ドイツ、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大の回避に成功(2020/04/06)
米国と並んで新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なヨーロッパ。ドイツだけは感染者の爆発的拡大回避と医療崩壊の回避に成功している。その秘訣について、欧州メディアが関心を寄せている。
『ビジネスインサイダー』は、ドイツが、広範囲にわたる検査の実施と堅固な医療システムの組み合わせにより、コロナウイルスの感染拡大は抑制できるという見本を提示してくれていると報じた。
ドイツは現在、ヨーロッパの中でも最も感染者数が多い国の一つだが、死亡者数は世界の中でも最も低い国の一つとなっている。『ビジネスインサイダー』によると、コロナウイルスが1月に中国で流行していた頃、ドイツではまだ遠い国の出来事として捉えられていたという。...
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『ビジネスインサイダー』は、ドイツが、広範囲にわたる検査の実施と堅固な医療システムの組み合わせにより、コロナウイルスの感染拡大は抑制できるという見本を提示してくれていると報じた。
ドイツは現在、ヨーロッパの中でも最も感染者数が多い国の一つだが、死亡者数は世界の中でも最も低い国の一つとなっている。『ビジネスインサイダー』によると、コロナウイルスが1月に中国で流行していた頃、ドイツではまだ遠い国の出来事として捉えられていたという。1月末に初の感染者がドイツ国内で確認されたが、すぐにおさまるだろうとも考えられていた。
しかし1ヶ月後の2月末には感染者が48人に増加。ヨーロッパではイタリアの644人に次いで2番目に多い感染者数だった。ここからドイツは対応が速かったという。ドイツ当局は、学校を休校とし、デイケア施設を閉鎖。感染者と接触のあった人は14日間の自宅での自主隔離、感染が確認されていない場合でも、症状がある人と接触のあった人にも自主隔離を要請した。3月後半からは首都ベルリンで厳しい外出規制を導入。
同時に、1月から検査体制の強化に手を付け、2月中旬には大量に検査ができる体制が整えられた。イェール公衆衛生大学院のネイサン・グルボー(Nathan Grubaugh)教授は、「ドイツでは検査体制が一元化されていないため、全国の民間研究室が自由に検査体制を確立できた」と説明している。 4月2日時点で、ドイツの民間研究所は、新型コロナウイルスの検査を累計100万人分実施したという。こうした検査への早期アクセスにより、ドイツは感染者を適切に確認し、接触者を自主隔離させ、治療が必要な人々に適切な治療を提供することができたという。
『リベラシオン』によると、ドイツでは3月23日から29日の1週間に、143の研究所が354,521人の検査を実施し、そのうち30,741人が陽性だったという。ドイツ医師会によると、ドイツにはコロナウイルスを検査できる200から300の研究所があるため、実際には、検査数はもっと多いと言える。なお、ドイツとは逆にフランスでは、2月24日から3月27日までの約1ヶ月の検査人数が200,000人未満となっている。
そして『フランス アンフォ』によると、新型コロナウイルスが流行している間も、ドイツの病院では医療崩壊は全く起きていないという。感染者数をある程度抑えることができているため、その間に、例えばある病院では産婦人科が、集中治療ができるように整備され、産婦人科病棟のスタッフも人工呼吸器の使い方の訓練を受け、緊急ではない手術は延期され、感染者の受け入れ態勢を整えることが出来たという。現在、ドイツ国内では病床がまだ2万人分空いているという。
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仏ダンケルク、公共交通機関無料化で予想以上の成果(2019/09/03)
フランス本土最北端にあるフランス第3の港湾都市であるダンケルクが公共バスの全面無料化に踏み切った昨年9月1日から1年間が経過した。調査結果によると、今年の6月までに平日で65%、週末で125%の乗客数増加を記録し予想以上の成功を収めている。
仏
『リベラシオン』紙によると、ダンケルク都市圏は人口約25万人の規模で、ダンケルク市を中心とする17市により構成される。ヨーロッパでは、住民に限り公共交通機関全てが無料であるエストニアの首都タリン以外、ダンケルク都市圏規模での無料化の実施は前例がなかった。当初は3,4年かかるだろうと思われていた同都市圏の公共交通機関であるバスの乗客数2倍という目標が、全面無料化を開始してからほぼ1年で達成されようとしている。...
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仏
『リベラシオン』紙によると、ダンケルク都市圏は人口約25万人の規模で、ダンケルク市を中心とする17市により構成される。ヨーロッパでは、住民に限り公共交通機関全てが無料であるエストニアの首都タリン以外、ダンケルク都市圏規模での無料化の実施は前例がなかった。当初は3,4年かかるだろうと思われていた同都市圏の公共交通機関であるバスの乗客数2倍という目標が、全面無料化を開始してからほぼ1年で達成されようとしている。
同都市圏の場合、唯一の公共交通機関であるバスの乗車券収入は運営費用の1割つまり450万ユーロ(約4億7800万円)程度だった。そのため、無料化の導入は比較的容易だったという。さらに同都市圏は、サービス向上のために年間予算1000万ユーロ(約1億円)を増額した。また乗客の一番多い路線は運行頻度を10分に1本とし、専用レーンや、バスが来ると信号が自動的に青になるバス優先の信号を導入するなど設備投資も行った。
パトリス・ヴェルグリーテ市長は、無料化は関心を引くためのものであるがリピーターを作るものではない、と述べている。そしてサービスレベルが伴っていない場合、利用者は以前の習慣に戻ってしまうと説明している。
仏『フランス24』によると、乗客数が増加した以外に、無料バス導入によって住民の習慣が変わってきていることが分かってきた。 住民の約3分の2は移動手段として車に依存してきたが、調査に参加した2,000人の乗客のうち、半数が以前よりも頻繁に、またはかなり頻繁にバスを利用するようになったと回答。 その中で新しくバスを利用するようになった人の48%が車の代わりに定期的に利用するようになったと回答している。回答者全体の約5%は、バス無料化に伴い自家用車を売った、又は2台目の車の購入をキャンセルしたとも回答。気候変動への対策のために導入されたわけでないものの、歓迎すべき効果であると市長はコメントしている。
地方自治体が発行する都市政治学の雑誌、「ウルビス」の編集者ヴァネッサ・デレボエさんは、無料バスは第二次世界大戦以来、ヨーロッパおよび北米の都市を形作った自動車中心の構造を見直す一歩だと述べている。 自動車中心の都市モデルは、環境的に持続不可能であるだけでなく、都市生活にとって「破壊的」であることを示しているとも指摘している。
同都市圏の試みはフランス国内で注目を集めており、昨年パリ市のイダルゴ市長も視察に訪問している。クレルモンフェラン、グルノーブル、カレー、アミアンなどの都市も導入を検討しているという。
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