米
『ビジネスインサイダー』によると、オハイオ州司法長官は8日、グーグルが公共事業として扱われるよう提訴した。同長官は、「グーグルはインターネット検索の優位性を利用して、オハイオ州民をグーグルの自社製品に誘導しているが、これは差別的で反競争的である。鉄道や電力会社、携帯電話の電波塔を所有しているなら、誰もが同じように扱われ、誰もがアクセスできるようにしなければならない」と声明で述べ、グーグルが、水、電話、ガス、航空会社など、人々に不可欠な商品やサービスを提供する事業体として見なされることを求めている。
訴状では、グーグル検索が競合他社よりも自社製品を上位に表示しているために、競合他社だけでなく、十分な情報を入手できない住民が不利益を被っていると主張している。グーグルに対しは、検索結果で自社製品を優先にすることをやめ、競合他社の製品を同頻度で表示することを求めている。この訴訟では、金銭的な損害賠償は求めていない。
グーグルの広報担当者は『ビジネスインサイダー』に対し、「グーグル検索は、人々に最も関連性が高く役立つ結果を提供するように設計されている。訴訟は、検索結果を悪化させ、中小企業が顧客と直接つながることを困難にするだろう」と反論した。「オハイオ州民は、政府がグーグルをガス会社や電気会社のように規制することを望んでいない。この訴訟は事実にも法律にも基づかないものであり、当社は法廷で弁護するつもりだ」と述べた。
米『NBC』によると、ニュース専門局「MSNBC」の法律アナリストであるダニー・セバロス氏は、オハイオ州の最終目的はグーグルを公益事業委員会の直接の権限下に置くことではなく、規制を強化するための基礎を築くことであると述べている。せバロス氏は、ケーブルテレビ、ゴミ収集業者、航空会社、カジノなど、民間企業が提供しているサービスを例に挙げ、ほとんどの場合、一般のビジネスよりも厳しい規則や規制の対象となっていると説明している。また、「あるビジネスが国民の大部分にサービスを提供しており、その料金、手数料、運営方法が公共の懸念事項となっている場合、そのビジネスは公益事業として見なされ、政府にとって監視を強化する対象となることがある」と説明している。
ボストン大学でテクノロジープラットフォームのガバナンスを専門とするティファニー・リー教授は、グーグルは他のサービスとは異なり、情報を扱っているため、規制をかけようとする政府にとってはハードルが高いと指摘している。「これは、実際の法律に注意を払うことなく、ビッグテックの力を制限しようとする試みに見える」と述べ、「グーグルは企業として、その言論を保護する憲法修正第1条の権利を持っている。検索結果のアルゴリズムによるランキングやソートは、グーグルの言論とみなすことができる。それを制限しようとすると、憲法上の問題が出てくる」と説明している。
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CNNからフォックスニュース、ニューヨーク・タイムズまで、米国の主流メディアは、トランプ前大統領がホワイトハウスを去ってから、視聴率の低下や読者数の減少に見舞われている。
仏紙
『クーリエ・アンテルナショナル』や仏誌
『「ル・ヌーベル・オブセルバトゥール」』は、トランプ前大統領が2017年にアメリカの「新聞、テレビ、あらゆるメディアは、私がいないと視聴率が下がってしまう」と発言した内容が、予言のように当たったと伝えている。いくつかの調査によると、アメリカの全国メディアはバイデン大統領就任後、視聴者数と読者数が減少している。これは、常に話題を集めていたトランプ前大統領が去り、後任に「退屈」と見なされることもあるバイデン大統領が就任したことが反映されているという。
この急激な落ち込みを体現しているのがニュースチャンネルのCNNである。ニールセン・メディア・リサーチ社のデータによると、1月から3月の最初の2週間の間にプライムタイム枠(午後8時30分~10時)で45%の視聴者が消えてしまったという。
CNNほどではないが、MSNBCも26%減という顕著な減少が見られた。保守メディアのフォックスニュースも6%減と、健闘しているものの減少した。
新聞業界でも同じ現象が起きている。コムスコア社のデータによると、1月から2月の間に「ニューヨーク・タイムズ」のニュースサイトではアクセス数が約2,000万人、「ワシントン・ポスト」では約3,000万人分減った。
コネチカット州にあるハートフォード大学のコミュニケーション学教授であるアダム・キアラ氏は、「人々を画面の前に引き留めるはずの大災害、すなわちパンデミックがまだ続いている」ことを指摘し、視聴率の低下は、「人々は今日起こっていることよりも、トランプ大統領に関するニュースに興味を持っていた 。」ことを示しているとコメントしている。
ボストン大学で政治コミュニケーションを研究しているトーブ・ベルコビッツ教授にとって、メディアは、論争好きで予測不可能なドナルド・トランプ氏と、コミュニケーションにおいて意図的に前任者と逆の姿勢を見せてきた、時には「退屈な人物」と言われるジョー・バイデン氏のちがいが、メディアの視聴率に影響を与えていると述べている。
このように視聴者数が著しく減少しているが、主要メディアは、2015年にトランプが選挙戦に参戦する前よりもはるかに良好な状態にあるという。CNNは2014年時の視聴者数の2倍以上、MSNBCは3倍以上の視聴者数を獲得している。
ホフストラ大学コミュニケーション学部長マーク・ルカシェヴィッチは、一般チャンネルのニュース番組は視聴者数が数百万人減少しており、「ニュース専門チャンネルは数年前に比べて、アメリカ人のニュース消費で大きな割合を占めるようになっている」と指摘している。
なお、大手新聞社も、この数年間でデジタルへの移行を加速させ、オンライン購読を前提としたメディアに生まれ変わりつつある。ニューヨーク・タイムズは、トランプのホワイトハウス在任期間中の4年間で、購読者数を2.6倍に増やし、多くの紙媒体のメディアが直面している危機を回避している。
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