【Globali】
米メディア;米国の地球温暖化対策の本気度は?(2015/06/24)
オバマ大統領が昨年11月に公表した、地球温暖化対策の一環での温室効果ガス排出削減目標(2025年までに2005年比較で26~28%削減)を達成するため、米環境保護庁(EPA)が中心となって、石炭火力発電所の二酸化炭素排出規制はもとより、自動車の排気ガス抑制のための新燃費基準、また、航空機のエンジンからの排出削減等、あらゆる手段を講じようとしている。その一環でこの程、EPAが、このまま温室効果ガス排出量を野放しにした場合の最悪のシナリオを発表し、全米並びに世界が気候変動対策に真剣になるよう訴えた。しかし、野党共和党が大勢を占める議会では、そのEPAの年間予算を削減する話が出されていたりして、米国の地球温暖化対策への本気度が疑われると米メディアが伝えた。
6月22日付
『MSNBCニュース』は、「EPAは6月22日、“米国における気候変動:地球規模の対策による恩恵”と題したレポートを公表し、もしこのまま地球温暖化対策をせずに放置した場合、次の世紀までに猛烈な台風、異常熱波、スモッグ公害のために何万人もの命を奪い、何十億ドルもの経済的損失が発生することになると警鐘を鳴らした。同レポートは、EPA、マサチューセッツ工科大学他の科学者グループが共同でまとめ上げたものであるが、温暖化対策をきちんと実行できれば、米国では790万エーカー(約3万2千平方キロメーター、日本の国土の約8%)が山火事の被害から救われ、中西部の農地や沿岸部の都市への100億ドル(約1兆2,400億円)以上の経済的損失が避けられるとしている。...
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6月22日付
『MSNBCニュース』は、「EPAは6月22日、“米国における気候変動:地球規模の対策による恩恵”と題したレポートを公表し、もしこのまま地球温暖化対策をせずに放置した場合、次の世紀までに猛烈な台風、異常熱波、スモッグ公害のために何万人もの命を奪い、何十億ドルもの経済的損失が発生することになると警鐘を鳴らした。同レポートは、EPA、マサチューセッツ工科大学他の科学者グループが共同でまとめ上げたものであるが、温暖化対策をきちんと実行できれば、米国では790万エーカー(約3万2千平方キロメーター、日本の国土の約8%)が山火事の被害から救われ、中西部の農地や沿岸部の都市への100億ドル(約1兆2,400億円)以上の経済的損失が避けられるとしている。」とし、「しかし、かかる画期的なレポートに対しても、反対派は存在する。例えば、野党共和党主導の下院では今週、EPAが提出した“クリーン・エネルギー発電計画”を骨抜きにする法案が可決されようとしており、また、同時期に上・下院双方において、EPAの年間予算を10億ドル(約1,240億円)以上削る案を審議する委員会が立ち上げられている。」と報じた。
翻って日本の状況はどうかというと、既報どおり、6月初めの主要国首脳会議(G7)で安倍首相が披露した、2030年における発電源計画によると、石炭火力が26%、天然ガスが27%を占め、温室効果ガスの主原因とされる化石燃料に大きく依存する内容となっている。再生可能エネルギーは24%であるものの、水力10%、太陽光7%、地熱・バイオマス等5%、風力1.7%と、世界で主流となっている風力(太陽光の倍以上)が依然最も低い。環境省によると、日本の風力の潜在力は、北海道、東北、九州を中心に、現在の規模の50倍以上あるとしているが、風力の電気を大消費地に送る仕組みを作る必要がある。長年ネックとなってきたのが大手電力会社の寡占体制であるが、今年3月にようやく閣議決定された“電気事業法の改正案”では、“発・送電分離”が実行に移されるのが2020年4月となっている以上、上記の仕組み作りに手が付けられるにはまだ当分かかると言わざるを得ない。
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