デンマーク、欧州の防衛政策への参加を希望(2022/03/14)
バルト海の入り口に位置する人口600万人近い小国デンマーク。ロシアの攻勢が始まって以来、戦争とプーチン大統領の行動が自国の安全保障に及ぼす影響を懸念している。デンマーク政府は、6月1日に欧州連合(EU)の防衛政策への参加を問う国民投票を行うことを発表した。
仏誌
『レゼコー』は、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻でデンマークが大きく舵を切ろうとしていると報じている。これまでEUの防衛政策には参加しない方針を取ってきたデンマークだが、ロシアのウクライナ侵攻後11日間のうちに、左派右派をあわせた5つの政党が3項目の防衛計画をまとめ上げた。
3月6日に発表された計画では、第一に2033年までに防衛予算をGDPの2%に引き上げることが合意された。...
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仏誌
『レゼコー』は、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻でデンマークが大きく舵を切ろうとしていると報じている。これまでEUの防衛政策には参加しない方針を取ってきたデンマークだが、ロシアのウクライナ侵攻後11日間のうちに、左派右派をあわせた5つの政党が3項目の防衛計画をまとめ上げた。
3月6日に発表された計画では、第一に2033年までに防衛予算をGDPの2%に引き上げることが合意された。これは、同国が米国とNATOの要請により、2024年までに達成することを約束していた閾値である。現在、防衛費はGDPの約1.4%を占めている。2%に達すると、年間180億クローネ(約3100億円)を追加で支出することになる。この財源は、他の予算項目の削減ではなく、公的債務によって賄われることになっている。
第二に、6月1日、デンマーク人は、欧州連合内で自国が享受している例外措置の一つである共通防衛政策に関する条項を葬るよう求められる。この例外規定は、1992年にデンマークがマーストリヒト条約に「ノー」を突きつけたことに端を発しており、この条約は国家主権を侵害すると考えられていた。当時、他の加盟国は、単一通貨、警察・司法協力、そして欧州防衛政策への参加からデンマークを除外することを認めた。しかし今年の3月4日に発表された世論調査では、EU防衛政策への協力に、有権者の49%が賛成し、27%が反対している。
第三に、デンマークはロシアのガスからできるだけ早い独立を目指すことが合意された。
フランスの欧州ニュースサイト『ユーロニュース』によると、現在デンマークは、例えばロシアに対する経済制裁には参加している一方で、軍事展開には参加していない。しかしフレデリクセン首相は「プーチンのウクライナへの不必要で残忍な攻撃は、ヨーロッパに新しい時代、新しい現実を告げた。ウクライナの闘いは、ウクライナだけの闘いではなく、我々の信じる価値観、民主主義、人権、平和、自由など全ての力を試すものである。」と語った。
米シンクタンク「ジャーマン・マーシャル・ファンド」の研究員であるブルーノ・レテ氏は、EUの玄関口にあるウクライナでの戦争は、27カ国にとって「目覚まし」の役割を果たしたと述べている。ドイツからデンマークまで、各国の首都が防衛戦略を見直し、地政学的環境をより意識するダイナミックが作られたという。
今回、EUは初めて、攻撃を受けている国のために殺傷力のある武器の購入に資金を提供する。欧州条約は、EUが共通予算を通じて軍事企業に資金を提供することを禁じている。そこで、加盟国は、「欧州平和ファシリティ」と呼ばれる国際基金を通してウクライナに5億ユーロ(約643億円)を提供することで合意した。
ドイツも、これまでは紛争地へ殺傷力のある武器を送ることを拒んできた。しかし今回、ウクライナ政府に対戦車兵器1000台と対空ミサイル500発を提供することを決定している。
フィンランドとスウェーデンという伝統的な非同盟国も、ロシアの侵攻に対抗するウクライナ軍を支援するために武器を提供している。EU非加盟国のスイスでさえ、中立性を一部放棄してロシアに金融制裁を課している。
フォン・デア・ライエン欧州委員長は先週、欧州議会で「欧州の安全保障と防衛は、この20年間よりもこの6日間の方がより進化している」と述べた。
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ヨーロッパやカナダで、コロナ規制の継続に反対する市民のデモ活動続く(2022/02/07)
先週末、長引くコロナ規制やワクチン接種義務化に反対する抗議運動がヨーロッパ、カナダ、オーストラリアなどで行われた。
仏放送局
『ユーロニュース』によると、スペインでは6日、首都マドリッドで、新型コロナウイルス対策として取られている制限措置に反対する数百人規模のデモが行われた。ワクチン接種に反対する人や個人の自由を取り戻したいと主張する人たちなどが抗議運動に参加していた。スペインでは、日常的な感染者数の減少が報告されていることから、17日に屋外でのマスク着用義務が解除される予定となっている。
オランダではロッテルダムで6日、コロナ規制に反対する平和的な行進が行われた。...
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仏放送局
『ユーロニュース』によると、スペインでは6日、首都マドリッドで、新型コロナウイルス対策として取られている制限措置に反対する数百人規模のデモが行われた。ワクチン接種に反対する人や個人の自由を取り戻したいと主張する人たちなどが抗議運動に参加していた。スペインでは、日常的な感染者数の減少が報告されていることから、17日に屋外でのマスク着用義務が解除される予定となっている。
オランダではロッテルダムで6日、コロナ規制に反対する平和的な行進が行われた。既存のコロナ対策に反対する数十の団体が主導する「共にオランダのために」のスローガンのもと、数千人が集まったデモが行われ、始終平和的に行われたという。
フィンランドのニュースサイト『yle』によると、フィンランドでは、2月4日から6日にかけて抗議デモが行われた。雪が降り零度近い気温の中、デモ参加者は、ガソリンの値下げ、コロナ規制とワクチンの義務化の中止、そして政府の退陣を要求した。しかし、4日の夜には約55人が拘束され、5日の夜にはさらに15人が逮捕された。
大西洋の反対側のカナダでは、トラック運転手が始めた運動が続いている。1週間前から首都オタワの市街地を占拠し、特に米国とカナダの国境を越える際のワクチン接種の義務化の解除を要求している。仏地方紙『ラ・プロバンス』によると、オタワ市長は、「手に負えない状況だ。デモ隊が指揮っているからだ」と述べ、デモ隊が「警察の数をはるかに超えている」と指摘した。市長は「我々は戦いに負けている。(中略)我々の街を取り戻さなければならない」と述べ、通りを塞ぎ、トラックのクラクションを鳴らすデモ参加者の行動を「容認できない」と語った。
「フリーダム・コンボイ」と名付けられたこのトラック運転手が始めた運動は、もともと1月中旬からカナダとアメリカの国境を越えるトラック運転手にワクチン接種を義務付けるという決定に抗議するためのものだったが、現在はコロナ対策全体への反対運動、さらには一部の人にとってはトルドー政権への反対運動に発展している。抗議者たちは、コロナ関連の規制が解除されるまで占拠を続けると言っている。抗議活動は、トロント、ケベック・シティ、ウィニペグなどカナダのいくつかの主要都市にも広がり、5日は小規模ながら同様の運動が行われ、6日もケベック・シティなどで抗議活動が続けられた。
カナダの市民による抗議活動は、フランスやオーストラリアにも広がろうとしている。仏地方紙『ミディ・リーブル』は、フランスでは、ソーシャルネットワーク上で、2月11日にパリに到着することを目標にフランス全土からパリに集結して抗議活動を行う呼びかけが行われている、と伝えている。フェイスブックページも作成され、4日時点ですでに20万人近い会員が登録しているという。ブレスト、リール、トゥールーズ、アヴィニョンなど、様々な地域からトラックや車を走らせる計画がすすめられている。また、フランス版「フリーダム・コンボイ」は11日に首都に集結した後、ブリュッセルに向かい、14日に大規模なヨーロッパ集会を開催することを希望している。
英『スカイニュース』によると、オーストラリアでも、何千人もの国民が首都キャンベラに集まり、「自由」と「コロナワクチン義務化の廃止」を要求した。全国から首都に集まった参加者たちは、5日にキャンベラでデモ行進を行ったという。
米『USAトゥデイ』は、世界各地で市民による抗議活動が行われていることは、当初は厳しい規制を容認していた人々も、政府への無制限の服従が魔法のように完全な安全を生み出すのではないことに気が付き始めたからだと伝えている。もはやどの国の政府も「科学とデータ」という言葉を唱えるだけで命令を神聖化することはできなくなっていると指摘している。そして、パンデミックがもう1年続こうとしている中、世界中の市民は、一時的な法令が彼らの自由を永久的に損なう可能性があると認識し始めているという。
サミュエル・アリート連邦最高裁判事は、「パンデミックにより、これまで想像もできなかった個人の自由に対する制限が生じた」と警告している。ワシントンD.Cを拠点とするシンクタンク「フリーダムハウス」は、パンデミックが始まって以来、「80カ国で民主主義と人権の状態が悪化した」と警告し、「新型コロナウイルスに対する各国政府の対応は、今後何年にもわたって民主主義に影響を与えうる政府の権力拡大の土台を作った」と指摘している。
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