは、ほぼ通常通りの新学期を迎える。...
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『レゼコー』は、欧州各国ではできる限り授業を継続することを目的としたさまざまな戦略が立てられていると伝えている。
フランスでは、ブランケール教育相が、フランスの学校における感染防止対策は、「ヨーロッパの中で最も厳しい」ものであると断言した。小学校からは室内マスクの義務化、交わりの制限、換気の強化などが挙げられる。
ヨーロッパで最も高い予防接種率を誇るベルギーでは、ほぼ通常通りの新学期を迎える。8月中旬、疫病が収束したと判断されたため、新学期から対面式授業に戻る。教師は校内を移動する際にはマスク着用が義務付けられるが、授業の際にはマスクを外すことができる。高等教育機関では学生もマスク着用が求められるがワロン地方とフランダース地方では、小・中・高等学校の児童、生徒は着用義務がなくなる。しかし、ブリュッセル周辺では、他の地域に比べてワクチン接種が遅れていることから、生徒はマスク着用が必要となる。ベルギー政府は、コロナ陽性の生徒が出た場合の学級閉鎖のルールを緩和することを検討し始めている。
ドイツでは、ノルトライン・ヴェストファーレン州やベルリンで8月中旬にすでに新学期が始まっている。ベルリンでは、すべての生徒が授業中にマスクを着用し、週に2~3回、抗原検査を受けなければならない。陽性となった生徒は自己隔離となるが、その生徒の隣の席に座っていた生徒をどう取り扱うかについては都市によって対応が異なる。またベルリンに限り、新型コロナウィルスの発生率は10~14歳が最も高く、次いで15~19歳となっている。そのため地域政府は、10代へのワクチン接種を早めようとしている。小学生はワクチン接種対象外となっているため、小学校の各クラスに移動式エアフィルターが設置され始めている。
イギリスでは、イギリスでは、16歳以下の青少年へのワクチン接種はまだ認められていないものの、昨年に比べて学校での感染対策が緩和された。陽性者が出た場合、感染した学生だけが自己隔離に入り、クラス全体が10日の間オンライン授業に切り替える必要はなくなった。ただし、中学と高校の生徒は、学校に戻る前に検査を受けなければならず、その後、週に2回抗原検査を自宅で受ける。一方、マスクの着用は、特別な場合を除いて推奨されない。
スペインでは、12~17歳のワクチン接種率が急速に上昇している。この年齢層では63.4%が1回目の接種を済ましており、18.3%が2回目も受けている。しかし、新学期に向けては昨年の対策のほとんどが維持されている。唯一の変更点は、ひとクラスの生徒数が20人から25人に増えることと、生徒間の距離が1.50メートルから1.20メートルに短縮されることである。
イタリアでは、9月中旬に約1年半ぶりの対面式の授業を再開しようとしている。感染対策としては、生徒間の社会的距離を1メートルとし、6歳からマスクの義務づけ、感染疑いのある生徒ように隔離室を用意する。
ポルトガルの子どもたちは3月からオンラインで授業を受けていたが、9月中旬に学校に戻る準備をしている。しかし、感染者数が増加しており、非常事態宣言が出されたため、9月の最初の数日間で新たな感染対策が必要になると当局は発表している。
ギリシャとモンテネグロでは、感染者数が再び増加傾向にあるため、モンテネグロ政府は、新学期の開始を1ヶ月延期し、10月1日とした。同様に、今夏、ウイルスの蔓延により一部の観光地に再度ロックダウン措置を取ったギリシャは、新学期の開始を2週間延期し、9月14日とすることを決定した。
ヨーロッパ以外でも、子供たちは新学期を迎えている。カナダの『CTVニュース』によると、イスラエルでは9月1日に学校が再開した。マスクの着用が義務付けられ、小学生などワクチン未接種の子どもは抗原検査の実施が必須となっている。感染率が特に高い地域では、ワクチン接種を受けた生徒が70%以下の場合、オンライン授業の実施が義務付けられている。
インドの首都デリーでも9月1日から授業が再開した。フィリピン『マニラタイムズ』によると、インドでは感染者数が再び増加傾向にあるものの、約1年半ぶりに生徒たちが学校に戻ってきた。少なくとも6つの州の学校と大学は、9月中は感染対策を実施しながら、徐々に再開していく。ニューデリーでは、すべての職員にワクチン接種が義務付けられ、クラスの人数は50%に制限され、座席をずらしたり、机を消毒したりすることになっている。
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フィリピンのドゥテルテ大統領は就任以来最初の公式訪問国として10月18日から21日まで中国を訪問する。ドゥテルテ大統領は就任以来同国の麻薬犯罪撲滅に取り組んでいるが、そのやり方が非人道的であるとして米国オバマ大統領の批判を浴びたこともあり、アキノ前大統領時代に縮まった対米関係に距離を置こうとしている。逆に前大統領時代に南シナ海の領有権で国際仲裁裁判所に提訴までして争った中国との関係は急速に距離を狭めつつある。その中での中国訪問であり同大統領が習近平主席との会談でどのような対応をするかについて世界が注視している。
10月17日付
『ニューヨークタイムズ』は、「中国でロドリゴ・ドゥテルテ大統領とフィリピンは米国離れに踏み出す可能性あり」という見出しで、米国のアジアでの緊密な同盟国であるフィリピンのドゥテルテ大統領は、米国の軍事的影響力を減らし中国との緊密な関係を築きたいと語ったと報じた。但し大統領は中国が最も望むところである、米軍の同国の五つの基地使用権を認めた協定の破棄までは触れていない。大統領が対米、対中関係をどこまで変えるかは、今回の中国訪問での会談結果による。若し中国が米比関係を薄めることに成功すれば、中国がアジアで進めてきた米国との同盟関係の弱体化の勝利であり、他の諸国にも大きく影響するであろうと専門家は見る。アジア諸国は中国の軍事的脅威を感じる一方で、経済的な関係強化が重要であると見ている。
ドゥテルテ大統領は、中国がマニラ・ミンダナオ間の鉄道建設へ協力することを望んでおり、また大統領に同行した財界人は中国が南シナ海の紛争以来課しているフィリピン産果物の輸入禁止を解除することを期待している。大統領は中国との関係改善のためフィリピン人で米ABCテレビの北京支局長を勤めたロマナ氏を駐北京大使に任命した。同氏は米国との同盟関係は続くと思うが、それは反中国ということではなくこれからは中国と様々な形の対話を進めて行くと述べたと報じている。
10月18日付
『チャイナデイリー』は、「ドゥテルテ大統領訪問は遅れていた中比関係改善を示す」という見出しで、長年の疎遠な関係の後、対比関係は不信から信頼へと変わり、ドゥテルテ大統領は火曜日雪解けのため中国を訪問すると報じた。アキノ前大統領が南シナ海の紛争を仲裁機関に提訴するという茶番劇で中比関係は最悪の状態になったが、ドゥテルテ大統領は関係改善を重視しており、中国を就任以来最初の訪問国とした。同大統領は領有権問題を二国間の話し合いで解決したいと言っており中国の主張と符合する。今回の訪問は大統領の真意を確認するリトマス試験紙であり、関係改善すれば政治、外交はもとより経済関係改善にも及ぶことになるだろうと報じている。
10月19日付フィリピンの
『マニラタイムズ』は、「フィリピン人は中国よりも米国を信頼-世論調査」という見出しで、フィリピン人はドゥテルテ大統領を信頼しているが、大統領の反米親中路線までも支持していないことが世論調査で明らかとなったと報じた。世論調査機関ソーシャル・ウェザー・ステーションズが同国の1,200人に対して行った世論調査の結果、中国を信頼している人の比率は22%で、信頼していない人の比率55%を下回った。一方米国を信頼している人の比率は76%であり、信頼していない人の比率11%を大きく上回っていると報じている。
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