黒人女性初の最高裁判事候補、米上院公聴会で「女性」を定義することを拒否(2022/03/24)
アメリカのケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事は、今週月曜日から行われている最高裁承認公聴会で「女性」という言葉の定義を拒否したことで、最高裁判事として女性を定義することができない初めての最高裁判事になると、保守派の間で衝撃が走っている。
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『ナショナルレビュー』によると、ジャクソン判事は、公聴会2日目の火曜日に行われた共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員(テネシー州選出)とのやり取りで、「女性」という言葉の定義を教えてほしいと単刀直入に尋ねられた際、それを拒否した。
短いやりとりの後、ジャクソン判事は最終的に「いや、(定義)できません」と答えた。ブラックバーン上院議員は、「できないのですか?」と尋ね返した。ジャクソン判事は、「この文脈では無理です。...
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『ナショナルレビュー』によると、ジャクソン判事は、公聴会2日目の火曜日に行われた共和党のマーシャ・ブラックバーン上院議員(テネシー州選出)とのやり取りで、「女性」という言葉の定義を教えてほしいと単刀直入に尋ねられた際、それを拒否した。
短いやりとりの後、ジャクソン判事は最終的に「いや、(定義)できません」と答えた。ブラックバーン上院議員は、「できないのですか?」と尋ね返した。ジャクソン判事は、「この文脈では無理です。私は生物学者ではありませんから」と回答した。ブラックバーン上院議員は、「女性という言葉の意味が不明確で論争になっているので、定義を示せないということですか?」と返したところ、判事は、「裁判官としての私の仕事は、論争を扱うことです。定義について論争があれば、人々は議論をし、私は法律を見て判断します」と答えた。
ブラックバーン上院議員は、「女性とは何かという基本的なことについて、あなたがまともに答えられないという事実は、我々が聞いているような進歩的な教育の危険性を強調しています」と述べた。そして、先週末の全米大学水泳選手権では、トランスジェンダーの選手が、元オリンピック選手も含む複数の女子水泳選手を上回り、決勝進出の可能性を奪ってしまったことを引き合いに出した。
米『フォックスニュース』は、女性を定義することを拒否したことに対して、保守派の人々から憤慨の声が上がっていると伝えている。「The Federalist」の編集長モリ―・ヘミングウェイは、「新しい左翼の正説は、女性は科学的にも論理的にも定義できず、もし定義するならば、キャンセルされるべき対象になるということです。」と述べている。
保守NPO団体「Judicial Watch」代表のトム・フィットン氏は「この無知を公言する背景にあるイデオロギー的な過激さは、皮肉にも、性差別に対する法律や憲法の禁止を根底から覆すことになりそうだ。もし、「女性」とは何かを定義できないのであれば、どうやって「女性」を差別から守ることができるのだろうか」と指摘している。
米風刺ニュースサイト「Babylon Bee」のセス・ディロンCEOは、「生物学者がこの質問に答えなければならないということは、女性であることが生物学と結びついていることを示唆している(これは保守派の主張である)」と指摘した。保守団体「アメリカン・コミットメント」代表のフィル・カーペン氏も「もし彼女が生物学的な問題だと知っているなら、彼女は答えを知っている」とコメントした。
なお、主流メディアでは、この発言に関してはほとんど報道されていない。
米『USAトゥデイ』は、2020年にエイミー・コニー・バレット判事が最高裁判事に指名された時と、今回のジャクソン判事の指名に対する報道機関の取り上げ方や議会の態度に顕著な違いがあると報じている。
バレット判事が最高裁判事に指名された際、アメリカの主流メディアはバレット判事の経歴に対する容赦ない攻撃を展開した。宗教、私生活、係争中の事件など、何もかもが批判の対象となった。バレット判事がハイチの子供2人を養子にしたことも、ボストン大学反人種主義研究センター所長のイブラム・X・ケンディは、「白人の植民地支配者」による教育を与えることになるとして、子供たちは母親の小道具に過ぎないと糾弾した。
一方ジャクソン判事に対しては、指名が決まった直後から、リベラル派の議員やメディアは、過去に関する質問や批判は容認されず、人種差別と見なされると明言した。例えば、歴代の候補者は皆、司法哲学に関する質問にさらされてきたが、ジャクソン判事の哲学が明確でないと指摘することさえ、人種差別的な不当な言いがかりだとされた。また、過去の候補者に問われた憲法解釈に関しては、そのような質問をすることも人種差別的だと指摘された。
元トランプ広報部長のティム・マータフ氏は「黒人女性だから歴史的だと称された最高裁判事候補が、女性とは何かを定義することができない」とコメントしている。
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アイオワ州、トランスジェンダー選手の女子競技参加を禁止(2022/03/10)
アイオワ州のキム・レイノルズ知事(共和党)は3日、幼稚園から大学までの女子スポーツ大会に、トランスジェンダーの選手が参加することを禁止する法案に署名した。同法案は州議会上下両院の承認を受け、31対17で可決されたものである。
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『ブライトバート』や米
『CBN』によると、レイノルズ知事は声明で、「これはアイオワ州の女子スポーツの勝利だ。どんなに才能があっても、どんなに訓練しても、どんなに努力しても、男性が女性に対して持っている自然な身体的優位性を、(女性選手は)補うことはできない。これは人間の生物学的な現実である。女性に男性との競争を強いることは、包括性とは正反対のことであり、絶対に不公平である。」と述べた。また、「少女たちは、大学の学費をまかなうための奨学金を得るという夢や願望を抱いている。...
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『ブライトバート』や米
『CBN』によると、レイノルズ知事は声明で、「これはアイオワ州の女子スポーツの勝利だ。どんなに才能があっても、どんなに訓練しても、どんなに努力しても、男性が女性に対して持っている自然な身体的優位性を、(女性選手は)補うことはできない。これは人間の生物学的な現実である。女性に男性との競争を強いることは、包括性とは正反対のことであり、絶対に不公平である。」と述べた。また、「少女たちは、大学の学費をまかなうための奨学金を得るという夢や願望を抱いている。いつかオリンピックに出たいという夢や願望を持っている」、この問題は女性のスポーツ界でのキャリアに対する「公平性の問題」だと指摘した。
これまでも、コネチカット州で、高校生のトランスジェンダーのトラック選手であるテリー・ミラーとアンドレア・イヤーウッドが女子種目に出場し、州選手権であわせて15個のタイトルを獲得し、女子選手たちが奨学金を得られなくなっている事態が起こっている。
サウスダコタ州でも、クリスティ・ノーム知事が2月上旬に、生物学的な男性が大学までの女子スポーツに出場することを制限する同様の法案に署名している。フォックスニュースの取材に対し、ノーム州知事は、この法律は「競争の場を公平にする」ためのものだと述べた。「女子は、出生証明書に記載されている通りの、他の生物学的女性とだけ競争する機会を得る。彼女たちに成功するチャンスを与えたい。」と語った。
アライアンス・ディフェンディング・フリーダム(ADF)の上級顧問であるクリスティアナ・ホルコム氏は、アイオワ州が法案を可決したことを賞賛した。「法律が生物学的現実を無視すれば、女性アスリートはメダルや表彰台、社会的認知、そして競争の機会を失うことになる。女子スポーツがあるのはそのためなのです。」と指摘している。
一方、LGBTQの青少年支援団体アイオワ・セーフ・スクールズは、この法案を「アイオワ州の子供たちを犠牲にした政治的ポイントを獲得するためのもの」だとツイートした。
アイオワ州は、トランスジェンダーの選手が女性スポーツに出場することを禁止する11番目の州となる。アラバマ、アーカンソー、フロリダ、アイダホ、ミシシッピ、モンタナ、サウスダコタ、テネシー、テキサス、ウェストバージニアの州ですでに禁止されている。
モントリオールオリンピックの陸上金メダル選手で、自身がトランスジェンダーのカイトリン・ジェンナーさんは、米『フォックスニュース』の番組に出演し、トランスジェンダー選手の問題について語った。ジェンナーさんは、思春期を男性として過ごしたトランスジェンダーの女性アスリートは、生物学的に女性の競争相手よりも優位に立っており、全米大学体育協会(NCAA)が要求する1年間のテストステロン抑制療法では、女性スポーツにおける公平性を確保するには十分ではないと指摘した。現在米国競泳界で議論になっているトランスジェンダーのリア・トーマス選手については、「ここ1、2年のテストステロン値は関係ないのです。彼女の人生の最初の16、17年間のテストステロン値を気にしているのであって、その点に対して戦っているのです。」と語った。
米『USAトゥデイ』によると、アイオワ州で施行された法案に対して、LGBTQ擁護団体、企業、民主党議員から、トランスジェンダーの女性に対する差別であり、市民権法に違反するとの批判が殺到しているという。また、アマゾン、IBM、マイクロソフト、ネスレなど150以上の企業が、こうした法案に反対する声明に署名しているという。
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